人が行動を変えるフレームワーク:行動変容 ✕ GXリーグのイベントにて
行動変容テックの波が来ている。
昨日 8月2日、経産省の呼びかけで業界横断的に大企業が集まる”GXリーグ”のイベントに呼んでいただき、パネルディスカッションに登壇させていただいた。
なんとテーマは「消費者の行動変容」
これは考察を深め、各業界のスペシャリストの皆さんと意見を交わすチャンスだ。「行動変容をどのように考えればよいか」自分からも簡単なモデルを提示させてもらった。
行動変容のシーソーモデル(仮)
人が行動を変える、または新しい行動を始めるメカニズムを、「動機」と「コスト」のシーソーという本当にシンプルな例えで表した。コストに対して動機が上回ったときに行動変容は起こる、という考え方だ。
行動変容を設計しようとなると、よくインセンティブやポイント付与、ゲーミフィケーションなど、「動機」を高めるほうに目が向けられる。一方で、「コスト」を十分減らすことも重要で、目に見えないコスト、面倒さなども気にかけて全体を設計する必要がある。
※なお、行動変容については医療やヘルスケアの領域を中心に長年研究されてきていて、より専門的なフレームワーク・モデルも多数提起されている。詳しい方から見るとシーソーモデルは単純化しすぎていてツッコミたくなるかもしれない。更に学びたい方はぜひ調べてみてほしい。
行動変容を促すためのアプローチ
シーソーの左右を意識した上で、実際に行動変容を促すためのアプローチをこれまたシンプルな表に整理した。
望ましい行動、例えば「再エネ電力への切り替え」「エシカル商品の購入」を増やすためには、動機を高め、コストを下げる方法を考える。
逆に、望ましくない行動、例えば「石油製品の使用」「炭素排出の多い食生活」を減らすためには、動機を下げ、コストを上げるアプローチが必要だ。
GXリーグのイベントだったのでグリーン・トランスフォーメーション系の例を上げたが、同じような考え方は「ダイエット」「禁煙」「健康習慣」などのテーマでも適用できるはずだ。
ごく初歩的なフレームワークの提示だが、ここから各産業・各サービスの目指す社会・業界・個人の行動変容を考えていくのはどうだろうか。そして、一発で上手くいくはずもないため、各社で様々にトライをし、その知見を持ち寄って「行動変容設計の集合知」を築いていくのはどうだろうか。
行動変容というテーマは、「組織マネジメント」に共通する点があると思う。
給与・ボーナス・評価制度、金銭的報酬や心理的報酬、組織構造などなど、社内の人材がいかに長く・高いパフォーマンスを出せるようにするかに関する試行錯誤が多くの企業で行われてきた。その中には失敗もあれば、成功もあり、上手く行った例はベストプラクティスとして勉強会や書籍やコンサルティングを通じて、他企業に共有されていった。
先月のnoteで書いたように、今から10年〜20年くらいで、僕たちは世界全体でかなり急速なライフスタイルの変化を実現していかなきゃいけない。
業界の常識や商慣習を越えて、これから求められる産業構造の変革と、そこに必要な個人・企業の行動変容を促す方法を構想する。それも自社だけで閉じるのではなく、企業や業界の垣根を越えて、様々な専門性や技術を持つ人たちと知恵を寄せ集めて考えていく。
大企業とスタートアップ。メーカーとメディア、クリエイティブの専門企業。研究者とデザイナー。現役世代と次世代。そして行政と政治家。
これまでのフレームにとらわれずに、多様にクロスし、ここから新たな取り組みが生まれていきそうな可能性を感じたイベントでした。
自分も各産業のシフトに積極的に貢献していきたいので、行動変容の設計やプライシングの課題や議論機会があれば本当に気軽に声をかけてください。メールでも、SNSでも。
最後に、改めてハルモニアの全社目標とチャレンジを再掲しておきます。
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