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ポケットの話
私はポケットが好きである。
そして胸ポケットが暫定1位だ。
「胸ポケットはいいぞぅ」
タバコ、携帯、札や小銭、食べかけのホットドッグですら入る。
ゲーム内でリュックを手に入れて所持できるアイテムが増えた時の高揚感、まさにそんな感じである。
私はズボンのポッケには何も入れない主義。
なぜならチンポジを直す時に邪魔になるからだ。
むしろ「チンポジ専用」と言っても過言ではない。
なんならポッケに穴が空いていてダイレクトにチンポジセッティングをできるとなお良し。
アパレル会社のお偉いさん、どうでしょうか?
なので服を買う基準に胸ポケットがあるか無いかでかなり変わるのだ。
ただいっぱいはいらない、1つあればいいというわがままっぷり。
あったらあったで便利なのだが
ポケットに色々入れすぎて「鞄買えよ」
などと小言を言う人がでてくるだろう。
それはめんどくさい。
小さい頃の話だが
童謡にふしぎなポケットという歌があるのは誰でも知ってるだろう。
「ポケットの中には
ビスケットがひとつ
ポケットをたたくと
ビスケットはふたつ」
この歌を聴いた時
「神じゃん」
そう思いながらポケットに入れたビスコは
5000枚になった。
もはや間のクリームと混ざってペーストである。
「ふざけんなし」と思ったが母にバレるとぶっ飛ばされるのでバレないように捨てた。
私は実に欲張りである。
童謡通り1回叩けば2個になるというものがペーストである。
そんな欲張りな少年は70歳くらいの老夫婦が営む近所の洋食屋に父とよく行った。
店名は外苑だか外縁だか思い出せないが
「がいえん」という。
今はもう営業していないし、最後にその店の横を通った時は10数年前。
その時ですら野良猫まみれの廃墟と化していた。
とても美味しいお店だったので息子さんあたりが継いで営業してくれたら嬉しいな、なんてことを十数年思っている。
毎度のことなのだが、
「ハンバーグかカレーか選べない」
結局どっちも頼ませてくれる優しい父に感謝しつつも
幼少期の私は当然どっちも食べ切れるわけはない。
なんなら何口か食べて寝ていた。
起きる頃にはテーブルに料理はない。
おそらく父が食べていたのだろう。
これが毎回なので学習しろよって話なのだが
父こそ学習しろよなって感じである。
お会計が終わると老夫婦はニコニコしながらいつも決まってぺこちゃんキャンディのまがいもんみたいな棒が付いている飴ちゃんをくれた。
ぺこちゃんキャンディのまがいもんみたいな棒が付いている飴はどこに売ってるのだろうか。
すぐにAmazonで
「棒付き キャンディ」と検索したら当然のようにあった。エモい。
気がついたら注文完了画面に変わっていた。
50本2500円
実に欲張りである。
妻にバレたら怒られるだろう。
ポケットに入れたままのレシートを洗濯して怒られたばかりなのに。
先日晩御飯に妻がマグロの漬け丼を作ってくれた。
はらぺこだった我々は盛れるだけ米を盛り、乗せれるだけマグロの漬けを乗せた。
最初は「うんメェ」と言いながらかき込んだのだが半分くらいすると手が止まった。
妻も手が止まっている。
私「なんか、お腹いっぱい、、、
妻「分かる」
両「もう食えない」
アホである。
欲張りなのは私だけではなかったのだ。
よくよく思い返すと妻の方が欲張りである。
京都に旅行に行った際入った老舗お茶屋さんで普通のお茶が700円、ちょっとええ感じのお茶が1000円、さらにええ感じのお茶が1500円、めっちゃええ感じのお茶が2500円というメニューだった。
貧乏性の私は700円のお茶を頼み
妻は「せっかくだしぃ〜」とか言いながら2500円のお茶を頼んだ。
1杯700円のお茶はものすごい香りがよく、「さっすが老舗、うマァ〜」と言いながら茶を啜る私。
妻の方に目をやるとちょうど1口飲んだところだった。
「めっちゃまじい、てかこれ海苔やん。
濃すぎて海辺の岩舐めてる味」
などと半べそをかきながら言っていた。
アホである。
お店のスタンダードも知らずにプレミアム的なのに手を出すからこうなるのだ。
「そっちのお茶ちょっとちょうだい」と妻に言われ1口づつ交換した。
1杯700円のお茶はものすごい香りがよく、「さっすが老舗、うマァ〜」と言いながら茶を啜る妻。
「めっちゃまじい、てかこれ海苔やん。
濃すぎて海辺の岩舐めてる味」
などと半べそをかいた私。
アホである。
2500円あれば棒付きのキャンディが50本も買えるのに。
きっと娘もそのうちビスコをペーストにするだろうし、回転寿司で一番高いネタをポロポロこぼしながら食べ、胸ポケットに入れて帰るのだろう。
物価高騰しまくりのこのご時世では飴ちゃんをくれるお店は無いだろうから私のストックからあげるとしよう。
先日、久しぶりに着たシャツの胸ポケットからシワクチャの領収書が出てきた。
広げてみると3200円のお茶屋の領収書だった。
こいつを煎じて飲めば海苔の味がするだろうが私は勇気がなかったのでそのまま捨てた。
どうやらポケットには思い出もしまうことができるらしい。
だから私はポケットが好きなのかもしれない。
そういう話