みんな、競馬をやろう(2023年中央競馬GI回顧)
この記事は、EEIC Advent Calendar 2023 23日目の記事として書かれています。
はじめに
こんにちは。EEIC B3のまっつんと申します。表の記事で明日の有馬記念の予想をしたので、ついでに今年のGIレースを回顧してみました。普段競馬見ない人にもある程度伝わるように書いたつもりなので、ぜひ読んでみてください。
おことわり
特に断りなく「GI」と書いた場合は「中央平地GI」を指します。J・GIや地方GI、JpnIは含みません。
レース名は一部略称を使っています。正式名称が気になる人はググってみてください。
騎手の皆さんは一部呼び捨てや愛称で呼んでいます。
オッズ等は基本的にnetkeibaを参照しています。
超基本的な競馬用語
これがわかってれば君も立派な競馬民だ!
GI・重賞 …… 超ざっくりなイメージだと、「重賞」というのはレベルが高く強い馬しか出れないレースのこと。その中でも「GI(ジーワン)」「GII(ジーツー)」「GIII(ジースリー)」と3段階があり、GIが最もレースのレベルや格(歴史の長さ)が高い。賞金も高い。
中央競馬・地方競馬 …… 中央競馬は国(農林水産省の監督を受ける日本中央競馬会(JRA))が主催する競馬で、地方競馬は地方自治体が主催する競馬。この記事では中央競馬のみ扱う。
芝・ダート …… 草の上を走るのが芝のレース、砂や土の上を走るのがダートのレース。中央競馬は芝、地方競馬はダートが主流。
距離 …… レースで何m走るか。GIが開催される距離では1200mが「短距離(スプリント)」、1600mが「マイル」、2000 〜 2400mが「中距離」、それ以上が「長距離」と呼ばれる(厳密な定義は国や機関によって異なる)。
馬の性別、年齢 …… 牡馬(ぼば)、牝馬(ひんば)はそのままオス、メスの馬のこと(去勢された牡馬は「セン馬」)で、牝馬には牝馬限定戦がある。馬は基本的に2歳で競走馬デビューし、3歳秋までは同じ世代の限定戦を走ることが多いが、4歳以降は「古馬」と呼ばれ年齢関係なくレースが行われる。ウマ娘でいう「ジュニア(2歳)」「クラシック(3歳)」「シニア(古馬)」。
着差 …… 勝った馬が後ろの馬にどれくらい差をつけたかを示すのに「n馬身差」という表現が使われる。読んで字のごとく馬何頭分の差がついたかを表す(実は厳密な定義では違う)が、着差が小さい場合は「ハナ差」「アタマ差」「クビ差」となる。また、日本では着差が10馬身以上の場合は「大差」となる。
馬券の買い方 …… 基本的には「競馬場で買う」「場外馬券売場(WINS)で買う」「Webサイト(即PAT)で買う」の3種類。筆者は大体いつもPATで買ってる。
馬券の種類 …… 単勝(1着を当てる)、複勝(3着までに入る馬のどれかを当てる)、馬連(1、2着を順不同で当てる、順番考慮すると「馬単」)、三連単(1〜3着を順番込みで当てる)、ワイド(3着までに入る馬のうち2頭を当てる、順不同)だけがわかってればこの記事読む分にはOK。
n冠 …… 3歳限定GIの皐月賞、ダービー、菊花賞を全て勝つと「三冠馬」、牝馬限定の桜花賞、オークス、秋華賞を全て勝つと「牝馬三冠馬」と呼ばれる。挑戦権は馬生で一度きりしかないので、とても難易度が高い。三冠を取った上でさらにGIを勝つと、合計で勝った数に応じて「五冠馬」「七冠馬」「九冠馬」などと呼ばれる。
鞍上 …… 「鞍の上」という字面のとおり、馬に乗ってる騎手のこと。
短期外国人 …… ヨーロッパの競馬は冬はシーズンオフとなるため、秋〜冬にかけてヨーロッパの騎手がシーズンオフのない日本で「短期免許」を取得し賞金を稼ぎにくる(他の季節にも来るっちゃ来る)。短期免許はその国のトップクラスの騎手にしか発行されないので短期外国人は大体めちゃくちゃ騎乗が上手く、上手い騎手には強い馬が集まりやすいためめちゃくちゃ勝つ。「競馬はカタカナの騎手を買え」と一部で言われるのはこのため。ちなみにルメールとデムーロはカタカナだけど日本所属の騎手。
GIレース回顧
2/19 フェブラリーステークス
東京競馬場 ダート1600m
本命 … なし、収支 … 0 - 0 = 0円
1年のうち最初の中央GIレースにして、春秋2度ある中央ダートGIの春の方。この時はまだPATのアカウントを作っていなかったので特に予想もしていなかったが、三浦皇成騎手の初GI制覇が期待されていたギルデッドミラーが直前に怪我で回避、そのまま引退して流石に三浦が可哀想だったのを覚えている。
当日は前哨戦の根岸Sでギルデッドミラーに勝ったレモンポップが単勝2.2倍に支持され、それに応えてGI初制覇。レモンポップはこの根岸S、フェブラリーSを含め国内重賞を5連勝中で、ダート短距離・マイルにおける現役王者として君臨している。あとケツがデカい。
せっかく根岸Sが話に出てきたので、まだ見たことがない人は↓の映像をぜひ見てほしい。現在まで語り継がれる名レースにして、フジテレビ青嶋アナの名実況である。なお2000m以上のレースでの青嶋は…。
3/27 高松宮記念
中京競馬場 芝1200m
本命 … 5番 メイケイエール (12着)、収支 … 0 - 500 = -500円
ダートに続き、春秋短距離GIの春の方。この週から「春競馬」となり、しばらくの間ほぼ毎週日曜にGIレースや大規模な重賞レースが開催される。元々そんなに馬券を買う気はなかったが、前日の日経賞とドバイワールドカップデーで1500円ほど勝ったので端数の500円で1番人気メイケイエールの単勝を購入。ちなみに前日の日経賞では筆者が最強馬と信じてやまないタイトルホルダーが衝撃的なレースをしているので、全人類見よう。
また、普段一切競馬の話題に触れない人(そもそもそんな人がこれを読んでいるのか)は、↓の映像を見てこのイクイノックスっていうのを覚えていてほしい。今年の後半はほとんどこいつの話しか出てこない。
高松宮記念の方は本命のメイケイエールが重馬場の中全く伸びず撃沈。まあ元々気性に問題のある馬なのでこういうこともあるとは思っていたが、そもそも1番人気でも単勝4.5倍もついていたのだから500円も買わなくてよかったのではないかと今では思う。
↑全盛期(?)のメイケイエールの伝説()のレース。
4/2 大阪杯
阪神競馬場 芝2000m
本命 … 11番 スターズオンアース(2着)、収支 … 0 - 500 = -500円
ウマ娘でお馴染みのトウカイテイオーやメジロマックイーンも制したGII「産経大阪杯」が2017年にGIに昇格。GIとしての初代覇者はこれまたウマ娘でお馴染みのキタサンブラック。当日は2000mのレースで結果を残しており、レジェンド武豊が騎乗するジャックドールと、前年の牝馬二冠馬スターズオンアースがそれぞれ2番人気(3.6倍)、1番人気(3.4倍)に支持され2強ムードに。筆者は幻の三冠馬とも言えるスターズオンアースの方が力があると判断し単勝を500円購入。
↑の映像の通り出遅れさえなければ三冠馬になれていたであろうスターズオンアースだが、当日は奇しくも同舞台(阪神2000m)の秋華賞と同様に出遅れ→最後方追走→馬群を縫って追撃するもジャックドールに鼻差届かず2着。ゴールがあと10m先にあれば…と思わずにはいられないレースであった。
ちなみに筆者はこの日前期教養時代の友人たちとドライブでマザー牧場に行っており、小動物と触れ合う友人たちをよそに牧場の隅でレースを見ながら小声で奇声をあげていた。
4/9 桜花賞
阪神競馬場 芝1600m 3歳牝馬限定
本命 … 14番 ペリファーニア(3着)、収支 … 930 - 400 = +530円
同世代の牝馬の頂点を争う、3歳牝馬三冠レース(「クラシック」)初戦。前年の2歳牝馬GI阪神JFを制し2歳女王となったリバティアイランドが単勝1.6倍の圧倒的一番人気に支持されるが、21年年度代表馬エフフォーリアの妹で筆者も以前より目をつけていたペリファーニアのオッズが複勝でも3倍以上ついていたのでこちらを購入。
レースは開始からリバティアイランドが最後方に位置を取り、絶望的かと思われたが直線だけで全馬を抜き去る圧倒的な競馬をし見事勝利。ちなみにこのレースからジョッキー目線でのレース映像をJRA公式が公開する「ジョッキーカメラ」が開始され、勝ったリバティアイランドが鞍上の川田将雅(ゆうが)騎手から「お嬢さん」と呼ばれていることが判明した。かわいいね。
筆者の本命ペリファーニアも好位追走から3着を確保し、複勝300円分の払い戻しを受て大阪杯の負けを取り返すことに成功した。が、筆者の馬券はここから長い絶望のトンネルに突入することとなる…。
4/16 皐月賞
中山競馬場 芝2000m 3歳限定
本命 … 8番 トップナイフ(7着)、収支 … 0 - 200 = -200円
こちらは3歳牡馬(牝馬も出れるっちゃ出れる)クラシック初戦……なのだが、この頃はまだ(というか今でも若干)この世代の牡馬のレベルが疑問視されており、これと言った有力馬もまだ確立していない状況。さらに、前年の2歳牡馬GI朝日杯を制したドルチェモアとホープフルSを制したドゥラエレーデがどちらも出走しないという異常事態により、ますます本命不在の混戦模様となる。筆者もマジで何もわからなかったため、「ホープフルS2着、名前が強そう、鞍上の横山典弘騎手(ノリさん)が面白い人」という理由でトップナイフの単複を百円ずつ購入。
結果はノリさんの息子にして先週ペリファーニアに乗っていた横山武史騎手騎乗のソールオリエンスが、最後方追走から直線だけで全馬を抜き去る圧倒的な競馬をし見事勝利(あれ、なんか先週も見たような……)。トップナイフは逃げ馬のはずなのに出遅れをかまし、いいところなく7着。まあもとより応援馬券だったので、素直にソールオリエンスと武史を讃えてこの日は終了した。
4/30 天皇賞(春)
京都競馬場 芝3200m
本命 … 3番 タイトルホルダー(競走中止)、収支 … 0 - 10000 = -10000円
日本のGIレースの中で最も長い距離を走るレースにして、世界最大の長距離レースと呼ばれる伝統の一戦。本命は当然我が心の最強馬タイトルホルダー。前年(京都競馬場改修工事のため阪神開催だったが)の覇者にして現役最多タイ(当時)のGI3勝の戦績、前走日経賞の圧倒的勝利、逃げ馬に最適の内枠、渾身仕上げの超絶馬体、とマジで負ける要素が1つもなく、当日も単勝1.8倍の圧倒的1番人気に支持された。普段は多くて1000円くらいしか賭けない筆者も推し馬へのお布施も兼ねて単勝10000円一点勝負。ちなみに鞍上はノリさんの長男にして武史の兄の横山和生(かずお)騎手。「和男」や「和夫」とTwitterで書くと強火のオタクに怒られるので気をつけよう。
みんな無事でよかった。
5/7 NHKマイルカップ
東京競馬場 芝1600m 3歳限定
本命 … 15番 カルロヴェローチェ(5着)、収支 … 0 - 500 = -500円
クラシックではないがこちらも3歳戦で、例によって混戦模様。だが、そもそもNHKマイルCは「荒れやすいレース」として知られており、「過去10年でも3連単(100円分の払い戻しが)10万円オーバーが7回、うち2回は100万円超え」という異常な結果になっている。また、ノリさんがやたら強いことでも知られており、「過去21回騎乗し、1番人気に一度も騎乗していないにも関わらず勝率14%、複勝率52%」(今年の結果を含まない)というデータもある。筆者は皐月賞同様何もわからなかったので、1番人気(と言っても5.7倍)のカルロヴェローチェから有力馬への馬連を5点購入。
結果は雨で稍重(ややおも)の馬場の中、9番人気シャンパンカラーと8番人気ウンブライルが1着、2着となる(ある意味予想通りの)大荒れ決着。カルロヴェローチェは中団から伸びきらず5着。勝ったシャンパンカラーは筆者がレース前に「なんか名前の響きが良いな」と思って印象に残っていた馬で、「何もわからないんだから変に人気馬を買わずに名前で適当に選んどけばよかった…」と結構後悔した。???「買わんかったら来るし、カッタラキマセン」ちなみに鞍上は有名なゴルシことゴールドシップの主戦騎手でもあった内田博幸騎手(ウチパク)。
5/14 ヴィクトリアマイル
東京競馬場 芝1600m 牝馬限定
本命 … 2番 スターズオンアース(3着)、収支 … 0 - 2400 = -2400円
こちらはNHKマイルCと同じく東京マイル戦で、牝馬限定戦。通称VM。前年覇者にして「白毛の女王」ことソダシ、2年前のNHKマイルCで2着・前年の安田記念を制したソングライン、大阪杯の本命だったスターズオンアース、そのスターズオンアースに秋華賞で勝ったスタニングローズ、それらと同期で好走を続けているナミュールなど錚々たるメンバーが集結(ちなみに高松宮記念の本命だったメイケイエールも出走予定だったが、直前で怪我が見つかり回避した)。筆者は「これ実質有馬記念だろ」ということで東京競馬場に現地参戦した。
予想段階ではマイルGIを勝っているスターズオンアース、ソダシ、ソングラインの3頭が強いと考えていたが、木曜に発表されたソングラインの調教後馬体重が以前より大幅に増えていたため「これは1ヶ月後の安田記念が目標でここは叩きだろう」という判断で3着予想に入れるに留め、スターズオンアースは2000mだった前走後に鞍上のルメールが「もっと距離が長い方が良い」とコメントしていたのと逆に距離を短縮したのが気になったが、桜花賞の実績を信じて本命に指名。せっかく現地参戦ということで、スターズオンアースとソダシを1着に三連単を24点購入した。
しかし、レース前に東京競馬場のターフビジョンに映し出された馬体重で、ソングラインがなんと3日で19kgのダイエットを敢行したことが判明。しかし、もう現地は混みすぎて今から馬券を買い直しに行くこともできない…。
一抹の予感がよぎる中、レースが始まり、大外枠から少々強引にソダシが先頭集団に加わり、今日は出遅れなかったスターズオンアースは中団で追走。理想的な展開の中、直線で1着予想した2頭が順調に先頭に並びかけるのを見るのに夢中になっていたオレは、内から伸びてくるもう1頭の馬、ソングラインに気づかなかった!
結局強いと考えていた3頭で決着したものの、ソングラインのダイエットを読めず馬券は大外れ。この日は平場の結果も散々で結局1日で4000円ぐらい負けた気がする。
5/21 オークス
東京競馬場 芝2400m 3歳牝馬限定
本命 … 14番 ペリファーニア(12着)、収支 … 0 - 1000 = -1000円
牝馬クラシックの2戦目。一応正式名称は「優駿牝馬」だが、元ネタになったイギリス牝馬クラシックの「オークスステークス」から「オークス」と呼ばれる。駒場のチキンカツ屋ではない。当日は桜花賞を勝ったリバティアイランドが単勝1.8倍の圧倒的1番人気に支持され、筆者の本命ペリファーニアは8番人気。筆者も流石に単勝1点勝負する気にはならず、ペリファーニアから有力馬にワイドを流し、さらに一応ペリファーニアの単勝、NHKマイルCの反省を生かして名前が気に入ったブービー人気キミノナハマリアの複勝を購入。
レースではキミノナハマリアが先頭集団に加わり、追い込み一辺倒だと思われていたリバティアイランドがなんと先行策。今までの実績がマイルだったことから2400mは持たないという声も囁かれていたが、そのまま直線に入り後続を引き離してゴール。日本競馬のレース体系が近代的に整備された1986年以降最大の6馬身差で牝馬二冠を達成した。実況の「これほどまでに強いのか!」はリバティアイランドの父ドゥラメンテ(タイトルホルダーとスターズオンアースの父でもある)が皐月賞を勝った時の実況のサンプリング。今期のウマ娘を見ている人なら聞いたはず。
距離不安を跳ね除けたリバティアイランドとは逆に、筆者の本命ペリファーニアは本当にマイラーだったようで、直線では中継カメラにすら映らず12着(ついでにキミノナハマリアはビリ)。馬券としても全く良いところなしだった。
5/28 日本ダービー
東京競馬場 芝2400m 3歳限定
本命 … 5番 ソールオリエンス(2着)、収支 … 0 - 4000 = -4000円
もはや一般名詞と化している牡馬クラシック第2戦。オークスと同様正式名称は「東京優駿」だが、イギリスの「ダービーステークス」から「ダービー」と呼ばれる。全ての馬はこのレースを勝つことを目標に育成されるため、ダービーのタイムや内容でその世代のレベルが評価されることも多い。筆者の本命は皐月賞馬ソールオリエンス、対抗は皐月賞3着でこのレースから武豊が騎乗するファントムシーフ、3番手評価は皐月賞には出走せずダービー前哨戦の青葉賞を勝ったルメール騎乗のスキルヴィング。この3頭を中心に奮発して3連単と馬単を4000円分も購入。
なお、この日はライブのため筆者は富士急ハイランドに行っており、なんとタイミング悪くちょうど発走時刻付近で自分がアトラクションに乗る順番が回ってきたため、馬たちがダービーを走っている間筆者はええじゃないかで空中で高速回転していた。
レースは去年の2歳GIホープフルSを勝ったドゥラエレーデがスタート直後に落馬するアクシデントがあったものの、圧倒的1番人気のソールオリエンスを他馬がマークする展開となり、直線までは超スローペースで進む。直線ではソールオリエンスがマークを受けて抜け出すのに手間取り、その間に(筆者が軽視していた)皐月賞2着馬タスティエーラが抜け出して最後はソールオリエンスの追撃を交わしきりゴールイン。タスティエーラはこのレースから短期外国人のダミアン・レーン騎手に乗り替わっており、それまではソダシで勝ちきれないなど「ダメやん・レーン」と呼ばれていたが、このレースを機に「神やん・レーン」と掌を返されることとなった。実際にソールオリエンスは実力的にタスティエーラに劣っていたわけではなく、オーストラリアのトップジョッキーのレーンとまだ若手の武史の駆け引きの結果が着順に反映されたと言われている。
なお、このレースで2番人気に支持されたスキルヴィングは、最終直線で心臓発作を発症し、17着入線後にコース上で倒れ、そのまま命を落としました。この機会にスキルヴィング号に思いを馳せ、ご冥福をお祈りいたします。
6/4 安田記念
東京競馬場 芝1600m
本命 … 5番 ソダシ(7着)、収支 … 0 - 500 = -500円
VMと同じ東京マイルのGIだが、こちらは牡馬牝馬混合戦で、春秋マイルGIの春の方。レース名は競馬法の成立に尽力し日本競馬会の初代理事長を務めた安田伊左衛門氏から。安田氏は東大農学部の前身となった帝国大学農科大学の卒業生で、農学部は一高との用地交換で本郷に移る前は駒場にキャンパスがあったので、もしかしたら安田氏もあのキャンパスに通っていたのかもしれない。レースにはVM1、2着のソングライン(ついでに安田前年覇者)とソダシをはじめ、牡馬のマイラーたちも合わせてVM以上に豪華なメンバーが集結。筆者はの本命にはこれまでマイルGIで4着以下になったことがなく、前走のレーンがセリフォスに乗るため乗り替わりとなった川田もマイルを得意とすることを評価してソダシを指名し、ソダシから中穴馬へワイドを流して高配当を狙う。
レースではいつものようにソダシが先頭集団に加わるが、VMから中3週のローテが響いたのか直線で伸びを欠き、その間にソダシと同じローテであるはずのソングラインが後ろから猛然と突っ込んで連覇達成。2着には3番人気セリフォス、3着には1番人気シュネルマイスターと、ソダシと穴馬で勝ったらソダシ以外の人気馬で決着するという逆神ぶりを発揮(ソダシは2番人気、ソングラインは4番人気)。またもソングラインにやられる筆者であった。???「カッタラキマセン」
ちなみに、ソングラインは去年までは池添謙一騎手が乗っていたが、気性難の馬の扱いが上手いとされる池添はメイケイエールのお世話騎乗のためVMからの2連勝は戸崎圭太騎手が騎乗していた。ドンマイ池添。また、VM→安田の同年連覇は周東と同じぐらい速い9冠馬アーモンドアイや昨年引退した史上最強マイラーと名高いグランアレグリアですら達成できず、今までに達成馬がウオッカ1頭のみという歴史的記録である。
6/25 宝塚記念
阪神競馬場 芝2200m
本命 … 5番 イクイノックス(1着)、収支 … 0 - 3000 = -3000
春競馬もひと段落し、2週間ほどGIがない週とが続くと上半期の締めくくりでもある夏のグランプリ・宝塚記念となる。当日のオッズは、伝説となったドバイシーマクラシックから帰国し、現役世界最強馬の評価を下されたイクイノックスが1.3倍の1番人気。筆者も当然イクイノックスを1着固定し、順当に有力馬に流して3連単を狙う。
レースではイクイノックスは後方に待機し、第3コーナーから徐々に進出、直線の途中で先頭に立って楽勝。しかしその内には馬群を縫って追い込んできた伏兵スルーセブンシーズ(10番人気、鞍上池添)がクビ差まで迫っており、結果的に"イクイノックスが勝ったレースの中では"一番危ないレースとなった。ちなみにこの七海ちゃんことスルーセブンシーズはこの後日本馬が未だに一度も勝てていない世界最高峰のレース・凱旋門賞に挑戦し、無謀とバカにされながらそれを跳ね除けて4着に健闘した。
当然筆者は10番人気のスルーセブンシーズを買えておらず、またも大外れ。これで、桜花賞以降8戦連続でGI不的中という惨憺たる結果で上半期を終えることとなる。
↑レース後のイクイノックス。人肉とか食いそうな見た目してる。
あっちなみに去年の宝塚記念はタイトルホルダーが勝ってレコード出してるので見てください(オタク特有の早口)
10/1 スプリンターズステークス
中山競馬場 芝1200m
本命 … 8番 メイケイエール(5着)、収支 … 0 - 500 = -500円
春の高松宮に対して、秋の短距離GI。大体毎年日本時間のこの日の夜に凱旋門賞がある。近年の短距離界は6〜7歳の馬が実績を残すことが多く、実績馬が次々と引退してしまったためこの日も本命不在の様相を呈しており、筆者もよくわからなかったし夜に凱旋門賞もあるのでメイケイエールの単勝を応援がてら500円だけ購入。
結果はソダシの妹ママコチャが姉に続いてGI初制覇。メイケイエールは敗れはしたものの、拘束具みたいな馬具をほとんどつけずに5着に健闘。今まで馬具をつけないと(つけていても)騎手の指示を聞かずに暴走するような気性難の馬だったが、引退が近づいた5歳秋にしてようやく折り合うことができた。残り少ない時間でどうにか結果を残して欲しい。
ちなみに凱旋門賞は外れました。
10/15 秋華賞
京都競馬場 2000m 3歳牝馬限定
本命 … 6番 リバティアイランド(1着)、収支 … 5500 - 5000 = +500円
牝馬クラシック最終戦(厳密にはクラシックの定義に当てはまらない)(←こう書かないと「秋華賞はクラシックじゃない」警察がやってくる)にして、桜花賞、オークスを制したリバティアイランドの牝馬三冠がかかったレース。単勝オッズも1.2倍の圧倒的一番人気で、「リバティアイランド銀行」と呼ばれ高額預金(馬券購入)して利息を得ようとした者が続出した。桜花賞以来、GIのみならず夏の間の重賞でもたった一度も馬券が的中しなかった筆者はとうとう自分が賭けた馬に無意識に勝てない呪いをかけている呪術師なのではないかと疑い始め、これでリバティアイランドが負けたら自分を呪術師と結論づけて競馬を引退しようと決めて5000円を突っ込む。
結果はリバティアイランドが危なげなく圧勝。最後勝利を確信し流したところに3番人気マスクトディーヴァが突っ込んできたが、それでも1馬身差つけて牝馬三冠を達成した。同時に筆者が呪術師ではなくただの当たらない馬券師であることも確定したが、直前でリバティアイランド銀行が利息を1.2倍から1.1倍に引き下げたことに気づき、500円勝ったのになぜか500円負けたような気分になった。
10/22 菊花賞
京都競馬場 芝3000m 3歳限定
本命 … 14番 ソールオリエンス(3着)、収支 0 - 700 = -700円
牡馬クラシック最終戦(菊花賞は誰の文句もなくクラシック)。牝馬は2000mで良いのに対し、牡馬はまだ体が出来上がっていない3歳にも関わらず3000mという長距離を走らされるため、皐月賞やダービーとはまた異なる過酷さのレースである。筆者はダービーで敗れはしたものの力を見せたソールオリエンスを再び本命に指名。単勝500円を購入し、対抗には皐月・ダービーで共に出遅れをかまし力を発揮できなかったが、夏のGII札幌記念で古馬相手にあわやの2着だったトップナイフをひとつまみ購入した。
レースではトップナイフが3度目の出遅れ(ゲート内で脱臼したけどもう一度関節がハマったらしい)で早々に絶望的になる一方、逃げていたルメール騎乗のドゥレッツァが向こう正面で先頭を奪われ、そのまま最終直線へ。ソールオリエンスとタスティエーラの2頭が抜け出すが、なんと馬群に沈んだと思われていたドゥレッツァが再び伸びて3.5馬身差でゴールイン。先頭を奪われたのは余力がなくなったのではなく、鞍上ルメールの死んだふり作戦だったのだ。
10/29 天皇賞(秋)
東京競馬場 芝2000m
本命 … 7番 イクイノックス(1着)、収支 … 0 - 2400 = -2400円
春天と並んで伝統の一戦。今年は令和になってから初めて天皇陛下が行幸し、天覧競馬となった。筆者も現地参戦。
オッズは再び世界最強馬にして前年覇者でもあるイクイノックスが単勝1.3倍の1番人気。筆者も宝塚のリベンジとばかりにイクイノックス1着固定で3連単8点勝負。もうこの頃にはイクイノックスが強すぎてみんなイクイノックスと戦いたがらないという事態になっており、GIとしては異常な少頭数の11頭でレースが開催された。ちなみに前年の秋天も令和の名レースとして名高いので、こちらもぜひ見てほしい。
レースはジャックドールが隊列を引っ張る形となり、1000mの通過タイムは57.7秒の超ハイペースとなる(平均ペースは60秒ぐらい)。しかし、同じようなタイムだった前年ははるかに離れた後方にいたイクイノックスが、今年は3番手で追走している。普通このペースで走る馬は直線で力尽きていかに粘れるかという勝負になるが、なんとイクイノックスはそのまま直線で加速、後続の追撃など届くはずもなく2.5馬身差の圧勝。イクイノックスのタイム1:55.2は芝2000mの世界レコードであった。そもそも競馬は「道中先行して直線で粘る馬 vs 道中後方待機して直線で加速する馬」という構図で成立しているが、「道中先行して直線で加速する馬」であるイクイノックスは競馬のゲーム性を崩壊させる強さを持っていると言えるだろう。
筆者の馬券は2着のジャスティンパレスを買えずに撃沈。春に阪神大賞典(3000m)と春天(3200m)を勝った馬で、宝塚記念(2200m)で3着に入った実績はあるものの、2000mでは距離適性を不安視され11頭中6番人気という低評価だった。買えた人は見る目がある。
ちなみにジャスティンパレスは去年まで鮫島克駿(サメカツ)という騎手が乗っていたが、今年の春はルメールが騎乗。イクイノックスにルメールが取られた宝塚ではサメカツに戻って3着に健闘したが、今回は武史に乗り替わり。よく見ると宝塚の直線でサメカツが鞭を落とすという凡ミスをやらかしているのでそれで首を切られたのではと囁かれているが、ちょっとかわいそうである。
11/12 エリザベス女王杯
京都競馬場芝2200m 牝馬限定戦
本命 … 7番 ジェラルディーナ(5着)、収支 0 - 500 = -500円
レース名の由来は昨年亡くなったエリザベス女王。エリザベス女王は大の競馬好きかつ大馬主で、イギリス留学時代の天皇陛下に競馬を教えたのもエリザベス女王とされている。筆者の本命は前年覇者で2番人気のジェラルディーナで、今年に入ってから調子が悪めではあるが、鞍上のイギリスの名手ライアン・ムーアがマジックを起こすことに期待した。買い目は説明が超めんどくさいので気になる人は「枠連」でググってください。
しかし、レース開始直後にジェラルディーナがまさかの出遅れ。なんか俺が買う馬出遅れるの多くない?そのまま後方待機し、第3コーナー手前から進出して持ち直そうとしたがそれでも5着まで。勝ったのは「リバティアイランドを倒せるかも」と期待されつつも怪我で秋華賞を回避した1番人気のブレイディヴェーグ名前が呼びづらい。あの出遅れから5着まで持ってきたのは十分ムーアマジックだったが、出遅れさえなければ勝っていたかもしれないと思うとなんともやるせない。ついでに馬券もまた連敗し始めた。
11/19 マイルチャンピオンシップ
京都競馬場 芝1600m
本命 … 9番 シュネルマイスター(7着)、収支 0 - 500 = -500円
春の安田記念に対して、秋のマイルGI。メンバーは安田のメンツから引退したソダシと海外遠征したソングラインを抜いた感じで、変わらず豪華。筆者の安田3着の1番人気シュネルマイスターを1着固定して馬単ながし。9月の毎日王冠ではルメールがソングラインの戸崎と一緒にやらかして俺の1000円が奪われたが、地力も実績もトップの評価をしていた。
当日になって、5番人気のナミュールに騎乗予定だったムーアが昼に落馬負傷というアクシデントが起こる。急遽藤岡康太騎手に乗り替わりになるが、イギリスの名手から日本の中堅騎手への乗り替わりで競馬民は大きくナミュールの評価を下げ、単勝オッズは9.5倍から17.3倍まで上昇。しかし、レースではそのナミュールが藤岡康太の覚悟ガンギマリの追い込みに導かれまさかの勝利。今年の秋GIは前週のエリ女まで川田とルメールしか勝っていなかったが、ようやくそ他の騎手が勝利することができた。ちなみに1番人気シュネルマイスター(鞍上ルメール)と2番人気セリフォス(鞍上川田)は何も良いところがなく7着、8着。俺の馬券も外れた。
11/26 ジャパンカップ
東京競馬場 芝2400m
本命 … 3番 タイトルホルダー(5着)、収支 … 0 - 2200 = 2200円
日本競馬が発展途上だった時代に「世界に通用する強い馬作り」のために創設された、海外の有力馬を招待して日本の馬と戦わせるためのレース…なのだが、最近は日本馬が強すぎてあんまり海外馬が来てくれず、実質日本馬の最強決定戦と化している。現在日本のレースとして、有馬記念と並んで最も賞金が高いレースでもある(1着賞金5億円)。また今年は秋天と同様イクイノックスが強すぎて(ry現象が発生し、一時は9頭しか出走しないのではとも危惧されたが、少頭数との情報が出た途端ワンチャンを狙う馬が続々と参加を表明しあれよあれよと18頭集まった。当日はいつも通りイクイノックスが単勝1.3倍の1番人気に支持され、少し離れた2番人気に牝馬三冠馬リバティアイランドがつけたが、筆者の本命は怪我から復帰してこのレースから本格始動した我が心の最強馬タイトルホルダー。すかさず筆者も現地参戦するも、現実の最強馬イクイノックスがいる状況では春天のように単勝一点勝負に出る勇気は流石になく、またそもそも直線が長い東京競馬場は逃げ粘る戦略のタイトルホルダーには分が悪いことから、単勝1000円とイクイノックスとのワイド1000円、さらに保存用の応援馬券(単勝+複勝)100円ずつの買い目となった。
レースでは前年の秋天を名レースにした立役者でもある大逃げ馬パンサラッサがいつも通り大逃げし、タイトルホルダーが離れた2番手をとり実質先頭として馬群を引っ張るが、その直後にはピッタリとマークしてくるイクイノックス(絶望)。直線の入り口で加速(←おかしい)し始めたイクイノックスに一瞬で抜き去られたが、その後に続くリバティアイランドやスターズオンアース相手にはよく粘り、場内の掲示板に掲載される5着を確保。結果論で言えばもっとイクイノックスを離して逃げるべきであったが、ジョッキーカメラの映像からわかる通り鞍上の和生はおそらくイクイノックスにマークされていることに気づいていなかった(そもそも騎手はガッツリ振り向く余裕がない限り自分より後ろの状況を把握できない)ため、ここは和生とタイトルホルダーはベストの走りをしたと讃えるべきだろう。
↑直線に入ってイクイノックスが並びかけてきた時にガッツリ二度見する和生(2:00〜あたり)
12/3 チャンピオンズカップ
中京競馬場 ダート1800m
本命 … なし、収支 … 0 - 0 = 0円
秋のダートGI。元々は「ジャパンカップダート」として創設され、外国馬の招待もしていたが、2014年に名称変更し外国馬招待もやめてしまった。筆者は「ダートは何もわからん」ということで、チャンピオンズカップではなく前日のチャレンジカップ(GIII)の方を購入し、無事1000円を失った。当日のオッズは前走地方で大差勝ちしたフェブラリーS覇者レモンポップが1番人気となるが、今まで実績を積んだ短距離〜マイルから距離を延長したこと、また中京ダート1800mで圧倒的不利とされる外枠に入ったことにより、単勝オッズは3.8倍にとどまった。
結局レースはレモンポップが逃げ切り勝ち、ダートGI春秋制覇を達成した。ちなみにレモンポップ鞍上の坂井瑠星騎手(リューセー)はめちゃくちゃイケメンだが、トーク力が絶望的になくてメディアにはあんまり出れないらしい。
12/10 阪神ジュベナイルフィリーズ
阪神競馬場 芝1600m 2歳牝馬限定
本命 … 14番 サフィラ(4着)、収支 0 - 100 = -100円
牝馬の2歳王者を決めるGIで、よく「阪神JF」と略される。大体毎年この日に香港国際競争がある。2歳馬はデビューしたばかりでどの馬も実績を十分に積めていないため、非常に難解なレースになることが多く、筆者も何もわからなかったため軍資金の多くを香港国際競争に回し、1番人気でも4.6倍ついていたサフィラの単勝100円のみ購入。
結果は3番人気のアスコリピチェーノが勝ったが、蓋を開けてみれば4着まで3-5-2-1番人気のそこそこ順当な決着。馬券は外れたが、香港の方で多少勝ったのでこの日の収支としてはプラスに。ちなみに昨年は1着こそ1番人気のリバティアイランドだったが、2、3着がそれぞれ12、10番人気という波乱の決着だった。やっぱり2歳戦はよくわからん。
12/17 朝日杯フューリュリティステークス
阪神競馬場 芝1600m 2歳限定
本命 … 1番 エコロヴァルツ(2着)、収支 … 0 - 100 = -100円
阪神JFと同舞台の牡馬2歳GI。牡馬2歳GIはもう1つある(12月末のホープフルS)が、こっちの方が歴史が長い分重視されている感じがする。例によって2歳戦は何もわからんので、「有利な内枠に入った武豊騎乗の逃げ馬」ということでエコロヴァルツの単勝100円のみ購入。ちなみにエコロヴァルツの馬主は今年、「馬の取り違え」というJRA34年ぶりの不祥事の当事者になってしまった。
レースでは逃げ馬だったはずのエコロヴァルツがまさかの出遅れまたかよ。しかし、レジェンド武豊の神騎乗で驚異的な追い込みを見せ、勝った1番人気人気ジャンタルマンタルには及ばなかったが2着を確保。ゴールまでの600mでの速度は全馬の中で最速だった。
2023年GI収支まとめ
というわけで、今年はダート以外の全ての中央GIで何らかの馬券を買ってみました。払い戻しがいくらになったか楽しみですね!!!
馬券購入総額 : 35000円
払い戻し総額 : 6430円
収支 : -28570円
回収率 : 18.4%
(計算が間違ってたらすみません)
改めて計算してみて、「思ったより高いな」というのが感想でした。だって賭けた20レース中当たったのが桜花賞と秋華賞だけだし。中央GI以外でもドバイや香港でちょびっと勝ったり稀にGIIやGIIIを当てたりしていたので、トータルの回収率は20%ぐらいなんじゃないかな、知らんけど。
ですが、私はこの結果に対して少しも後悔はしていません。そもそも1円も返ってこなくてもダメージがない範囲でしか賭けていないというのもありますが、競馬はギャンブル以前にスポーツであり、どの人馬にもドラマやロマンがあるのです。それを楽しむ上での1つのスパイスとして、皆さんも気に入った馬や応援したい馬の応援馬券を買ってからレースを見ると、競馬の魅力や楽しさに気づけるのではないでしょうか。
それでは、最後に現役騎手の皆さんのお言葉をもってこの記事を終わりたいと思います。