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経営者と現場スタッフ、二足のワラジのメリット、デメリットとは?
私は現在、介護事業の会社の経営者をしながら、現場の居宅介護支援事業所の管理者も兼務して働いています。
要するに経営者と現場のスタッフとの二足のワラジですね。
この2足のワラジには、メリット、デメリットがあります。
今回は、私が感じたメリット、デメリットについて書きたいと思います。
メリットは?
①現場のことがわかる
やはり一番のメリットは、現場のことが手に取るようにわかる。
ということですね。
その現場を経験していないとわからないことって結構あると思います。
私は会社を起業してから、リハビリ特化型デイサービスを立ち上げて管理者として3年、訪問看護ステーションを立ち上げて理学療法士として4年、居宅介護支援事業所を立ち上げて管理者として1年9ヶ月働いてきました。
事業を立ち上げるたびに、その現場で働いてきました。
もちろん全ての現場で働くことはできないので、相談支援事業所などは他のスタッフにお任せしています。
こうしてそれぞれの現場で働いてみると、その現場でのやりがいや苦悩といったスタッフとして感じることを実際に自分でも感じることができます。
この「現場の感覚が分かる」ということは大きいのではないかと思っています。
②人件費を抑えられる
また、これは副次的ですが、人件費を抑えられるというメリットもあります。
特に創業時は運転資金が限られていますから、自分も現場で働くことができればその分人を雇わずに済むので、人件費を抑えることができます。
介護事業は人件費の比率がかなり高いので、これはメリットになります。
副次的といったのは、人件費を抑えることが一番の目的になってしまうと、いつまで経っても現場から抜けられなくなってしまい、本来の経営者としての仕事をする時間がなくなってしまうからです。
それでは本末転倒なので、あくまで二足のワラジを履くのは「現場の感覚が分かる」ということを第一の目的とした方が良いかと思います。
③資格を持ったスタッフを待たなくても事業展開ができる
介護事業には資格が必要な仕事が結構あります。
看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、相談支援専門員、サービス管理責任者などなど。
これらの資格を経営者自身が持っていれば、その資格を持ったスタッフを雇わなくても事業をすることができます。
こういった資格を持った方は、求人をしてもなかなか応募がこないことが多いです。
スタッフが入らないために事業展開が止まったりすることもあると思います。
実際に私は理学療法士とケアマネジャーの資格を持っていたので、デイサービスでは機能訓練指導員、訪問看護ステーションでは理学療法士、居宅介護支援事業所ではケアマネとして勤務することができ、外部から資格を持った人を雇わなくても事業を行うことができました。
こういうメリットはあるので、経営者が色々な資格を取っておくメリットは大いにあると思います。
デメリットは?
逆にデメリットは、メリットの所でも少し書きましたが、現場の仕事時間が多くなると経営者としての仕事に割く時間が少なくなってしまうということです。
経営者は労働基準法が適用されないので、いくらでも働こうと思えば働けますが、現実には現場スタッフとしてフルで働いて現場の仕事が終わった後、さらに経営者としての仕事をするとなると、かなりの負担にはなります。
実際に私はリハビリ特化型デイサービスで働いていた時にはこのような状態で、日中はデイサービスでフルに仕事をして、夕方にデイサービスの仕事が終わってから、もしくは土日の休みの日に経営者としての仕事をしていました。
この時は正直、体力的にはかなりきつかったですね。
この時期は創業したばかりだったので、少しでも運転資金を温存しておきたいということが優先していました。
時期によって優先順位が変わることはあると思います。
理想的な姿は?
理想的には、経営者は経営者としての仕事に専念するのが良いと思います。
初めは現場に入っていたとしても、事業が軌道に乗ってきたらスタッフを入れて現場から離れていくのが良いですね。
それはなぜか?
経営者には経営者にしかできない仕事があるからです。
何をミッションとして経営をしていくのか?
将来を見越して、今のうちからどう動いていくのか?
ビジョンに向かって目標を達成していくために、経営資源をどう活用していくのか?
こうしたことを考えて決めていくことは、経営者がすべき仕事です。
従業員がやってくれるわけではありません。
経営者にしかできないこうした仕事をしっかりしていくためにも、現場の仕事以外の余力は残しておく必要があると思います。
今回は、経営者と現場の仕事の二足のワラジを履くことのメリット、デメリットについて書いてみました。
ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました!