【NBA番外編】にわか心理学から紐解くジェイソン・キッドHC
NBAファン・マブスファンの皆様ごきげんよう。どうも、マブス再建プロジェクトです。今回は番外編「にわか心理学から紐解くジェイソン・キッドHC」について文章化していきたい所存です。まるで大学生のレポートみたいですね(笑)。僕自身も大学時代に心理学の授業を受講したことがあるので、当時の知識含めた"にわか心理学"の観点から現マブスHCであるジェイソン・キッドの采配について考えていきましょう。
【ジェイソン・キッドHCの戦術と采配について】
タイトルにあるようジェイソンキッドHCの今季の采配について、そもそもどんな問題が起きているのか。前置きとして昨シーズンのトレード・デッド・ライン(以下 TDL)から遡ります。
〈昨シーズンの戦略と弱点〉
マブスは昨シーズンのTDLにてセンターのクリスタプス・ポルジンギスと引き換えにガードのスペンサー・ディンウィディとシューターのダービス・ベルターンズを獲得しました。その後マブスのオフェンスはドンチッチ・ブランソン・ディンウィディを中心としたハンドラーを複数枚コートに置く"3ガードラインナップ"を展開。また、ディフェンスではビッグマンのドワイト・パウエルをはじめとした機動力を活かしたスモールラインナップが上手くハマり、TDL後は勝ち星を積み重ねレギュラーシーズン4位という輝かしい成績を収めました。
大まかなディフェンスハイライト↓
しかし悲劇は訪れます。プレイオフにて順調に駒を進めたマブスのウェスタン・カンファレンスファイナル(西地区決勝)の相手はGSW(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)でした。マブスの敷くスモールラインナップの弱点である"リバウンド"と"乏しいリムプロテクト能力"を見事に突かれ、GSWセンターのケボン・ルーニーにオフェンスリバウンドを何本取られたことか…思い出すだけで胸が痛くなります。
ケボン・ルーニーの活躍はこちらから(泣)↓
兎にも角にも、スモールラインナップが昨シーズンの売りであったわけですがGSW相手に限界を見たシステムでもあったわけです。そして露呈した欠陥的な弱点である"リバウンド"と"リムプロテクト"もちろん百も承知の上で、このシステムを採用していたことでしょう。
〈オフシーズンの補強〉
オフシーズンではマブスGMであるニコ・ハリソンが語るように"リバウンド"と"リムプロテクト"能力のあるクリスチャン・ウッド、ジャベール・マギーのインサイド2選手を加え、地味ながらも弱点は克服したかに思えた。そう、この時は…。
〈2022-23シーズン開幕〉
そしていざ開幕!マギーはスタメン抜擢(確約の契約内容だった?)されるも不安の残る活躍で試合数が進むにつれ出場時間がみるみる減り、現在はドワイト・パウエルがスターターを務める。対するウッドはベンチからの出場のみで、クロージングラインナップではベンチ。昨シーズンと同じスモールラインナップが起用されウッドの不完全燃焼が続きます。
〈今季の課題〉
開幕から20試合経過後の現在、結局昨シーズンと同じスモールラインナップを敷く戦い方を続けているマブスです。昨シーズンと同じ戦い方=弱点も同じわけで"リバウンド"と"リムプロテクト"がどうしても出来ないでいるわけです。これが課題となっています。先日のTOR戦は特に酷く、クリス・ブーシェイ、OG・アヌノビー相手にオフェンスリバウンドを無限に取られていたのが記憶に新しいですね。
ようやく本題に戻ります。ではなぜ、ジェイソン・キッドHCは昨シーズンと同じ戦術・采配を起用しまうのか。にわか心理学を基に噛み砕いていきましょう。
結論から簡潔にまとめると"昨シーズンの成功体験"が今のジェイソン・キッドHCの戦術・采配を繰り返す元凶となっています。「認知バイアス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?認知バイアスとは、自分の思い込みや周囲の要因によって非合理的な判断をしてしまう心理現象のことを指します。さらにこの「認知バイアス」は言わば大部類の入り口であり、パターンによって細分化されています。その中でも関連のある「確証バイアス」と「正常性バイアス」について深掘りしていきます。
①「確証バイアス」
確証バイアスとは、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識的に集めてしまい、反証する情報を無視したり集めようとしなかったりする傾向を指します。分かりやすく言うと、自分が正しいと思ったことを曲げない頑固ジジイのことです。"思い込み"や"過去の成功体験"があると、自身を取り巻く様々な情報や意見、戦術等々があっても、自分の"思い込み"や"過去の成功体験"を優先してしまう心理的はたらきのことです。
自分の意見や信念に都合の良い情報は取り入れ、都合の悪い情報は聞かない。という大変危険な状況であると言えます。中立的な立場での考えは機能せず、無意識のうちに自分にとって居心地の良い考え方に留まる傾向があります。この場合、理屈よりも感情が優先されてしまうのがタチが悪いですね。自身の"思い込み"や"過去の成功体験"が現在においては間違いであっても、"無意識的な間違った思い込み"を生んでしまうのです。
では、今季のマブスに例えると…??
☆昨シーズンの成功体験☆
①3ガードを中心としたハンドラーオフェンス
②機動力を重視したスモールラインナップのディフェンス
③プレイオフでリーグ有数の3&Dとして活躍したドリアン、ブロック、クリバーのトリオ
※④THJ の爆発力
それでは順番に追体験していきましょう。
①3ガードを中心としたハンドラーオフェンス
ルカ・ディンウィディ・ブランソンの優秀なハンドラーが中心のオフェンスを展開していましたが、今季についてはブランソンがいない中同じハンドラーオフェンスを展開しています。流石に限界を感じたのか、11/30 FAでケンバ・ウォーカーの獲得をしています。おそらくケンバが昨シーズンのブランソンの抜けた穴を補填する形としてフロントは獲得したのでしょう。ケンバ頑張れ…!!
②機動力を重視したスモールラインナップのディフェンス
前述にもある通り、昨シーズンは機動力を生かしたスモールラインナップのディフェンスで昨シーズンはボーナスステージの如く勝ち星を積み重ねてきましたね。しかし、スカウティングが進むのがNBA。今季は対戦相手に対策を講じられはじめ、なかなか通用せず失点するシーンをファンは幾度となく見てきましたね(過剰なストレス)。特にシーズン序盤は好調なウッドに代わり3PTが壊滅的なマキシ・クリバーを引っ張る采配を展開していました。そして、リバウンドや高さで負けるポゼッションがあり弱点であった"リバウンド"や"リムプロテクト"の改善がしないままクロージングゲームを戦う選択をしての敗戦。そして敗戦。オフの動きは何だったんだ!ウッド出せ!等々ファンは限界に。
果たしてシステムは変わるのか…!?
③ プレイオフでリーグ有数の3&Dとして活躍したドリアン、ブロック、クリバーのトリオ
プレイオフ大活躍の記憶が新しい御三方ですが、今季のスリーポイントの確率は壊滅的で何度もオープンスリーを外したか覚えていません。それでも昨シーズンの活躍を計算に入れた起用が続いています。キミたちは頑張れ…!!
④THJの爆発力
こちらは昨シーズンではありませんが、怪我前のTHJはスタート起用では40%を超える優秀なC&S確率を誇り、ベンチ起用では起爆剤として、いい意味で空気を読まずオフェンスの停滞感を払拭する神として崇め奉られていました。
特にプレイオフでLACを苦しめたTHJはみんなが好きな選手でしたね。
しかし今季、超超超超超超超超超大不調。"工作員"や"シュートを打てばターンオーバー"などと言われる不調っぷり。おまけにディフェンスのインテンシティも低くなってしまい、まさに"バージョンダウン"してしまい不良債権気味に…。もともと波のある選手でしたが沈みっぱなしな今シーズン。キッドの投じた一手はベンチ起用からスタート起用への変更。これが功を奏してか調子は2ミリぐらい上向きに変わった気がしています。キミも頑張れ…!!
いずれも"過去の成功体験"を基に思い込みや自身に都合の良い考えでの采配を続けている印象を受けます。解決策はと言うと、確証バイアスに陥った人は主観的になっており、客観的な第三者の意見を受け入れるや統計に基づく数値を示すことが第一歩のようですが、果たして今のフロントにその第三者はいるのでしょうか…。。。
②「正常性バイアス」
正常性バイアスとは、異常なことが起こった時に「大したことじゃない」と落ち着こうとする心の安定機能のようなものであるが、緊急事態では逃げ遅れなど、危険に巻き込まれる原因となります。
マブスの試合をよく見る方は心当たりがあることでしょう。
そう…
遅すぎるタイムアウト
です。
キッド自身はオンコートのフロアメンバーで、選手の自主性を信じて課題解決してほしいため、タイムアウトは取らない主義だそうですが、果たして本当に正解だと言えるのでしょうか。こればっかりは疑問に思いますね。終わってみれば、あと2点、4点で勝てていた試合も多く、策は早い方がいいに越したことがないのが僕の意見です。タイムアウトは早めにとろうな!
ざっくりとですが以上となります。
今のマブス(キッドHC)は心理学的には大変おもしろい教材となっているのが分かりますね。何はともあれ、"まずは自分を見つめ直すこと"が"変化"に向けた第一歩です。"変化"なくして今季は死んだ中途半端チームと化します。
ハーディやニリキナを試してほしいのが本音で、この先キッドの中で何かが変わることを願いまして今回はお終いです。
最後に、ケンバ神はマブスに来てくれてありがとう。何か"変化"を与えるきっかけになってくれたら本望です。
それではまた次回お会いしましょう。
よかったらコメント等でみなさんの意見をじゃんじゃん聞きたいです。それでは。
GO MAVS!