『Maison book girl』というアイドルとアイドル論
なんで、好きになるアイドルグループは解散してしまうんだろう。アイドルグループという存在自体が儚いとはいえ、諸行無常だなァ……と感じるしかない。
『Maison book girl』という女性アイドルグループがいた。読み方はメゾンブックガールで、通称ブクガ。過去形なのは2021年に活動終了したからだ。
ブクガが好きで、よく聴いてた。同じ時期にsora tob sakanaも好きでよく聴いてたから、当時の自分はアイドルブームが来てたんだと思う(sora tob sakanaも2020年に解散した)
ブクガの特徴は、なんといっても楽曲が暗いところだ。音楽家のサクライケンタが作るポエトリーリーディングをまじえた変拍子の独特な曲調。ほかとは一線を画した、異色のアイドル感。そこが大好きだった。
ブクガの楽曲は、歌詞も曲調も基本的に暗い。病んだときに聴くのがちょうどよさそうな、ダークで鬱々とした雰囲気を醸し出してる。
だけど、そんな楽曲たちの中で希望みたいな楽曲がたまにあったりする。
光と闇のコントラストが生まれてる、と表現したらいいんだろうか。暗い楽曲が多いからこそ、こういう楽曲がすごく映える。雲間から差し込んだ光を見たときみたいな気分になる。
ぶっちゃけ自分がアイドルの歌う儚くて切ない曲が大好きなだけなんだけど、特にブクガはそれが強調されてる気がした。
アイドルが好きだと、自分の中でオリジナルのアイドル論が構成されてくると思う。人のアイドル論を聞くのも好きだし、よく鋭い考察があったりしておもしろい。
僕の提唱したいアイドル論は、「アイドルという儚い存在が歌う儚い楽曲の威力はすごい」だ。
特に女性アイドルは、年齢のこともあって長くは活動しにくい。どうしてもファンは若さを求めがちだと思う。
学業を優先するため、結婚のため……ほかにもいろんな要因で、グループの解散や活動終了はすごく身近な話題だ。明日は我が身というメンタルで活動してるアイドルもきっと多いだろう。
「ある日突然終わってしまう危うさ」を抱えたアイドルが、儚い曲を歌うとどうなるか。そこに説得力がうまれる。
そして、楽曲が真に迫る。聴き手の心にバシバシ響いてくる。その感覚が僕はどうしようもなく好きだ。
「推しは推せるときに推せ」という言葉はすっかり有名だし、まったくその通りだ。気づいたときには存在しないという可能性は、もちろんアイドル以外にも通ずる。
なにが言いたいかって、諸行無常だなァ……って。