なぜ秦の始皇帝は中国を統一できたのか? –マンガ『キングダム』
初めに
マンガ『キングダム』が人気です。今年(2022年)は劇場版の第二弾も予定されており、勢いは留まるところを知りません。
純粋に『キングダム』はマンガとしても面白いのですが、所々で歴史的事象を想起させ、世界史に精通する人も唸らせるような描写もあり、歴史を学ぶきっかけにも繋がると思います。
今回は『キングダム』の舞台である春秋戦国時代を取り上げ、これからの『キングダム』をより深く楽しみながら読んでもらうことを目的にしたいと思います。もちろんネタバレはありませんので安心してお読み頂ければと思います。
流れとしては、まず中国でなぜ文明が生じたのかについて考察し、古代中国の特徴について確認をしたいと思います。次に『キングダム』の時代設定である、春秋戦国時代とはどんな社会だったのかについて説明したいと思います。
それを踏まえた上で最後に、なぜ中国の辺境(片隅)にあった秦が、初めて中国を統一するという歴史的な出来事を起こすことが出来たのかについて考えていきたいと思います。全体を通してなるべく分かりやすく説明するように心掛けたいと思います。
マンガでは、秦には優秀な大将軍たちがたくさんいて、その大将軍たちの活躍によって、次々と戦争に勝利し、領土を拡張していくシーンが描かれていますが、実際はそんな単純な話ではありません。他の国には存在せず、秦だけには存在した「何か(理由)」があるからこそ、秦は中国を初めて一つにできたのです。
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