見出し画像

株式会社の世界史

東洋経済の読書案内特集でおすすめになっていたので、気になって読んでみました。株式会社がどのように出来たのか?どこに行くのか?が説明されている書籍です。

株式会社」とは、所有と経営が分離し、株主が主権を有することを前提として、株式市場において公開された会社、あるいはその先駆的な形態の法人。

一旦合意が成立すれば、以後は人肉1ポンドは3000ダカットの金と交換可能となる。等価交換されたという事実だけが抽出される。売り手と買い手の合意。

東インド会社
オランダの東インドにおける植民地経営、貿易を独占的に行った会社。オランダ連邦議会は1602年3月に連合東インド会社設立を決定した。

会社が欠損を出したとしても、株主が投資した金額以上の損害を受けないことを保証する。株主の有限責任制であり、東インド会社が株式会社の原型と言われる所以。

イギリスは、商人ギルド組合組織(制規組合)や、その発展型として、各社の資本を1つにまとめて取締役会を設けたジョイント・ストック・カンパニー(合本制組合)が進化して東インド会社へと化身していった。

1494年出版 計算および記録に関する詳説 簿記論
1枚の紙、あるいは帳簿に、持ち物すべて記録しておかなければならない。最初はもっとも価値を評価しやすく、流動性の高いもの、たとえば、貨幣や宝石、銀などから始め、最終的には個人の所有物や不動産も記録しておく。
現在の貸借対照表の説明そのもの。

アダム・スミス 国富論
分業」 私たちが食事できると思うのは、肉屋や酒屋やパン屋の慈悲心に期待するのではなく、彼ら自身の利益に対する彼らの関心に期待するから。
見えざる手」 どの個人も、できるだけ自分の資本を国内の労働を支えることに用いるように努め、その生産物が最大の価値をもうように労働を方向づけることにも努めるのであるから、必然的に社会の年間の収入をできるだけ大きくしようと努めることになる。
株式会社」 株主の大部分は、会社の業務について、あえて何事かを知ろうなどと張り切ることは滅多にない。取締役は、自分の金というより、他人の金の管理人である。

宮本常一の職業倫理
いい仕事をしておくのがいい。俺のやった仕事が少々の水で崩れるものかという自信が、雨の降る時にはわいてくるものだ。結局いい仕事をしておけば、それは自分ばかりでなく、あとから来るものもその気持ちを受け継いでくれるものだ。

時は金なりということを忘れてはいけない。自分の労働で1日に10シリングを稼ぐことができる者が、半日出歩いたり、何もせずに怠けていたら、その気晴らしや怠惰のために6ペンスしか使わなかったとしても、それで出費がすべてだと考えるべきではない。実際には5シリング使ったというよりも、捨てた。

カール・マルクスは、「資本論」の第2編で、交換プロセスを資本蓄積のプロセスとして明らかにしようとした。有名なG - W - G'(Gは貨幣、Wは商品)という式によって貨幣と商品、商品と貨幣の等価交換過程の内部に、労働力搾取という不等価交換が存在していることを明らかにしようとした。

1950年の産業従事者統計によれば、約45%農林水産業の第一次産業従事者で、工場労働者の第二次産業従事者をあわせれば、70%を超える。会社で働くホワイトカラー2割に満たない。販売・サービス業従事者を加えても、3割に満たないが、今は完全に逆転した。

株式会社存立の根拠の1つとして、自然人を超える永続性(ゴーイング・コンサーン)が必要であった。永続性の呪文が消えた時、会社は死に体になる。会社が会社であるためには、組織はヒトのように「生きて」いなければならない。ヒトの寿命を超えて「生き続ける」ものでなければならない。

ひとは、自分が1人で作った規則は容易に破ることができる。他人が作った規則に関しても同じ。共同体が作った習慣や規則は、簡単に破ることができない。共同体への「背信」であるから。

人類学者ルネ・ジラールは、「人間は、他者の欲望を欲望する」と、的確に表現した。欲望と他者は共犯関係を構築する。「私」と他者は相互に欲望を拡大し続けることになる。

会社にとって、利益を出すことは目的であるに違いないが、その上位に、会社が存続していなければ利益もまたあり得ない。

これまでは、気の遠くなるような出版物点数の中から、過去のどこかで発行された1冊を探し出すのは、大きな手間と労力を必要とした。それが今は一瞬のうちに、コストなしで探すことが可能となった。インターネットは、空間だけでなく、時間も圧縮できる。

インターネットの真の意味は、不特定多数無限大の人々との繋がりを持つためのコストがほぼゼロになった」1億人から1円ずつ貰えたら1億円になる。1円をもらう労力・コストが1円よりも大きかったら現実的でなかったが、インターネットの利用によりコストがほとんどゼロになる魔法が実現した。

インターネットという技術が作り上げた1つの功績は、空間と時間というものを無限に圧縮したこと。人間は遠方にいる友人とも、あたかも目の前に対座しているかのごとく、時間差なしでコミュニケートできるようになった。不特定多数無限大の人々と、一瞬のうちに繋がることができ、様々な新しいビジネスの可能性を切り拓いてきた。

金融とは、お金をお金で買うこと。金融の基本的な定義は、お金の流れということであり、資金調達、資金の分配、投資と融資といったこと。商品市場を迂回することなく、貨幣を直接売買することが、巨大な利益を生む。

貨幣の現在価値将来価値の差異を決めるのは、1つは利息という時間的なファクターであり、もう1つは各国ごとの通貨強度の差異という地政的差異のファクターである。

落語の「芝浜」には「日本人独特」の美意識がぎっしり詰まっている。美意識こそ、日本を特徴付けるものだと思いたがっている。美意識とは、お金に対する微妙な距離感、働くということの意味、夫婦の理想。

マルクス思想の真髄は、人間の営みの中に必然性があるとすれば、人間の精神の内部的な要因によって決定されるのではなく、経済や環境といった外部的な要因と人間精神との間の関係によって決定される

株式会社の成り立ちや思想、経済論について歴史から分かりやすく解説されている本で、株式会社、経営、経済を知るのにおすすめの1冊です。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集