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世界最速ビジネスモデル

中国ビジネスモデルの多くの事例が載っているので、気になって買ってみました!

第一世代、1994年〜 テンセントアリババ
第二世代、2010年〜 バイトダンスメイトゥアンシャオミ
第三世代、2015年〜 快看漫画新氧VIPKIDピンドゥオドゥオ
3つの世代について詳しく書かれています。

快看漫画

2018年の夏、公開から3日で興行収入が1億元(約16億円)を突破した中国の映画、『兄に付ける薬はない!2016年から漫画アプリ上に連載され、読者フォロワー825万人、コメント数148万件、閲覧数30億回。スタートアップの「快看漫画」が2014年にアプリを開発した。

3年でユーザー数1.3億人DAU 1000万人、中国の競合2位〜6位のDAU合計を上回る。2019年7月にはユーザー数が2億人を突破。

低価格化から始まる好循環の因果ループ図
低価格化 → マーケット・シェアの増加 → 販売数量の増加 → 規模の経済性 → 商品の原価低減 → 低価格化 (ループ)

システムシンキングは、ある原因が引き起こした結果が、次の何を引き起こすのかに注目する。原因と結果が循環するからこそ生まれる現象を解き明かそうとする。矢印には数値が表せるものが入る。

快看漫画のポイント
・90秒以内にユーザーの心を掴まなければ興味が失われる。素早く、かつ効果的にユーザーを引きつける画像が必要
・1つの作品に複数のタイトル画像を表示
・それぞれのユーザーに効果的なタイトル画像を表示
・過去に視聴した映画の俳優やジャンルから適切な画像を選択

おすすめは、2つだけを表示して絞り込んでいる。

プラットフォーム企業は、非プラットフォーム企業の約半分の従業員数で同程度の売上を達成している。プラットフォーム型の営業利益率は、パイプライン型の約2倍に達し、株式市場の企業価値も2倍以上を示している。

新氧

2013年に設立。口コミサイトを構築し、コミュニティを作る。そのサイトに正規の病院と資格を持った医師に登録してもらう。351都市7000の提携医療美容機関2.6万人の医師が登録。2020年には470万件の施術記録が登録されている。利用者数は3500万人。2018年に6回目の調達で79億の調達。米国ナスダックにも上場し、時価総額は14億ドル

クロスサイド効果
需要サイドと供給サイドの間をまたがるもの。イーベイやメルカリがこの典型。

VIPKID

2013年10月設立。顧客ターゲット3〜15歳の子供に絞り、1対1のオンライン英会話をスタート。教師は100%北米ネイティブ。教師は10万人が登録。世界63の国と地域で広がり、80万人毎月500万回以上の授業が行われている。

コミュニティづくりと活性化
カナダやアメリカの各州で定期的に集会を開き、実績を上げた人たちを表彰する。レッドカーペットを敷き、5人を表彰する。1万人規模のコミュニティも形成され、「相互承認」の場となる。

ピンドゥオドゥオ

FacebookのEC版。共同購入して圧倒的に低価格で購入できる。

立ち上がりから1年で1000万人、日々の注文数も100万件を超える。流通総額は10億元突破。2018年7月に米国ナスダックに上場、2020年9月で年間流通総額は1.4兆元(23兆円)。購入利用者は7.3億人

プラットフォームビジネス
プラットフォームビジネスは、当たり外れが大きい。人が集まれば大成功となるが、往々にして集まらないので、うまくいかない。

ビジネスモデルポートフォリオ
どれだけ多様な方法で顧客に価値を届けるのかの範囲。企業が戦略を実現するためにどれだけ多様なビジネスモデルを組み合わせるのかが問題となる。

企業価値を高める4パターン
1.特化型
特定の市場で、特定のビジネスモデルで勝負をかける企業。プラットフォームなどで大成功を収めた企業は、経営資源をそこに集中して急成長する。
2.融業型
少数の市場に対して多くのビジネスモデルを展開。さまざまなサービスを派生させる。
3.横展開型
たくさんの市場で事業活動をしているが、得意なビジネスモデルは確立済み。勝ちパターンを使い回す。
4.多角化型
たくさんの市場でさまざまなビジネスモデルを展開する。安定性は高まるが、経営資源が分散する。

リユース型
AIによるソリューション提供企業は、まずAIアルゴリズムとビッグデータによって、継続課金できるビジネスモデルを作る。ビジネスモデルを多様な市場(業種セグメント)に展開して収益を伸ばす。

バイトダンス

TikTokは世界150の国と地域で、75の言語でサービス展開、MAU 7億人。アメリカでも1億人を超える。初めはニュース配信アプリとして2012年8月にリリース。1年で9500万人が利用。

TikTokの原型は、抖音(ドウイン)
音楽機能に特化したショートムービーアプリ。ニュースアプリのアルゴリズムを活用。

わずか5つのステップで投稿&撮影
1.アプリ起動して撮影を始める
2.楽曲を選ぶ
3.速度調整する場合は変更を選ぶ。加工する場合はスタンプやフィルター機能を選ぶ
4.動画を編集する
5.編集を終えたら投稿する

メイトゥアン

グルーポンをお手本にサービスプラットフォームを構築。
1.ものを扱わず、サービスに特化し、網羅する
2.戦略的に地域店舗を開拓し、全国展開を進める
3.スマホアプリの開発に注力し、サービスを高める

レストランやサービスの利用者を、旅行代行サービスへ誘導する。ホテルの新規利用者の80%が、飲食関連のサービスの利用経験者。

シャオミ

スマホ事業でユーザーコミュニティを軸にビジネスモデルを確立、スマホアクセサリー、IoT家電、日用品に横展開。2017年にはサービス部門の粗利益が全体の4割を占める。ネットサービスの売り上げ比率はわずか1割のため、驚異的な利益率の高さ。

高効率のビジネスモデル
1.利用者との共同開発
OSのみでなく、携帯開発にも利用者の声を生かす。自分の意見が採用されると、ますます意見を伝え、愛着も高まる。友人に「MIUI」を宣伝してくれる。
2.一流サプライヤーからの調達
部品の調達は、アップルやサムスンのサプライヤーへ依頼。機種を絞り込み、経営資源を集中
3.自社ECサイトで直販
ECで直販すれば、コスト削減となる。
4.SNSの活用による広告費の削減
3年間広告費をゼロに抑え、Android利用者コミュニティ「MIUI」や中国で広まっていたSNSを広告・宣伝に利用した。

シャオミ 横展開市場の選択基準
1.市場が大きいか
2.その市場における既存製品の品質が悪い、もしくは改善される余地があるか
3.その製品は継続的にアップデート可能か、消耗品モデルが成り立つかどうか
4.その製品の利用者は、シャオミの利用者(当時1.5億人)の特徴(18〜35歳、7割は理系男子)と合致しているか
パートナーの要件
1.優れた技術を持っているか
2.シャオミの価値観と一致しており、品質重視であり、利益最優先ではないか

模倣によるイノベーション
模倣は独創の母である」と言われている。芸術的な経営も模倣から始まるのかもしれない。ビジネスの世界でも常識を覆して新しい事業を立ち上げ名だたる経営者は、模倣や参照のしかたがとてもうまい。

テンセント

1998〜2010年まで様々なサービスが模倣から生まれている。インスタントメッセンジャーQQも、ICQの中国版がなかったため、機能改善してリリース。9ヶ月100万人が登録した。

3Q大戦
二者択一を迫るテンセントの姿勢が業界に波紋を投げかけ政府が介入。独占禁止法案件となり、360とQQの頭文字をとって3Q大戦と呼ばれる
テンセントが勝ったが評判はガタ落ちした。12周年にあたり戦略を大幅に見直す。

「われわれはテンセントプラットフォームの解放を促し、エコシステムの調和に配慮します。テンセントは最も強く、大きな企業になるのではなく、最もリスペクトされる会社になります」

ウェイシン(微信)

ウェイシンは、微少の文字数の手紙を意味して名前の由来になっている。メッセンジャーとSNSが融合したサービス。リリースして、1年2ヶ月で利用者1億人を突破。QQは1億人までに10年かかった。Facebookは4年6ヶ月、Twitterは4年1ヶ月。2018年にウェイシンとウィーチャットのMAUは10億人を突破している。

ウェイシンのエコシステムパートナーJDドットコム、1998年に創立。JDは中国全土に自前の物流・配送ネットワークを構築しているため、ほとんどの商品は注文当日もしくは翌日までに配送される。2014年に米ナスダックに上場。2020年第一四半期の売上は、1462億元(約2.2兆円)、年間アクティブユーザーは、約3.8億人

テンセントの模倣戦略は、プラットフォーム・エンベロプメント戦略と呼ばれる。まず、サービスプラットフォームの基礎部分をおさえてから、次に、そこに付加できるサービスを後発優位で包み込むように支配していく。

アリババ

アリババは、1999年に設立されたECプラットフォーム企業。2014年に米国ニューヨーク証券取引所で上場し、当時世界最大のIPOとなった。
2020年の売上は、5097億元(約8.2兆円)純利益1403億元(約2.2兆円)
アリババのミッションは、「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる」

イーベイとの戦いに勝った際に、ジャック・マーは、「イーベイは海の中のサメかもしれないが、私は揚子江のワニだ。海で戦えば負けるが、川で対決すれば私は勝つ」と名言を残している。

中国は、自国の経済が遅れたがゆえに、これまでの制度やインフラに縛られる必要はなかった。先進国が築いてきた技術を『一足飛び』に進化できた。この現象を「リープフロッグ」という。

スタートアップに共通するポイント
1.ミッションを重視
2.創造的な模倣による発想
3.プロトタイピングによる実験
4.外部資源の有効活用
5.エコシステムの創出

中国の第一世代から最近の第三世代までのビジネスの循環モデルやピクト図で、それぞれの企業のモデルが分かりやすく説明されていています。それぞれの世代の特徴も分かりやすく書いてあり、ビジネスモデルの参考にとてもなる1冊でおすすめです。



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