「許されざる恋」「歌舞伎」「自己犠牲」「実話」「昭和初期」あたりにピンときた人に読んでほしい話-宮尾登美子「きのね」の感想

これは、私がこの数日読んだこの本があまりにも面白かったので、ただその感想と類似本をオススメしているだけの話です。

<200文字あらすじ>主人公は海老蔵さんの祖母。ほぼ実話。時代は昭和初期。16歳の主人公が生きていくため選んだ働き先は、偶然にも歌舞伎役者の家。女中として寡黙に働くうち、戦争や坊っちゃん(海老蔵さんの祖父)の度重なる病気に翻弄されるも、最終的に2人の子を産み、妻になる物語。

この本のどこに自分がビビビと来たかをただ書いていきます。

身分の違う許されざる恋
主人と女中の世界。しかも相手は由緒ある歌舞伎役者の長男。結婚を発表した時、どれだけ騒がれたことでしょうか。でも初恋の人との子を産み、結婚して夢が叶うってすごいシンデレラストーリーな気がするのです。

ひたすら耐え忍ぶ主人公
なんてたって子供を一人でトイレで産んだんですよ?どんだけ我慢強いの?ひどく癇癪持ちな旦那さんのために耐えに耐えに耐える。でも最終的には元の鞘に収まっちゃうあたり、本当に対の夫婦だったんでしょうね。

歌舞伎の世界
これまた用語が面白いんですよね。「すっぴん」とか「段取り」とか歌舞伎用語から日常に使われる言葉もあったんだな、と勉強になる。あと楽屋の様子とか後援会とか挨拶回りとか、たぶん自分がやってみたいのかも。

昭和初期の世界
戦争に入る前のハイカラな時代ってワクワクしません?「ダンスホール」とか「コーヒー」とか「サロン」って響きが好きです。一方、17年頃から戦争色が強くなっていくと、辛い気持ちになります。

極めつけの実話
そうなんですよ。これがフィクションならここまで楽しめないと思うんですが、これほぼ実話なんですよ。11代目團十郎さん、イケメンすぎませんか。源氏物語とか美しさの極みですよ。

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自分の好きな要素がつまりまくった小説でした。大変おもしろかったです。以下は「きのね」に近い本。もちろん全部読んだし、全部大好きな小説です

作家・宮尾 登美子に興味を持った人に薦めたい本

自らの前半生に材を取った『櫂』『陽暉楼』『寒椿』『鬼龍院花子の生涯』『朱夏』『春燈』などの自伝的な小説で、ベストセラー作家となった宮尾登美子。生前宮尾と親しく、『白蓮れんれん』などで女性の人生を鮮やかにあぶり出してきた著者が、昭和と平成を代表する「国民的作家」の波瀾万丈の生涯に迫る。

自己犠牲の頂点!に興味がある人に薦めたい本

「華族」「政略結婚」「全てを捨てた駆け落ちの恋」に興味がある人に薦めたい本

歌舞伎の世界に興味がある人に薦めたい本

1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」――侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか? 朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。

以上です。好きな本が似ている人と語り合いたい!!

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