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これって、ドラゴンですか?
「これって、ドラゴンですか」
加賀は笑った。
「そう見えますが、中国の伝説上の動物、麒麟です。ビールのラベルにもなってるでしょ」
ああ、と香織は頷いた。
「翼なんて付いてましたっけ」
目の前にある麒麟像には翼がついているのだ。
「本来の麒麟にはついていないはずです。だけどこの橋に麒麟像を飾る事が決まった時、翼をつけることになったそうです」
「どうしてですか」
ここは、と言って加賀は道路の中央を指した。
麒麟の翼(原作:東野圭吾)でもお馴染み日本橋、麒麟像。
ぼくはこの場所がすごい好きなんです。
この麒麟像が立っている日本橋は五街道の起点となって、日本の道路網の始点となった場所。
いわば日本の道の始まり。
そこに佇んでいる麒麟ですが、本来は翼は生えておりません。
でも日本橋は日本の道のスタート地点、翼はここから日本中に飛び立っていけるようにと願いを込めて造られたそうです。
自分は何か新しいことを始める時には、必ずここを散歩します。
不思議となにか力をくれそうな気がするから。