良い精神科医の選び方
良い精神科医の選び方について考えてみたいと思います。現在、そのためのポイントは主に三つあると私は考えています。
1.反精神医学に関する教養があり、患者への薬物療法の強制を批判している
2.オープンダイアローグを実装できるだけの潤沢な知識が備わっている
3.ギフテッドと精神疾患一般についての正確な知識がある
まず精神医学によって処方される抗精神病薬などの薬は服薬者の知能を低下させ、著しくその生活の質を破壊します。知能が低くなってしまえば、通常の生活を送る上でもハンデを負うことになりますし、当然結婚や子育てなどの人間にとっての大きな幸福とされる現象からも遠ざけられてしまうでしょう。こうした現行の精神医学が抱える様々の問題点を直視し、改善しようとする学問のことを「反精神医学」と呼びます。患者たちの幸福を切り捨てて、自分たちの生活だけが成り立てばいいという偽善的な精神科医はこの反精神医学的な視点を持っていません。つまり、自分たちの「精神医学」こそが絶対のものであるとして根拠なく――あるいは人々を欺くためにあらかじめ用意された偽物の恣意的な「統計」によって――確信し、それを何のためらいもなく患者に強制します。これは致命的な問題であり、患者の人権を大きく損ないます。以上のことから反精神医学的な教養を持たない精神科医は避けた方が良い、と言えると思います。
次に精神疾患に対する最新の治療法であるオープンダイアローグについての知識が備わっている精神科医が望ましいと思います。オープンダイアローグを適切に使用できる精神科医に運よくお世話になることができれば、先述の大きな問題がある薬物療法の強制を避けられる可能性が高まります。場合によっては慢性的な薬物の服用なしに、精神疾患に対する治療を施すことができるでしょう。現行の精神医学では人々の幸福を著しく破壊してしまう、恐ろしい薬物療法が患者たちの人権を踏みにじる形で強制されているのが現状ではあります。その中でオープンダイアローグという薬物療法の必要性を低減する方策を率先して広めている精神科医たちこそ最も信頼できる人たちであると言えるでしょう。逆に、反精神医学の素養さえ持たずに、オープンダイアローグに対する十分な知識も持ってもいない精神科医は信頼できないと思います。
最後に、高い知能を持つ人のことを「ギフテッド」と呼ぶのですが、精神疾患の挙動はこのギフテッドの資質と非常によく似ていて、しばしば高い知能の人が精神疾患に「誤診」されることがあります。本当は才気豊かな人なのに、間違った診断を受けてその高度な知能を不適切な薬物療法によって破壊してしまうようなことがあれば、これは大きな問題でしょう。どんな人にも幸せになるための機会が平等に与えられる必要があります。現行の精神医学は不適切な薬物療法の患者への強制によって、患者の知能を破壊し、彼らの幸福追求権を不正に剥奪しています。それが現状です。そんな中でギフテッドに関する高度な知識を持ち、誤った現行の精神医学への批判に努めている立派な精神科医は信頼に価すると言えるでしょう。
以上のように、現行の精神医学には多くの致命的な問題があります。とはいえ必ずしも絶望する必要はありません。
中には、反精神医学への潤沢な教養を持ち、薬物療法の奴隷になることなく患者の真の幸福が何であるのかについて見据え、オープンダイアローグのような最新の治療法を率先して取り入れるだけの先見の明と卓越した行動力を持ち、しばしば人間の「天才」や「才能」、「高度な知能」というものが「精神疾患」として誤診されているという事実をあるがままに受け止められる誠実な精神科医もいることでしょう。どんな分野でも本当に「一流」の人と言うのは一握りです。精神科医の場合も例外ではないでしょう。しかし、そうした真に一流の精神科医たちがいてくれること自体が、私たち精神障害者の希望でもあります。
天才的精神科医にせよ天才的精神障害者にせよ、彼らの行く道が幾多の凡庸な悪徳に阻まれることのないように。祈ります。