からになれば

この道は霧の向こうまで続いています
自分は立ちすくんでぼんやりしています

そこには何がありますか
こういった質問を
どなたかに聞くのも憚られます

恥ずかしいのです
自分がいかに頭の足りない人間なのか
見たくないのです
自分以外が軽快に道を歩く様を

全てが遅いと怒鳴られ続けました
覚えがとにかく悪いのです
身体にいくつも穴が空いてるのでしょう
入れたはなから溢れてしまう

ぎこちなく鼻から息を吸い
ぎこちなく鼻から息を吐きます
口の中では舌の位置が定まらず
前歯の裏で足止めを喰らいました
身体ですらうまく扱えないのです

こんな自分に行ける場所などあるのですか
はなから溢れたものに足をとられ
結局どこにも行きません

覚えているのは
この道が霧の向こうに続いているのみ

全部溢れて空になれば
やっとそちらへ行けるでしょう

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