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戦争の悲劇ではなくて、あの子の人生/漫画「アノネ、(今日マチ子)」

あらすじ

多くの日本人に知られている日記を書いたアンネ・フランクから着想を得た、戦時下のある少女のお話。

今なお愛される、アンネ。
絶望的な青春を送る男子高生、太郎。
恐怖のカリスマ、ヒトラー。
その恋人、エマ。
時代も空間も越えた、世界で最も禁忌なラブ・ファンタジー。これは、世界でいちばん出逢ってはいけないふたりのボーイ・ミーツ・ガール、ボーイ・デストロイズ・ガール。

秋田書店HP


もう疲れちゃったよね

読んでいる間中、ずっとずっと思う。みんなもう疲れちゃったよね。戦争も、人間関係も、成熟も、性も、全部疲れちゃったんじゃない?どれかだけでも大変なのに、やってられないよ。
肉体的な苦痛が多すぎる上に、考えることがあまりに多すぎる。それも、一つ一つしっかり考えていたら正気ではいられないような、身近な人の死とか、侵害される尊厳とか、どうにもならない暴力とか、好きな人への気持ちとか、生き残る方法とか、そんなのばかり。
生きるためには、考えなきゃいけないことを手放していくしかないと思った。主人公の少女である花子も、想像力を使って、目の前にある現実とは違う自分の中の空想の世界を生きていく。どう考えてもそれしか道がない。
そういう選択は今私が生きている世界にもありふれていて、各個人が好きにしたらいいと思うけれど、他人が始めた戦争によって子供が強いられてよいものでは絶対にない。


あの子の人生

戦争やそれに付随する人種による迫害がこの漫画には多く登場する。でも、描かれているのは戦争ではなくて、一人の少女だ。戦争の話ではなくて、あの子の人生の話。
あの子はふわふわと甘く曖昧で、でも状況は壮絶だから、だんだん整合性が取れなくなって歪んでいく。そしてその間にひっそりと人がたくさん死んでいる。

それがある子供の人生でした、という物語だった。


この漫画を読んで、悲しいとか、かわいそうとか、そういう気持ちははっきり持っていないけれど、戦争は嫌だなと思う。

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