【ネタバレ注意】『ガンダム ジークアクス』の何をもって「水星の魔女のコンセプトを何もかも180度真逆にして作ったようなアニメ」と感じたの?
答え
ファースト原理主義高齢オタクおじが真の主人公。主役の10代3人は多分実質主役じゃないから
(本記事は1月19日にふせったーにて投稿した『機動戦士ガンダム ジークアクス』ネタバレ感想記事となります)
>事前の想像通り「水星の魔女のコンセプトを何もかも180度真逆にして作ったようなアニメ」だったので複雑。。
>水星が新規向けならば、こちらは300%「庵野世代のオールドファン向け」です。まさかこれほどとは…と
>ぶっちゃけね、
>「水星の魔女アンチやら岡田斗司夫みたいなド保守ファースト原理主義オタクおじ達が『こういうのでいいんだよ』と満面の笑みでサムズアップしてる図」がずっと脳内に浮かんでたよ…
ここまでネタバレ無しの感想。
↓こっからネタバレありの感想。
↓長文読みたくねえ人は==で囲んだ中だけ読んでね。それでも長いけど。
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Q、何をもって「水星の魔女のコンセプトを何もかも180度真逆にして作ったようなアニメ」と感じたの?
A、
①『水星』は若い人達など、それまで本気で対象顧客扱いしてもらえなかった層のため第一で作られたけど
『ジークアクス』は老いたファースト原理主義オタクを全肯定するため作られた完全新規切り捨て懐古作品だから。
②完全に古い男性向け戦闘美少女アニメの方法論で作られてる。
一見美少女主人公だけど実質的に美少女は客体で、「真の主人公」たる主体男性キャラがわかりやすく用意されている。
ジークアクスの場合、「シャアとシャアに心奪われた男」が主軸で主人公。
シャアに心奪われた男はシャリア・ブル大尉であり、メタ的にオールドタイプのガノタ達も指す。
(『水星の魔女』はSeason2からグエルがそれにされかけたけど最終回で軌道修正された。水星アンチほどグエルを真の主人公にしたがってたでしょ?)
③女子は主人公でも女子っぽさ・女性性ありきのキャラ造形だよ!JKだから脚は出すしボディラインはばんばん強調してくよ!必然性が無くても裸や風呂シーン出しちゃうよ!
(スレッタは魅力的な主人公だったけど、パターン化された性の型にはめないよう意識されて造形されてた。特に服装が象徴的だった。ミオリネの下着姿は後半出てきたけど物語文脈ではちゃんとそうする意味があり、これでも最初は裸の予定だったとこから内的に配慮され変更されたのだと思う。不要に『オカズ』にされないように最大限慎重に描かれていた)
④年齢相応に老けていたり、太ってたりする女性キャラの多様性が完全消滅(昔の男性向けアニメに戻った)
設定的には「おばさん」になる中年女性キャラ、全員痩せ型で少女と区別つかない。
男キャラは「おじさん」はおじさんのままで存在価値を認められているのに。
⑤「昔のままでいいんだよ。変わらなくていいんだよ。同属ウケだけ考えてればいいんだよ。
古くて何が悪い!閉じコンで何が悪い!逆に高齢ガンダムオタク世代のエネルギーで多様性の世界をねじ伏せてやる!
中身はド内向きの懐古でも竹キャラデザと女子主人公と人気Vと米津玄師使っとけば誤魔化せるからヘーキヘーキ」
というメッセージが全体から濃厚に漂ってる。
庵野秀明さんなんて存在自体が。
⑥あと細かいことかも知れないけど、百合オタ的な最大のガッカリポイント↓
マチュとニャアンが序盤で追いかけっこした後、神社の境内でバランスを崩して2人が倒れ込んでゴッツンコするんだけど、その時、背景とBGMが「ぽんわわわーん(ハイ、ココ!百合接触ドキドキシーンですよw)」みたいなわざとらしいコミカル演出になった点。逆にこの「茶化し」でワイの思う百合展開は期待薄かな…?とチベットスナギツネ顔になりました。まぁマブだからね。ちな、余談にもほどがあるけど新エヴァの百合ならマリアスもユイマリも好きです。マリというキャラを産んでくれた庵野さん鶴巻さんには感謝してるやで。
公開前から「マチュ=ハマーン様説」といった珍説でネットが盛り上がっていたけど、
おそらく今後もずっっっっと同じノリの「ファーストや宇宙世紀ありき」で話題にされることでしょう。
制作側も明確にそれを狙っています。
庵野秀明鶴巻和哉榎戸洋司でカラーでサンライズでシャアで赤いガンダムとくればバズるに決まってます。
新しい3主人公の物語なんか追わなくても昔のガンダムやロボアニメ知識だけで輪に入れます。
いっそ本編なんか見なくても問題なく盛り上がれるでしょう。
新しい価値観や世界に拒否感のある保守ガノタの望む世界がもうすぐやってきます。
こんな極端すぎる逆行保守コンテンツが、10代に「高齢のマニア内の閉じコンテンツで、自分達のほうを向いてない」と言わせてしまったショックと反省から保守を打開して新風を吹き込む祈りで作られた180度真逆の『ガンダム水星の魔女』の後にお出しされるのだから、どうしてもバンナムやサンライズの含む意図を考えさせられてしまいます。
ポリコレ的なものを嫌う水星の魔女アンチにとっては「公式はやはりこっち側に向き直してくれた!」という祝福に見えるかも知れません。
さて、いくら竹キャラデザや米津玄師で加齢臭を抑えていても水星から入った新規が果たしてどのくらい脱落せずに残るかな。
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単刀直入に言ってジークアクスはガチ宇宙世紀にして、パラレル世界線でのファースト続編です。
プロローグ込みで新規層を意識していて万人が予備知識ゼロでも楽しめた『水星の魔女』とは違い、
これほどまでに公式から堂々と「ファーストすら観てない新参はお断り」の意思表示をされるとは思いませんでした。
『SEED』などもファーストオマージュしてましたが、ジークアクスはそんな次元ではありません。
また同じ宇宙世紀ながら新世代のハサウェイ青年の物語として新規も入り込めた『閃光のハサウェイ』とも全然違う。
ガッチガチのファースト原理主義者によるファーストオタクのための二次創作で、作画やBGMまで当時のそれに寄せまくってます。
新規が観たら「?????」と混乱して置いてけぼりくらうのは必定です。
(なんせ「ニュータイプ」「ミノフスキー粒子」「サイコミュ」「アルテイシア」等のワードが根幹の設定なのに何の説明もされてない。公式が大々的に売りにするサプライズ要素もファーストのあらすじを通しで全部知っている人でなければ、どこが衝撃ポイントなのか理解もできない作り。シャアとアムロの名前くらいしかわからない人はまじで意味不明でしょう)
この「ファースト好きなガノタだけ付いてこい!」な上からワールドをいきなり30分以上も見せられます。
その後に続くTV本編2話ぶんのお話も、「シャアの腹心が時の光を見て消息不明となったシャアの行方を捜索する」話が本筋で主人公のはずのマチュ・ニャアン・シュウジの3人はナイスデザインなんだけどハッキリ言って存在感はあんまりありません。『W』や『水星』のように一発目で主人公を象徴する名台詞が出るでもありません。多分これからも印象深い活躍はさせてもらえません。
なぜなら恐らく3人は「真の主人公おじ(シャアとシャアに心奪われたシャリア・ブル大尉=オールドタイプガノタ)の存在価値を引き立たせるための盛り上げ役」だからです。
もしキャラを立たせてもらえるとしたら、『トップをねらえ!2』のノノみたいに「ファーストの遺産」に憧れる役回りかな。現時点でも「時の光」のキラキラに憧れてニュータイプとしてシャアらしき人物とも遭遇しているし。
序章のシャア無双パートと次世代の本編とでは、脚本の「ガンダム世界とキャラクターの魅力を伝えたい!」という熱量と説明量に差がありすぎて、3主人公のインパクトがシャアとシャアガンダム(略してシャアガン)に完全に食われてます。制作側はおそらく意図的にやってます。
古参の保守男性オタクは確かに美少女キャラが好きだけど、美少女キャラが「男のロマン」「男達の世界」を阻害するノイズになることを激しく嫌います。
戦争や戦場は「男達の世界」の象徴なので、ガンダムに限らず反戦を訴える女子キャラは叩かれがちです。冷徹な女性軍人、あるいは最初から戦争の是非に口出ししないならOKです。
きっとマチュちゃんやニャアンちゃんは「男のロマン」「男達の世界」を邪魔しない役回りを与えられ、まっとうすることでしょう。
作り手と受け手が一番望んでいる「シャアとシャアに心奪われた男の物語」の邪魔にならないよう、分をわきまえて控えめに活躍してくれることでしょう。
マチュちゃんはなんか母子家庭っぽいので、シャアに父性を重ねるファザコンキャラになるかも知れません。
エヴァンゲリオンの中にはお母さんが入ってたけど、ジークアクスの中に入ってるのはお父さん? だとしたらなんかキルラキルみたいでもあるなあ。
いろいろ思うところあるけれど、考察厨なのでやはりこの謎だらけの導入にワクワクしないと言えば嘘になります。
ファースト要素には正直興味はほとんどそそられないけれど。
ジオン製の斧がメインウェポンぽいMSで「ジークアクス」って、今思えばあまりにそのまんまなネーミングだw
とりあえず思うことは、早く米津玄師さんの「Plazma」をフルで聴きたいなってことです。
メロディラインがめちゃくちゃカッコいいんだ!