やっと手に入ったもの

夫との結婚生活が終わった。

離婚届の中にメモ用紙が挟まっており、床に落ちた。

"15年間ありがとう"

私がずっと欲しかった言葉だった。
欲しくて欲しくて、求めて求めて、苦しくて苦しくて、離婚まで持ち込んだ言葉だった。

力が抜けて、涙がほろほろ流れて止まらなくなった。
変わってしまったと思っていた彼は、何も変わっていない、私が愛した人のままだった。

よかった

婚姻制度には当てはまらない私たちだったけど、愛して欲して、傷つけて罵り合った私たち。
ぶつかり合って、でも本音が言えなくて、怖くて、でもなんとかして欲しくて、離婚の決断が私から涙をとことん流させていた。

空はどこまでも青く澄み渡り、暖かく、桜も咲いている。

これからも何かを引き換えに何かを手に入れるのだろうか?

もう何も出ないなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?