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優秀な現場スタッフがリーダーになってつまずく本当の理由

こんにちは!
みなさんの職場で、現場の仕事がバリバリできていたのに、役職者になったらうまく力が発揮できていない人はいませんか?

こうした、現場の仕事が得意な人が必ずしも役職者に適しているわけではない、という点は多くの組織で見落とされがちな重要なポイントです。

役職者には現場とは異なるスキルや視点が求められるため、現場でのパフォーマンスをそのまま役職者としての能力と見なすと、組織の中でギャップが生じてしまうことがあります。

今回は、このテーマについて掘り下げ、役職者に求められる具体的な能力と現場職との違い、そして役職者選定において考慮すべきポイントについて解説します。


1. 役職者の役割とは何か

役職者と現場職の間には、その業務内容や求められる役割に明確な違いがあります。
現場職は主に実務を通して、直接的に業務を遂行することが求められる一方で、役職者はその現場職のサポートやマネジメントを通じて、チーム全体や組織の目標達成に貢献する立場です。

このため、役職者には「自分自身が現場での実務に熟達している」というだけでは不十分であり、他者を導き、目標に向かって統率することが求められます。

役職者に求められる基本的な役割

役職者にはいくつかの基本的な役割が存在します。以下の3つが代表的なものです。

  1. チームの方向性を示す
    組織が掲げるビジョンや目標を理解し、それを部下にも共有することが求められます。
    役職者は単なる指示役ではなく、チーム全体の道しるべとなり、各メンバーが日々の業務を通じてどのように組織目標に貢献できるのかを具体的に示す必要があります。

  2. 意思決定と問題解決
    現場では予測不能な問題が発生することが多々ありますが、役職者にはこうした事態に対して迅速かつ的確な意思決定が求められます。
    現場の視点だけでなく、組織全体や長期的な影響を考慮した判断ができることが重要です。

  3. 部下の成長とモチベーション管理
    役職者は部下の指導や育成にも責任を負います。
    各メンバーの強みや課題を把握し、それぞれが成長できる環境を整えると同時に、やりがいを感じられるような仕事の割り振りやフィードバックを行います。
    これによって、チーム全体の士気を高め、持続的に成果を上げる体制を構築します。

このように、役職者には単なる実務遂行ではなく、組織の目標達成に向けたマネジメントとリーダーシップが求められます。
この点を理解することで、現場職との明確な違いが見えてくるでしょう。


2. 現場と異なる役職者に必要なスキル

役職者に求められるスキルは、現場での実務スキルとは大きく異なります。

役職者には、組織全体の利益や目標に向かってチームを導くための能力や、メンバーの力を引き出すスキルが必要です。
以下に、役職者にとって重要なスキルをいくつか紹介します。

1. リーダーシップとコミュニケーション能力

役職者として、最も重要なのがリーダーシップとコミュニケーション能力です。
リーダーシップとは、単に指示を出すだけでなく、メンバーの意見を尊重し、相互理解を深めながらチーム全体を目標に導く力を指します。

また、役職者には、自らの意図や指示をわかりやすく伝えるコミュニケーション能力が欠かせません。
特に、各メンバーの理解度やスキルに応じた指示の出し方や説明の仕方を工夫することで、チーム内でのミスコミュニケーションを防ぎ、信頼関係を築くことが可能になります。

2. チーム全体のパフォーマンス管理

役職者には、チーム全体の業務の進捗を管理し、効率的に運営するスキルが必要です。
現場職では自分の担当業務の成果が重視されますが、役職者はチーム全員が力を発揮し、部門の目標に対して最大限の成果を出せるように支援します。

メンバーの得意分野や弱点を把握し、各人が持つスキルや特性に応じて適切な役割を割り振ることができるかが重要です。
また、メンバーのモチベーションを維持し、時にはメンバーが抱える問題に対処しながら、チームのパフォーマンスを高いレベルに保つことも役職者の責務です。

3. 戦略的視点と問題解決能力

役職者には、現場の視点だけでなく、組織全体を見据えた戦略的な視点が求められます。
日々の業務だけでなく、長期的な視野でチームの目標設定や計画立案を行い、組織全体の成長に貢献するための判断が求められます。

また、問題解決能力も不可欠です。現場職は発生した問題に対処することが主な役割である一方、役職者は問題の根本原因を見つけ出し、再発を防ぐための仕組みづくりを行います。
このような視点を持つことで、組織全体の効率向上や問題の早期発見が可能になります。

以上のように、役職者にはリーダーシップ、パフォーマンス管理、戦略的思考といった多岐にわたる能力が必要とされます。

これらのスキルは、現場で優秀な実務者がそのまま習得できるものではないため、役職者としての成長が不可欠です。


3. 現場の優秀な人材をそのまま役職に据えるリスク

現場で優れた成果を上げている人材を、役職者として登用するのはよくあるケースです。
しかし、現場のスキルと役職者としてのスキルは大きく異なるため、適性が伴わない場合には、本人だけでなくチーム全体にも影響を及ぼすリスクがあります。

役職者の仕事は、決して現場の仕事の延長線上にあるわけではないのです。

ここでは、現場での優秀さが必ずしも役職者の適性につながらない理由と、そのリスクについて解説します。

現場での優秀さと役職者の適性の違い

現場で優秀とされる人材は、専門的な知識やスキル、迅速な問題解決能力、実務における高いパフォーマンスなどが評価されがちです。

しかし、役職者にはこれらに加えて「チーム全体を見渡し、メンバーを導く力」が求められます。

たとえば、現場で高い成果を上げていた人がそのまま役職者となると、自分のやり方を押し付けたり、他者の意見に耳を貸さずに自己流で業務を進めてしまうケースもあります。
これは、現場では高評価だったアプローチが、役職者としては適切でない場合があることを示しています。

役職者としての適性がない場合の影響

役職者としての適性がないまま役職に就くと、以下のような問題が生じるリスクがあります。

  1. メンバーの士気低下
    役職者が「優秀な実務者」だったために、他のメンバーに過度な期待をかけ、結果として部下がプレッシャーを感じすぎることがあります。
    また、指示が一方的になったり、チーム内の意見交換が減ったりすることで、メンバーの士気や意欲が低下し、チーム全体のパフォーマンスが落ち込む可能性があります。

  2. 業務効率の低下とミスの増加
    適性のない役職者がチームを率いると、コミュニケーションの不一致が生じやすくなります。
    指示が曖昧であったり、具体的なサポートが不足したりすることで、業務効率が低下し、ミスが増加することが考えられます。
    結果として、役職者が本来行うべきマネジメント業務が疎かになり、問題解決よりも対処療法的な対応に追われることも少なくありません。

  3. 本人のストレスと組織への影響
    適性がないまま役職者としての責務を担うことは、本人にとっても大きな負担となり、ストレスが溜まりやすくなります。
    本人が思うように成果を上げられず、結果的に自信を失ったり、最悪の場合には離職するリスクも生まれます。
    また、こうした状況が長期化すると、組織内での不信感が広がり、次の人材育成や役職者選定にも影響を及ぼしかねません。

以上のように、現場で優秀だからといって、そのまま役職者に据えることにはリスクが伴います。
現場での成果と役職者としての適性を混同せず、適切な判断を下すことが重要です。


4. 役職者の選定基準と適正な育成方法

役職者の適正な選定には、現場での業績だけでなく、役職者としての能力や適性を見極める視点が欠かせません。
また、適性のある人材であっても、役職者としてのスキルを培うための育成が必要です。ここでは、役職者選定の基準と育成方法について詳しく解説します。

役職に求められる能力の見極め方

役職者として適性があるかどうかを見極めるためには、単に実務能力だけでなく、次のような資質があるかを考慮することが大切です。

  1. リーダーシップの有無
    リーダーシップは、役職者に欠かせない要素です。
    周囲から信頼され、自然と人が集まって意見を聞いてもらえるような存在であるかがポイントです。
    リーダーシップの有無は、普段の業務の中での立ち振る舞いや、他者との関わり方などから判断することができます。

  2. 柔軟な思考力
    役職者には、変化に対応し、柔軟な思考で問題を解決する力が求められます。
    現場での経験に縛られず、常に新しいアプローチや視点を取り入れる姿勢があるかを確認することで、柔軟性のある思考が備わっているかを見極められます。

  3. コミュニケーション能力
    部下との意思疎通や、上司への報告・相談においても重要になるのがコミュニケーション能力です。
    役職者には、多様なバックグラウンドを持つメンバーの意見を聞き、共通の目標に向けて方向性を示す役割があるため、コミュニケーション能力が不可欠です。

適材適所の考え方と育成プログラムの重要性

適材適所での人材配置を行うためには、役職者に求められるスキルを段階的に習得できるような育成プログラムが重要です。
以下に効果的な育成方法を紹介します。

  1. メンター制度の導入
    新任の役職者が経験豊富な先輩役職者から学べるメンター制度は、実践的なマネジメントスキルを育むのに役立ちます。
    メンターとの定期的なフィードバックを通じて、役職者としての心構えや具体的な業務遂行方法を学ぶことができます。

  2. リーダーシップ研修
    リーダーシップやチームマネジメントに特化した研修を通じて、役職者に必要なスキルを体系的に学ぶ機会を設けるのも効果的です。
    特に、対人スキルやコミュニケーションスキルの向上を目的とした研修は、役職者としての基礎を固めるために重要です。

  3. 実践的なシミュレーション
    実際の業務に近いシミュレーションを行うことで、問題解決能力や意思決定のスキルを高めることができます。
    たとえば、架空のプロジェクトを担当し、さまざまなシナリオに対応するトレーニングを実施することで、現場では学べない管理業務に必要なスキルを身につけることが可能です。

  4. 評価制度の整備
    役職者としてのスキルの成長を測るために、明確な評価制度を整備することも大切です。
    定期的なフィードバックを通じて、本人が自分の成長度合いや課題を確認し、モチベーションの維持につなげることができます。

このように、役職者の選定においては適性を見極めるとともに、継続的なスキル向上を支援する育成プログラムを設けることが不可欠です。

これによって、組織全体のパフォーマンスが向上し、役職者の配置におけるリスクを軽減することができます。


さいごに

役職者に求められるスキルは、現場の仕事の延長線上にあるものではなく、全く異なる能力が求められるものです。

現場で優れた実績を持つ人材を役職者に据えることは、現場における成果を基にした合理的な判断に思えるかもしれません。

しかし、役職者にはメンバーをまとめ、組織全体を視野に入れたリーダーシップや戦略的思考が必要です。
これらの能力が備わっていないと、本人も周囲もストレスを抱え、最悪の場合、組織全体のパフォーマンスが低下するリスクがあります。

そのため、役職者の選定においては、適性を見極めることが重要です。
メンバーの成長を支え、組織全体の方向性を見据えてリードできる人材を選び、さらにそのスキルを伸ばすための育成を行うことが大切です。

メンター制度やリーダーシップ研修などの育成プログラムを活用し、適材適所での配置を心がけることで、組織はより強く、健全に成長していくことができるでしょう。

適切な人材を適切な役割に配置することが、組織全体の力を引き出し、成功に導く鍵です。
この記事が、役職者選定の判断に迷われている方や、組織運営にお悩みの方にとって、何かしらの参考になれば幸いです。


ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました!

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《このnoteを書いた人》
ひろ/介護事業経営者/理学療法士/介護支援専門員
・病院で80人の部下を抱える管理職⇒介護で起業⇒7事業立ち上げ⇒経営11年目
・仕事効率化、知的生産、ビジネス書、文房具、ガジェットの話題が大好き
X(旧Twitterで介護事業の運営・マネジメント・リーダーシップについて発信
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