続き記事 トライアングルビーター2本売りを6mmスチールにした理由

これは前回書きました記事の続きです。

何故6mmのスチール(スタンダードモデル)のみ2本売りを推奨しているかという事ですが、それはこの太さが最も広範囲に使えるビーターだと思っているからです。
7mmの太さだと出力の小さい楽器に不向きな場合があり、5mmの太さだとオケが瞬間的に極大になった時に付いてこれない可能性があると考え、そのどちらにも広く対応出来る6mmの太さをペア売り対象にしました。
もしかしたら5mmの方も今後、小〜中音量(と言っても結構音量は出る)の取り回し用にペア売りするかも知れません。

そして素材がスチール(軟鉄)である事にも理由があります。真鍮6mmだと瞬間的な音量の増減でビーターが負ける可能性があり、MASTER(加工真鍮)6mmは音のパフォーマンスが優れていますがバランス取りの過程で長さをスチールより短くしている事からスティック的な使い方をした時の音色幅が若干狭く感じ、スチールを選択しました。

そしてこの流れのついでにMASTERの名前の由来とその位置付けをお話します。
真鍮に特殊加工したこのビーターはアプローチが変わっても倍音のバランスが崩れにくいという長所から「マスター」の名を付けました。
しかも他の素材と同様にビーターを当てる角度での音色変化はありますので全くの単色ではなく使い勝手はあります。

じゃあこれだけ作っていれば良いのでは?聞かれそうですが、その場合「それは少し違います」とお答えしています。

マレットやビーターというのは安定=全て長所とは限りません。アプローチによって変化する音色を制御・コントロールして使いこなせればそれはとても強い武器になります(=スタンダードシリーズの存在意義)。

その一方でその変化を極力少ないものを選択する事で演奏の負担を減らし、困難な演奏をこなしやすくしたいと考える人もいます(=マスターシリーズの存在意義)。

ですから多くの方が数種類の選択肢を設けられる様、いくつかのシリーズを作っているのです。


最後に、国内で多く見かけるビーターは短さとメッキによってとても澄んだ音がしますが、私はそれが同時にこのビーターの短所でもあるのではと考えています。
長さのある音符が形成出来ている様で実際はアタックと響きの音量バランスはアタック寄りになり、サスペンデッドシンバルや銅鑼みたいな太く豊かな余韻の形ではなく心電図みたいな形の音型になってしまっているのでは?と個人的にはとても疑問に思う事があるのです。
そしてそのタイプのビーター1本で演奏する時のトライアングルのトレモロは内角2辺のそれぞれ近い位置を鳴らすのでより楽器が効率よく鳴りますが、これもff以上の音量になるとメッキがメッキに衝突する音が際立ち、まるで目覚まし時計みたいなトレモロ音になってしまう事も少なくないと思います。ちなみに弊社のビーターは1本使いでも優しいトレモロが可能ですし、斜めにビーターを入れて倍音を豊富にトレモロする事も比較的容易にできます。

弊社のビーターで少しでも幅広い音楽表現に少しでも寄与できればと思っております。

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