ヒョンビンに出演してほしい映画を勝手に妄想する
『愛の不時着』のヒットで日本でも大人気のヒョンビンの次回作を勝手に妄想するファンのブログが多発しています。どれもみんな面白くてそれを読むのが最近の楽しみです。
そこで、今回は、私も負けずに「仮想芸能事務所の企画会議」の模様をお伝えしたいと思います。
〇会議室(中)
3人の男性が、ヒョンビンの次回作についてなにやら話している。
3人の名前や国籍は不明のため、年齢・順に仮に甲・乙・丙とすることにする。
甲 「さて、韓流スターであるヒョンビンの次回作だが、彼の人気は、海外まで広まっているというのに、どうして、持ち込まれる映画の企
画が『共助(コンフィデンシャル)2』だの『クン(スウィンダラーズ)2』だのと以前の主演映画の二番煎じばかりなのかね」
乙 「ええ、本当に。二番煎じばかりでは、映画会社ももっと冒険しないと企画力がバカにされてしまいますよ」
丙「はい、いっそのこと『愛の不時着』のシーズン2のほうが、まだ時流に乗ってる感があります」
乙 「しかし、イェジン氏の方はハリウッド進出で、監督があのアンドリュー・ニコルで、共演者もサム・ワーシントンやイーサン・ホーク…。2021年にクランクイン予定だそうです」
甲 「うーん、イェジン氏とあまり差が付くと困るんだがなあ(苦笑)
その「クロス」って映画はイ・ソンギュンには声がかかってるのに、
なんで、こっちにはこないのだろう。」
丙 「うちの事務所が力不足なんでしょうか」
甲・乙 「・・・」
丙 「ですが、いい話もあります。日本の映画会社から、三船敏郎生誕100年を記念して『野良犬』のリメイク版の映画の主演にと。監督は日本、制作スタッフとキャストは日韓で、現代版に直して脚色してどうかと」
乙 「その「野良犬」って、どんな映画だね。『七人の侍』とか『椿三十郎』なら知ってるけど」
丙 「黒澤明監督、三船敏郎主演で1949年に作られた映画なんですが、これがいいんですよ。現代版に焼き直しても十分いけます。本格心理サスペンスですから、ただのアクション映画とは違って、芸術祭参加作品にもできますし、第一、役柄がヒョンビンにぴったりですから。ええ、彼だったら、100パーセントシンクロでいけると思います」
乙 「シンクロって言ったってだね。古い映画なんだろ。朝鮮戦争が始まる前じゃないか」
丙 「ストーリーは、終戦直後の東京を舞台に、拳銃を盗まれた若い刑事がベテラン刑事と一緒に犯人を追い詰めていくサスペンスです。
刑事のバディ物は時代を越えて定番ですから。リメイクしやすいんです。ポイントは、このピストルを探すために、歩き回る三船のカッコ良さです。いいんですよ、これが。本当。白黒ですが、麻のスーツをすっきりと着こなしたかと思えば、ヤサグレた復員兵姿まで、決まってます。
それこそ、リメイクするったって、軍服からスーツまで着こなせて、アップに耐えられるヒョンビンのような俳優を持ってこないとダメでしょう。
あと、志村喬が演じたベテラン刑事役は、日韓どちらでも演技派俳優をもってくれば、撮り方次第で、エンターテイメントにもなり、芸術作品にもなります」
甲 「日本か。日韓関係がなあ。ネット民もどんな反応示すだろうか」
丙「いや、日本と言っても、黒澤明監督ですからね。それに世界の三船ですし。反日、嫌韓ともに文句は言えないかと。しかし、この映画見て、今更ですが、当時の日本の俳優の上手いことに、正直驚きました。
いや、俳優だけじゃないか、映画には、実際のプロ野球の試合が出てくるんですが、それが上手くて…あの試合をライブで見たいって本当に思いました」
甲 「へえ、でも、日本だって、その映画を知ってる人は少ないんじゃないかい。まあ、時がたてば、いい映画も忘れられてしまうのだな。
なんて、歴史問題みたいだが。特に映画は芸術だっていっても、ちゃんと保護されてもいないしね。文化財として」
乙 「だから、日韓交流で「黒澤映画」を再発見というのもありですよね。
まあ、韓国映画業界でも、黒澤明のこと知らない人はいないですけどね。
『殺人の追憶』で名を上げたポン・ジュノが、日本人の映画評論家から
「黒澤明の孫が韓国で生まれるとは」と言われたって、それを怒る人はいませんでしたからね」
甲「うーん。すると、黒澤明は、ポン・ジュノのハラボジというわけか。
よく考えると微妙な言い回しだな」
丙 「ええ、でも、映画は国境を越えて、いわば、傑作映画からインスピレーションを得て、さらに傑作を生みだすというところが芸術たる所以ですから。コッポラやルーカスが、黒澤の子の世代の監督なら、ポン・ジュノは孫世代の監督で、いいわけですよ」
甲「なるほどな。監督がそうなら、映画スターだってそうだよな。
ちょっと、待てよ。三船敏郎って、今、見てもそんなにいい男なのか」
丙 「はい、世界へインパクトを与えた俳優ですから。現在、三船敏郎の後継者といわれるような映画スターは日本にはいません。三船はスクリーンを支配する力がケタ違いでしたからね。彼が出ると、チャンバラ映画がサムライ映画になりましたからね。
この映画でも、コメの通帳だの、つまみはカボチャしかなくて…でも配給のビールで喜ぶ姿だの、食うや食わずの戦後の困窮期の世相を描いているにもかかわらず、三船敏郎のカッコよさはそんなのどこ吹く風なんです。
もう、そのままパリやニューヨークに行っても、渋くてカッコイイと言われちゃうようなルックスですから。そんな映画で世界から認められることが、敗戦国の日本人に自信を与えました」
乙 「それに、特にこの時節柄、映画館にまで足を運んでいただかないと、シネコンの経営が成り立ちません。日本だって、それは同じですよ。
日本の映画会社が乗り気なのは、日韓相互乗り入れで、映画作って、同時に公開した方が、話題になって観客動員数が見込まれるからなんです」
甲 「うーん、でも、やっぱり、日韓関係がなあ。心の底では、手を組んで大ヒット飛ばしたいのはヤマヤマなんだが」
以上、「仮想芸能事務所の企画会議」の模様でした。
ここまで、妄想にお付き合いくださいましてありがとうございました。