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フィンランドのバイオ系院生・ポスドク向けフェローシップまとめ

僕は日本で博士課程を修了後、現在はフィンランドの研究機関に採用され、研究員として働いています。

この記事でわかること
・フェローシップとそのメリット
・フィンランドで院生・研究をするメリット
・フィンランドのバイオ系博士・ポスドク向けフェローシップ情報

本記事で焦点を当てているのは
・医薬系および基礎生物学系の博士課程やポスドク
・フィンランドでの研究活動
以上の2点に適用されるものです。

留学者の減少がさけばれて久しいですが、フィンランドにおける日本人の博士課程在籍者や研究者の数もとても少ないです。交換留学や短期留学も良いですが、僕としては新天地でどっぷりと学問の世界に浸かることも強くオススメします。

フィンランドに特化したフェローシップ情報を網羅的に掲載した日本語のサイトは、僕が知る限りこの記事が初めてです。フィンランドでの研究環境、特にバイオ系、に興味がある方はぜひ最後までお読みください!


フェローシップとは?

フェローシップとは、研究活動のための給付型奨励金です。
申請書類 (+場合によっては面接) による審査を経て採用・支給されます。

ヨーロッパの博士課程は公募などを経て研究室や研究機関に採用される場合が多く、給料が支給される場合がほとんどです。事実上、契約に近い形をとるので、無給や最低賃金以下での採用は不可能です。

海外での生命科学系における博士学生のほとんどは、研究室の主宰者 (= 教授のような人) が獲得した競争的資金から給料を出してもらうか、自分で獲得したフェローシップで自身の給料を賄います。

すべての研究室が潤沢な資金を持つとは限りませんし、リッチな研究室でも人件費の削減はwin-winなのでフェローシップの獲得は強く奨励されることが多いです。

博士課程修了後、アカデミアでの腕を磨くための任期付き研究員を「ポスドク」と呼びます。僕が今まさにポスドクです。ポスドクの場合、博士課程よりもさらに競争率が激しく実力主義の世界です。フェローシップの獲得が採用の足掛かりになることもしばしば。

以上のような理由から、フェローシップの獲得は博士課程やポスドクであれば誰もが目指すものです。

フィンランドを選ぶメリット

現地での研究生活を経て気づいた、フェローシップ状況を含めたフィンランドで博士課程やポスドクをするメリットを3つ挙げます。

①助成財団の数が多い

フィンランドで研究をするメリットの1つは、助成財団の数が多いこと。バイオ系では専門領域に特化した財団も少なくありません。

「海外留学 奨学金」
「海外ポスドク フェローシップ」
と検索すると、日本国内あるいは国際的な財団が支給するものがヒットします。

しかし、特定の国や地域でのみ有効なものは情報が乏しいのが現状。
この記事では、フィンランドに実際に来ないと分からないフェローシップ情報をまとめました。

博士課程: 数千ユーロ/年
ポスドク: 数万ユーロ/年
といった、そこそこな額面の生活費を支給されます。

競争的ながらも長期的に研究活動を行うチャンスが多いのは留学先として良い点です。

②研究者としての資質を磨く環境が整っている

フィンランドに来て実感するのが、公平でオープンな研究環境が充実していること

フィンランドは環境科学や発生生物学など、バイオ系に限っても世界をけん引してきた学問分野が数多くあります。また、EU圏内ということもあり国際的な共同研究が非常に盛んです。

フィンランドの研究室や研究機関の特徴を一言で表すなら、組織の成熟度が高いと言えます。

ワークライフバランスの考えがアカデミアにも広く浸透しています。そして意見を公平に汲み上げる土壌やシステムが整っています。日本のアカデミアでは軽視されがちな リーダーシップや対人スキルを研究教育の現場で学べるのは大きなメリットだと感じます。

③自立心が伸びる

生命科学研究のメッカであるボストンなどは百人単位で日本人の研究者コミュニティーがあると聞きます。一方、フィンランドでの日本人研究者・博士課程在籍者はとても少なく、現地の人と積極的に交流し情報を掴みに行く姿勢が必要です。

また、フィンランドは冬が長く季節変動が大きいことから、いやでも自分と向き合う時間が増えます。さらに、初心者でも信頼して仕事を任す傾向が高いので (もちろん手厚いサポートつき)、自分に自信を持って仕事をできるチャンスは増えるでしょう。

コンフォートゾーンから抜け出す経験は苦労が付きまとう分、自分を強力に成長させると思います。チャレンジ精神や自立心を伸ばしたい人には、フィンランドでの博士課程やポスドクをオススメします。

フェローシップを獲得するメリット

①経済的に潤う

ユーロ建てで給付されるので為替レートに左右されません。
また、フィンランドでの研究奨励金は多くが非課税です。

ポスドクの場合、個人財団のフェローシップでも学振PDに匹敵する生活費 (30万円/月ほど) が支給されることもしばしば。重複需給も認められる場合が多いです。また、額面に応じて現地の健康保険に加入できることも魅力のひとつです。

生活が経済的に潤うことは精神的安定に直結します。精神的に安定すれば、研究に専念しやすくなり充実した研究活動が送れるでしょう。

②能力を証明する手段になる

フェローシップは競争的に獲得する資金です。
多くの場合、採択率は10-20%ほど。競争率が高いものだと5%ほどです。

そのため、採択されること自体が自分の能力を証明する手段になります。履歴書に書けるのはもちろん、職歴になり得ます。

③自信がつく

採択率は低くとも、書きまくるうちに申請書の書き方が身についてきます。日本国内の財団でない限り、英語での申請書作成が必要なので、アカデミックライティングスキルも上達します。

とても競争的なフェローシップへの採択は、英語能力に自信を持つきっかけになりました。

このように、フェローシップを獲得すること自体に意義があるのみならず、申請書作成のプロセスが様々なスキルの向上につながります

フィンランドのフェローシップまとめ (有料部分)

日本国籍を有する方が応募できる、フィンランドでの博士課程やポスドクに適用されるフェローシップをご紹介します。

医薬系、獣医系、基礎生物学系の分野にフォーカスさせていただくこと、そして専門領域に特化したものに関してはカバーしきれていないこと予めご了承ください。

約20種を網羅的にまとめました

調べる限り、フィンランド国内で受給できるフェローシップをまとめた日本のサイトはありません。なぜなら、情報源はフィンランド語、運が良くて英語だからです。ただし、申請書作成は英語の使用が可能なのでご安心を。

日本国内で名が知れているものや国際的に適用されるものはなるべく省き、フィンランドでピンポイントに適用されるものを特にまとめました。

フィンランドで研究活動を継続するにあたって自分自身でかき集めた情報を公開するので有料とさせていただきます。よろしくお願いします。

今回載せたもの以外にも、各大学や研究機関が提供する助成金が数多くあります。チャンスは沢山あるので、ご自分でも沢山探してみてくださいね!

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