【感想】映画『あの頃。』はどうオススメすればいいんだ
映画『あの頃。』観てきました。
一言で感想を言うと「ぬるっとしてた」です。褒め言葉ですよこれ。
サプライズの連続で華やかなアイドルたちを応援してると時々忘れますが、我々の人生ってなかなかぬるっとしてますよね。その絶妙なぬるっと加減でオタクたちがリアルに描かれてました。
冷めないうちに文章にまとめておきます。ネタバレ含みますので注意。
ぬるっと進むオタクたちの人生
「ぬるっとしてた」をもう少し説明すると、
・劇的な展開が盛り込まれてない
・ターニングポイントの前後の分断が強調されてない
といったところでしょうか。
劇中にターニングポイントになるような出来事、結構あったと思うんですよ。東京進出だったり、コズミンのガン発覚だったり。三角関係がバレるのもそうですよね。
そういうのを使えば、いくらでもドラマチックに仕上げることはできたと思うんです。出来事きっかけで何かがガラッと変わり、その前後のコントラストで「あぁ、あの頃はよかったなぁ」とかできるわけです。
でも今作ではそうはならない。”自伝的エッセイ”としての軸がぶれず、過剰な脚色がない。むしろ足りないくらい笑
東京に引っ越してもケータイがあるから連絡はとってるし、コズミンもしぶとく生き続けてる。サプライズはあるけど、何かがはっきり変わるわけでなく、その前後に分断は存在しない。
最近、ゼロかイチかみたいな「激しさ」を求める人が増えてるように感じます。ちょっと強めな例で言うと「〇〇が辞めれば全て解決!」「〇〇がリーダーにならないと日本は終わる」みたいな笑
世界、社会、人生ってそんな単純じゃないですよね。色々なことが起こるけど、何かスイッチ一つで劇的に変わることはない。
この映画のオタクたちの人生はそういう描かれ方がされないからこそ、どこか煮え切らない、だから自分と距離が近いように感じました。そこがすごく好きだった。親近感や共感とはまた違う、全然自分とは重ならないけど、すごく納得する部分が多かったなぁと思います。
唯一のターニングポイント
そういう流れで言うと、唯一”人生が180度変わる出来事”として描かれてるのは「あややとの出会い」でした。
心も体も疲れ切ってるところで、突然の片想いソングに心を鷲掴みされちゃうわけです。それがきっかけで、普通に生活してたら出会わないような人、自分とは違うメンバーが好きな人、性格が悪い人、全部飛び越えて仲間になると。
改めてアイドルのエネルギーすげえと、ただただそう思いました。
でも実は変わったのは環境だけで、自分自身が何かに気づき、本当の意味で変わるのには時間がかかる、というのもリアルでした。
安心した音楽面
あと個人的に不安だったのが「ハロプロのボヘミアンラプソディ的な感じだったらどうしよう」でした。BGMや劇中歌にハロプロ楽曲が大量に使われる的な笑
実際はそんなことなく、ハロプロ初心者でもしっかり楽しめました。あくまでアイドル界の外側のオタク界の話とでも言いましょうか。そこもはっきりとステージとは遠く離れた世界のお話として描かれていて、集中して観られました。
ちょっとクセのある長谷川白紙の劇伴、よかったです。そこに集中してもう一回観たいくらい。
おわりに
映画『あの頃。』、万人にオススメするかと聞かれると悩みます。
たしかに「今を大切に生きよう」みたいな普遍的なメッセージも持ってるんですが、そんなやっすい部分を推すような映画じゃないですよね。
じゃあどこをオススメするんだって聞かれるとまた難しい、でも好きな映画。ここまで一丁前に文章を並べてみましたけど、正直まだモヤモヤしてます。全然まとまらない。
ちょっと時間を置いて、当時のハロプロについても勉強して、もう一回観たいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ハロメンがあの下ネタの嵐を観てると思うとヒヤヒヤする。