所有権と使用権どっちがほしい?(1)
少し前に、お金に穴をあけるという細工をして逮捕されてしまったマジシャンがニュースになりました。
一見さらっと流してしまいそうな情報ですが、これは先入観を否定する、大事なニュースなのです。例えば、こんな実験をしてみたらどうなるのか?
<実験1>
場所: 最寄りの交番の前
持ち物: 左手に「自分のスマホ」。右手にドリル
やること: 勢いよく「スマホ」に穴をあける!
<実験2>
場所: 最寄りの交番の前
持ち物: 左手に「自分の財布に入ってる1万円札」。右手にドリル
やること: 勢いよく「自分の財布に入ってる1万円札」に穴をあける!
<実験1>では、なぜ交番の前でそんなことを?この人、ちょっと危ない人なんじゃないか?・・・という警察官の個人的心情に引っかからなければ、むしろ声すらかけてもらえないかもしれません。
けれども<実験2>の場合は、ニュースと同じように、警察にご厄介に。。。
<実験1>と<実験2>の違いは、ドリルで穴を開けたものが、自分のスマホか?財布に入っていた1万円札か?というところだけです。
「僕が汗水流して働いて稼いだ1万円なんだから、穴を開けたって自由じゃないか?逮捕されるなんておかしい!!!」
そう感じるのは、あなただけではないと思いますが。
でも、現実はそうではありません。
●●● 財布の1万円は誰のもの?
自分のスマホにドリルで穴を開けても、自分の車をハンマーで叩き砕いても、自分の家をクレーンで潰したって・・・罪に問われることはないですよね。
なぜなら、スマホも車も家も、自分が「所有している」ものだから。でも財布の1万円に穴をあけると逮捕されてしまうんです。先入観など全部捨てて、現実だけに目を向けてみてください。
財布の中の1万円は、あなたのものではないということなんです。
お金というものは、誰も所有権を持っていません。誰もが使用権を持っているだけ。
財布の中に1万円札が入っているということは、いま、あなたのところに、そのお札の使用権が回ってきているだけという意味です。
お金なんて、所詮は全部国のもの。ぼくらだって、会社だって、全部、借り物のお金の使用権を行使してるだけなのです。