
ゼロからの『資本論』
人新世の「資本論」を書いた斎藤幸平さんの新作が出たので、気になって読んでみました〜
今回はマルクス資本論入門の書籍です
人間と自然との物質代謝
「物質代謝」とは、生体に取り込まれた物質が、多様な化学変化を経て、異なった物質となって体外に排出される過程で、食べたものが消化されて、栄養になり、要らないものは体外に排出される過程
『資本論』は「富」から始まる
資本主義的生産様式が支配的な社会の富は、「商品の巨大な集まり」として現れ、個々の商品は、その富の要素形態として現れる。それゆえ、われわれの考察は商品の分析から始まる
資本主義社会の「富」は「商品」という形で「現れる」とマルクスは言っている
ありとあらゆるものを「商品」にしようとするのが資本主義の大きな特徴の一つ。豊かさの前提ではない
「商品生産が全面化された社会」
ありとあらゆるものが商品化されていく資本主義社会では、物を作る目的、すなわち労働の目的がほかの社会とは大きく異なっている
「儲かるモノ」と「必要なモノ」は必ずしも一致しない。マルクスは、「商品」には2つの顔がある
「使用価値」と「価値」
「使用価値」とは人間にとって役に立つこと(有用性)、人間の様々な欲求を満たす力
「価値」とは有用性だけでは分からない、椅子や卵はどれも同じ「価値」を持っていって、1万円として表現されている
マルクスの「価値」は、その商品を生産するのにどれくらいの労働時間が必要であったかによって決まる「労働価値説」
物象化
「価値」のためにモノを作る資本主義のもとでは立場が逆転し、人間がモノに振り回され、支配されるようになる
資本は「お金」ではなく、工場や機械や商品のような「物」でもない。マルクスは資本を"運動"と定義している。絶えず価値を増やしながら自己増殖していく運動
資本家であろうとするなら、リスクをとってお金を投資し「売れそう」なモノを生産し続けなければいけない。資本を増やす唯一の方法。究極的には、価値は「生産という秘められた場所」でしか増えない
ケインズは、資本主義が発展していけばやがて労働時間は短くなると予言した。労働時間は、2030年には週15時間になるかもしれず、人々は時間を持て余すようになる。増えすぎた余暇をどうやり過ごすか
賃金は、市場での需要と供給の関係だけでは決まらない。賃金は、労働者が生活していくのにいくら必要かで決まるとマルクスは言っている
テイラー主義
生産工程を細分化して、各工程の動作や手順、所要時間を分析し、工程ごとに標準作業時間を確定した。作業の無駄を徹底的に省くため、動作に合わせて体型や能力などを考慮した配置換えを行い、専用の道具を開発し、道具や部品の置き場まで細かく決めていく。生産の技術的条件が、資本家によって根底から変えられていく
環境社会主義
単に人々の経済的平等だけでなく、自然との物質代謝の合理的な管理を目指す
ドイツでは学費が無料のため、大学を4年で卒業する人の方が少なく、6年かかるのはいたって普通。博士課程まで入れると20年ぐらい学生をやっている人もいる
マルクスの「資本論」を分かりやすく色々な角度で解説して理解を深められる書籍で、マルクスの資本論の入門として、とてもおすすめの1冊です