2022を振り返って思う世界のイシュー
2022年を振り返り、自分なりに最重要だと感じている世界の課題をお話するポッドキャストを公開しました。
このポッドキャストを自動文字起こしして、簡単に編集したものがこちらです。
こんにちは、ハルモニアの代表を務めている松村です。2022年、今年もあっという間に終わりですね。 いろんな有識者の方とか、VCだったりとか、海外の投資家も含めて、2023年はこういう風なものが流行るとか、こういうテクノロジーの時代になりそうだと予測を立てる記事がたくさん公開されているような時期になっています。
来年どんなことが起こるか、来年何が面白くなりそうかっていうテーマは自分も非常に好きで、年末になると考えてみたりもするんですが、2022年を振り返ってみることがまず大事だなというふうに思っています。
2023予測の前に2022を振り返る
振り返ってみると、2022年に最も大きくみんなが振り回されたこと、一番自分たちの生活においてもビジネスにおいてもインパクトが大きかったことは何かっていうと、やっぱり結局のところ、ロシアウクライナ戦争。そして感染症、新型コロナウイルス、これに対するそれぞれの国がどういう対策や方針をとったかっていうこと。あとはそれらも関わってくるインフレーションですね、世界的な。この3つが結局は一番大きな出来事でした。2022年始まったタイミングで、これらをちゃんと予測できていた化できていたメディアがあったかとか、そういった一年になると予見できていたような人がどれだけいたのか。本当に詳しい事情を知っている人は一部いると思うんですけど、なかなか年始に話題になっていたトピックと、大きく違う年になったんじゃないかなというふうに感じています。それゆえに来年、テクノロジーとかあるビジネスの領域で、何が流行るかというのは・・・
決して無意味ではなくて、そこにやっぱり起業家として、投資家としてあえてバイアスを入れるべきだし、未来予測を正しくするという よりは、未来ってやっぱり意思で出来上がっているものなので、来年こういう年にしたいと言う意思を込めていく。それぞれの起業家が自分の信じているテーマが来年こそええ飛躍するはずだし、来年こそ提唱していることに対して時代が合致してきてメインストリームになるだろうというふうな意思を込めて予測を発表することは重要だと思っているんですけれど。より俯瞰的に2022年とか2023年っていうことを捉えていくには国際政治だったりとか金融とか、感染症や医療・健康、人間心理なども含めた 捉え方っていうのが必要なんじゃないかなと痛感した一年でもありました。
いま、世界の重要課題を2つの軸で考える
今回は2022年を振り返って、自分自身が何を今、課題意識として強く感じているのか。当然なんとか解決したいと思っているテーマとして、どんな課題意識があるのかっていうのを考えていきます。
課題意識というと、普段から色んな本を読んだりとかニュースを読んでいろんなことに共感したり、何か自分ができる行動はないかと、周りの友人、家族たちと話しあってみていて思うわけですが。 改めて振り返ってみると、次の二つの軸で整理をして行くのがいいだろうと考えています。
一つ目の軸はローカルとグローバルです。言い方を変えると、個人に関わることと、社会とか世界レベルの話。これはグラデーションだと思うんですけど、すごい身近な話から、大きな世界の話という軸が一つあります。これを横軸にとるとしたら、縦軸はまあ内面的なこと・心理的なことと、外面的な事象・出来事や動きという軸が置けるんじゃないかと考えています。
綺麗に四つの象限に分かれるというよりは、どちらの軸もゼロorイチというよりはグラデーショナルなので、どのあたりにそれぞれの課題があって、どう繋がっているのかというのが大事。聞いてくださってる方も、自身の課題意識がローカルとグローバル、そして内面と外面っていう軸のなかでどんなことが一番気になっているのか、それがどうつながっているのかっていうのを考えるきっかけにしてもらえたらいいんじゃないかなと思っています。
その整理の中で、自分が特にこう強い課題意識を持っていること、危惧していること、何とかしたいと思っていることが、四つあります。
課題意識1:マスクとリモートによる新しい結びつきの減少
一つ目は新型コロナウィルスの影響がやっぱり引き続き、特にこの日本で暮らしていると、強い生活に対する影響をもたらしていて。マスクをまだつけているひとも多い国なんだと思いますし、マスクをしてなるべく人と距離を取っていくとか、仕事でもリモート、テレワークをなるべく行って、余計な接触とか、余計なつながりがなくなってきました。これを原因として起きている偶然性、セレンディピティと、その身体的な物理的な誰か人のこう出会いとか、交わりの不足っていうのが、課題意識として感じているものの一つ目です。
例えばで言うと、忘年会やるのやらないの。やらない人は全く無いまま 年を越すんだろうなという時期になってきましたけど。飲み会とかお付き合いっていうのが、本当になくなってきましたね。去年よりは増えたかなとか思いつつも、そういうのを必ず参加しなきゃねっていう文化じゃなくなりました、というのは日本ではあると思います。
自分も元々飲み会にあまり行かないタイプの人間で、会食もほぼほぼしないような 性格、というか生活をしています。これ自体はハラスメントが減るだろうし、なんか嫌だなあと思う人との付き合いとか、面倒な関係をなくしていってくれるのでとても楽だなと。いいことでもあるなと思う一方で、異なる価値観を持つ人との接触機会が減ってしまうんだろうなと言うことを懸念しています。これは会社とか学校とか、社会に作られた枠組みでのつながりよりも価値観を共有する人との繋がりっていうのをより濃く求めるようになっているということだと思う。それはそれで居心地がいいはずなんだけれども。
やっぱり人間関係が全体的にフィルターバブル的になっていて、違う視点に気付いたりとか、自分と違う考えを持っている人と、同じ空間で同じ時間を過ごすと言う機会が薄れていってしまうことに、中長期的な時間軸だと結構、大きな問題があるんじゃないかなというふうに感じています。
フィルターバブルいうのはよくSNSとか、ニュースフィードがなんか自分と意見の近い、価値観の近い情報。共感したい、自分が好きなニュースばっかり流れてくるとか、自分が好きな友人の投稿ばかりが流れてくることで、クリックしたくなる情報が多くなるし、居心地は良いし、自分の感情を逆なでするようなニュースが減ることでもあるので。いいキュレーションと、チューニングだよねという一方で、それはフィルターかかりすぎていて、俯瞰的だったり、中道的な物の見方を妨げているってことで問題視されている言葉がフィルターバブルですね。
これがデジタル上だけじゃなくて、物理的な世界での人間関係って意味においても起きてしまっているなというところが一つ目の課題です。
課題意識2:個人の孤独感、相互不信、未来への希望不足
二つ目の課題意識は個人・ローカルで、内面的・心理的なところのテーマです。一つ目のイシューを原因として、個人の孤独感とか、相互不信的な状態とか関係性。そこから起きるなかなかこうポジティブな気持ちになれないような状況という、心理面におけること。これは非常に大きい課題だと感じています。
日本の政府の調査が2022年、今年行われたらしくてですね。孤独や幸福に関する実態調査っていうのが、行なわれています。 これは日本国民を対象にした調査ですけど、だいたい結果としては四割ぐらいの方が「孤独感がある」という回答をしています。さらに世代別では、20代から30代で高い傾向にあるということが調査結果として出ているようです。
これが増加しているのか減少しているのかの傾向までは、今回初めての調査ので分からないし、ほかの国と比べてどうなのかっていう相対化もしないと意味がないと思いつつも。四割ぐらいの人が孤独を感じている状況っていうのは当然ながら、健全な状況じゃない、良い状態とは思えない。例えば、コロナ禍を、感染症とか病気からの健康っていう意味でなんとか乗り越えたとしても、気持ちの健康が保てるのかとか、メンタルヘルスの問題がそこから生まれてきてしまわないかっていうところに、結構大きな将来に対する懸念があると自分は感じています。
ちょっと距離を取らなきゃいけない、マスクをつけなきゃいけないこと。人とベールをかけながら接しなきゃいけないということ。なるべく新しい人と接触しないようにしたほうがいいみたいなことも含めた、孤独感とか不信感。そして将来に対し、なかなか明るい展望が持ちずらいよねっていうこう。心理面の懸念が二つ目の課題意識です。
課題意識3:人々の分断
三つ目の課題は、ローカルからこうグローバルの方に軸足を移していく。いま向き合うべき大きなテーマだと感じているのは、人々の思想的な分断とか、政治、人権的な意味での分断です。
それはもう世界のあらゆるところで起きているけれど、事象としてはっきり現われているのはロシアウクライナ戦争ですし、米中関係ですね。ここについては僕が専門的に語るものでもないので、地政学的に、国際政治的に、どのような問題が起きていて、将来のどんなさらなる問題を孕んでいるのかみたいなのは、いろんなニュース、ソースを見てもらえればと思います。
すごくローカルな面における人と人の距離とか分断っていうのもあるし、そこから多分、何かつながっていて、国をまたがったほかの人のことを信じづらい。自分たちの利益、ナショナリズムというか、自分のそのテリトリーとか、自分のそのインナーサークルの利益を守ることをやっぱり優先せざるを得ないみたいなこととか。入ってくる情報とか、人間関係もフィルターバブル的になっていて、自分と違う価値観、自分と違う宗教的背景、自分と違う文化的背景の方とか、勿論、自分と違うジェンダーとか、自分と違うセクシャリティとかの人と、出会わない、気づかない、話合わないみたいなことが人々の分担の原因になっている。また、解消に向けてのハードルになっているんじゃないかなと、素人ながら感じています。
課題意識4:わかっているけれど止まらない気候変動
四つ目の課題意識は、気候変動です。みんな問題なのはわかっていて、特に日本においては気候変動だったり、地球温暖化だとか、その原因に二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスがあるとか。そしてそれが人類の活動によって増えていくということ、これらが繋がっていることを疑う人は多くないと思う。ただ、みんな認知はしているのだけれども、温室効果ガスの濃度とか排出量みたいなことが目標通りに減らせているかっていうと、まだ全然止めることができていないと言う状況ですね。
今年もCOP27が開催されていて、世界中の多くの国が集まって、どうやって産業革命後の気温上昇を1.5℃以内に抑えられるかという議論を繰り返しているわけですけど、今のところ目標を掲げている国も不十分だったりとか、以前に目標としておいた数値とか水準に対して、まだまだ足りていないということ。新しいあり方へのシフトが、まだ間に合ってないよねということが分かってしまいました。わかっているけれど止まらない気候変動を、強い課題意識として持つようになりました。
4つの課題意識を話してきましたが、これらはバラバラのようで、実は繋がっているんじゃないかと感じています。
こうした難しいテーマ、状況にどう抗っていくか。来年に向けた話は後編で!ポッドキャストでは一連でお聞きいただけます。