トライアングルビーターの設計思想1【長さや太さ、グリップについて】
こんにちは。マチュア・パーカッション代表の田中です。
今、弊社ではトライアングルビーターのセールを行なっており今日が最終日です。
「このタイミングでビーターについてのnoteを書く事は売り上げアップを狙ってるのでは?」と思われる方もいらっしゃると思いますがそれもあります笑
それ以上に「何故弊社のビーターは長めなのか」や「何故グリップチューブがあの長さでかつ種類や太さごとに違うのか」などを一度ご説明差し上げたいと思って書きました(長いので2つに分けました)。
【長さと太さ】
基本的に弊社のビーターは一部の極太のものを除いて「倍音ロール」が出来る長さを目指して作っています。これは私の尊敬する打楽器奏者の大塚敬子さんがされていた奏法で、ビーターを斜め45度くらいにしてロールする奏法です。
これによってトライアングルからは「チリリリ」という音より「ジリリリ」という豊かな音が得られるのですが、もしビーターの長さが短いと上部に当てた時と下部に当てた時の音に大きな音色差が生じてしまいます。その音色の差異を小さくして成立させるために長くしています。
弊社のビーターの標準のモデルで倍音ロールをすると野太い音が得られ、細身のモデルを使うと弱奏ロール時にビーターの往復速度を落として使えます。特に5mmφのビーターはトライアングルから柔らかく平和的な優しい音色を生み出します。
遅いストロークのロールに関しては、サスペンデッドシンバルでも銅鑼でもはたまたティンパニでもスネアでもマリンバでも「同じ音量だけどストロークスピードを変えたロールによって多彩な音色を生み出す」という演奏をされている方は少なくないと思います。
トライアングルだけその音色の引き出しがないのは不自然でパフォーマンス的にも不利だと私は考えておりましたので「単音が濁りすぎない長さを保ちつつ倍音ロールが可能な長さ」のビーターを作製しています。
ちなみに頭部より柄が細いタイプのビーターは倍音ロール、というより単音での倍音奏法自体が明瞭に成立しない(そもそも頭部を斜めにしてロールする事自体難しい)と感じていますので弊社ではストレートを選択しております。
太さ7mmφ以上の大音量特化型ビーターはしなりがあまり生まれないので倍音奏法(単打もロールも)適してませんが、そもそも楽器が100%フルで鳴っている時はほぼ関係ないと判断しておりますので長くしておりません。
【グリップ長】
グリップの長さはモデルによって約5mm単位の差で作製しております。これは「ビーターをスティック的に使えるポイントにしたい」という考え方です。素材や太さによって支点が変わるので自ずとグリップの長さが変わります。
グリップチューブが全くないストレートなビーターは持ち手が自由に選べるのですが、そうすると既存の短いビーターと同じサウンドを求めて短く持たれる方も少なくなく、それは弊社の「スティック的に使える」という考え方と少しズレてきます。
一方、グリップチューブが長めのものは先述の倍音ロールの妨げになりやすいですしビーター自体の振動をより損ねてしまう可能性がありますのでどちらも採用しておりません。
主に2本使いでのトライアングル演奏やマルチパーカッションでの使用など、様々な用途でのパフォーマンスを最大限に発揮するためにも「スティック的なバランス」にグリップの長さを設定しています。試しに弊社のトライアングルビーターでラバー系素材のスネア用練習パッドなどを叩くと納得されると思います。
続きは素材と使い方について書きます。
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