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彫師になりたいネズミ

タトゥーに興味を持ったのは随分と昔
中学生の頃には魅了されてた


髪の毛を赤とか青の鮮やかな色にして
ピアスは耳たぶではなく軟骨
唇に鼻、そして顔に開けて
服の隙間から見える素敵な黒いライン
舌を切る人達

不良とは違うものに心を惹かれた中学時代

少し浮いていた


ずっと親の柵の中生きていて
未だに抜け出せない

もう心地よくなってるのか

はたまた

いつか白馬に乗った王子様が
迎えに来ると思ってるのか

自分はこうでなきゃいけない
親の喜びが私の生きがい

喜んでくれることしか出来ない
悲しませたらダメ
秘密はダメ

嘘をつけない
隠したらいけない

そんな柵の中生きていて

毎回少しずつ心を動かしてくれたのは
短く濃厚な時間を過ごした人達

少しずつ相手に見えてくる私の死絡み

「なんのために生きてるの」
「親のために生きてるの」

「それは違うよ」

そんな言葉を沢山貰った

親のせいじゃない
自分がそう思ってるだけ
私が悪い

親の教育とかじゃないの
私がそう考えて生きてるの

親も私のための人生って分かってる
それを応援してくれてる

だから私が勝手にそう思ってるだけ
だから私が悪いの

人の親の悪口言う奴なんか
私は無条件で嫌いだ

身内が大切だから

大切にして失うものなんてない

そう思ってた


いつからか自分の感情が分からなくなった
何がしたいとかどうしたいとか

「来世に期待する」

そんな言葉が口癖になる

親とずっといる方が
働くよりも大切なんじゃないかと思う

自立ができなくなる

正解が分からない
誰かが決めてくれるのを待つ

全てにおいての答えが
「いいね」

身内を大切にし過ぎて失ったのは
自分だった

尽くすのが大好き
それさえ出来れば生きていける

私の存在価値は
目の前の人の為に尽くすこと
笑ってくれたらいい

「あなたはどうしたいの」
私はどうしたいんだろう

わからない
あなたのすることが私のすること

「本当は何したいの」
私は何がしたいんだろう

わからない
あなたのしたいことが私のしたいこと


難しい質問をしてくる

「じゃあ貴方の意見は?私の意見は?」
私の意見ってなんだろう

私の意見はみんなの意見
みんなってだれだろう
親と友達そしてパートナー
じゃあそこの意見が別れたら?

そこまで質問してくるのか

私が死んだら1番の解決なんだろうなと思った
だってそう、問題の中心が私だから
普通に、そして、悲しませないのが大事だから

「白馬に乗った王子様は迎えに来ないんだよ」

そうなんだでもなく
知ってるよでもなく
ふーんでもなく
なんも思ってない考えてない
考えたら思いつくことなのかもしれない

けどその時に言った返事は覚えてない
言い放たれたのか
寄り添って言われたのかも
覚えてない

私に王子様が来ると思ったこともない
誰が私をお姫様だと思う?


たまに口から出る言葉だって
本心でもない
動いてない口が勿体なくて
ただ出てる言葉

「おなかすいた」

本当に空いてるかも分からない
おなかいっぱいかも分からない

だってずっと食べれるし
食べないこともできるし

動いてない口が勿体なくて
ただ食べる

ずっとそんな生き方

ベロを切った時もそう
「親にちゃんと謝りなさい」

謝った

「謝れって言われたから謝った」
「私も悪いと思ってる」

悪いって思ってない
何が悪いか分からない
その時思ったのはただ1つ

「悲しませたならごめんなさい」

けどなんで悲しいの?
悲しませてなかったら私は何も悪くない


「お前ってキラキラしてないよな」
「その年で働いてもないし」
「今周りはみんな働いてて輝いてるのに」


あなたのやりたいことは
私たちが死んでからやりなさい

私のやりたいことは
特殊だったらしい

私は医療に行った
喜んでくれると思ったから

喜ばせられなかった
頭が悪いから
出来が悪いから
お金をただたドブに捨てた
悲しい思いをさせた

悪い子だって思った

周りが悲しいのに
私が悲しんでどうする
普通でいなくちゃ

心の痛みは物理的に
物理の痛みは快楽に

あっけらかんとしてるのね
何考えてるのか分からない
私たちの方が落ち込んじゃう

心の痛みは物理的に
物理の痛みは快楽に


どんどん増える傷
全て言い訳ができるから
誰にも気づかれない
 いい子だから心配されない



小さいお守りを作ってもらったことがある
「とりあえず持っておきなさい」
未だに部屋にあるお守り
ふと思い出すけど
未だになんで持たせてたのか聞けない

多分普通じゃなかったから

その時のことを思い出させるのは申し訳ない


「キラキラしてないよな」
「親は子供のために生きてんだよ」
「子供が親のためにってなんか変」

そっくりそのまま
「親は子供のためにってなんか変」

その言葉じゃない
その言葉で私は揺れ動いてなんかない

ただ、そいつが
自由にのびのびしてて
ただ、そいつが
私のやりたいことをやってるのが
不満だっただけ

気に食わなかっただけ

そいつがいなくなる頃

「貴方にできて私に出来ないことはない」
「やらない後悔よりやって後悔」

この2つだけ頭に残って
彫師の所へと向かった

親の顔もきっと浮かんだかもしれない
けど覚えてるのはその2つ
罪悪感もほぼなかった

バレなきゃいい
どんなこともそうやってきた
きっと全てバレてない
大丈夫
私だけ悲しいって思っておけばいい

そのあと全て快楽に繋げられるから

当日は楽しみだった
べろを切った時くらい楽しみだった
倒れたけど



「絵、上手いね」
「もしなりたいならやってみれば?」
 
何回か行って言われた言葉だった

ずっと絵を描いていた
どんな時も描いていた

楽しい時も悲しい時も辛い時も

授業中もテストも暇さえあれば描いていた
 
上手くはない
綺麗でもない
ただ描きたいものを描くだけ

その学生から成長してない
まんまの絵を持っていき
彫ってくださいとたのんだら

「絵、上手いね」
「やってみれば?」

プロの人に嘘でも褒められて
嘘でもやってみたら?
と言われたら嬉しくて舞い上がる
こんなことは二度とない
今しかない

今までの死絡みも1回忘れよう


それぐらい私にとって嬉しい言葉だった

この人は絵がすごい綺麗で上手で
すごい魅力的な絵を描く人だ
その人に褒められたんだ 

その言葉を鵜呑みにしてやってみよう


自分の本当にやりたいことだっただろう

何年かけてでもやってみせる

親じゃない自分の人生だ
自分が昔憧れていたものになれそうなんだ


私はここで勉強させてくださいと
彫師になろうと決めた。




最初だけこんなです
あとからは元気にやってますので
よろしくお願いいたします


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