【今週のアメリカ大学野球】クマー・ロッカー完全復活/ダグ・ニカイジー伝統の一戦で1安打完封【9週目】

 こんにちは、あまなつ(@MattDavidson91)です。
2/19に開幕したアメリカ大学野球(NCAA1部)も、9週目が終了しました。
当面は、レギュラーシーズン終了まで、毎週アメリカ大学野球の注目トピックを4-5つ紹介していきます。

1.クマー・ロッカー完全復活

 開幕前は全体1位指名最有力候補のロッカー(バンダービルト大3年、右投手)でしたが、ここ数試合球速が低下しており、4/8のジョージア大戦ではキャリアワーストとなる3HRを浴び、5回6失点と炎上し敗戦投手に。
伸びのある速球とカーブを軸に、インパクトのあるピッチングを続けるジャック・ライター(バンダービルト大2年、右投手)との差は大きく縮まり、ファンの間ではライターを推す声も増加していました。
 そして4/16に、28勝6敗と絶好調のテネシー大3連戦初戦に登板。
この日は93-96mph、MAX97mphと球速が安定しており、なんと5回2アウトまでノーヒットピッチング。
伝家の宝刀スライダーの他にも、カッターを効果的に使い、7回を被安打2 与四球1 奪三振8 失点0と完璧な投球で、全米単独1位となる8勝目を挙げました。

 見事球速低下の懸念を払拭し、巻き返しを図るロッカー。
翌日登板したライターも、キャリアワーストとなる3HRを浴びながら、6.1回 被安打4 与四球3 奪三振10 失点3と要所を締める投球で試合を作りました。
今後も全体1位争いからは目が離せません。

●クマー・ロッカー

ロッカー

●ジャック・ライター

ライター

2.ダグ・ニカイジー伝統の一戦で1安打完封

 今週アメリカ大学野球最大のライバルのミシシッピ州立大vsミシシッピ大3連戦が開催されました。
 初日はミシシッピ大のエースガンナー・ホグランド(2年、右投手/MLB公式ドラフトランキング30位)7回 被安打4 与四球0 奪三振9 失点3と力投するも、強力なミシシッピ州立大から中々得点を奪えず、最後は絶対的クローザーのランドン・シムズ(2年、右投手)に試合を締め、ミシシッピ州立大が5-2で勝利。
 2戦目のミシシッピ大の先発は、2019年の日米大学野球選手権で来日したダグ・ニカイジー(3年、左投手)。
この日は打線がミシシッピ州立大先発のウィル・ベドナー(2年、右投手/MLB公式ドラフトランキング41位)から3回で6点を奪いKO。
ニカイジーも9回を被安打1 与四球2 奪三振12の完封劇で、3勝目を挙げ、9-0で快勝しました。
3戦目はどちらも小刻みに点を奪う展開で、6回表にミシシッピ大が2点を入れ勝ち越すも、6回裏にタナー・アレン(4年、外)の3点三塁打などでミシシッピ州立大が5点を奪い返し、4-7と再逆転。
その後2点差に詰め寄られるものの、1戦目に続きランドン・シムズが試合を締め、ミシシッピ州立大が7-5で勝利しました。

 ニカイジーは183cm(178cm?)と上背はなく、速球も90mph-90mph前半と球威はありませんが、大きくインステップする高めのオーバースローで角度を付けカバー。
大きく曲がるカーブ・スライダーの評価もまずまずですが、体格面から伸びしろはあまりなく、3-5巡目レベルの選手とされています。

ニカイジー

 ちなみに、ミシシッピ州立大3連戦は、ミシシッピ州立大歴代2位の計34151人(1戦目10291人、2戦目13338人、3戦目10522人)を動員しました

3.エバン・ラッセル1試合3HR

 同カンファレンス(SEC)のライバルバンダービルト大との一戦で、8番打者の伏兵エバン・ラッセル(テネシー大4年、外)が、予想外の活躍をしました。
この日先発の全体1位指名候補ジャック・ライターから、4回に速球を叩き、レフトへソロHRを放つと、7回にも1点差に迫る左中間へソロHRを打ち、先発のライターは降板。
8回にはなんと左中間へ逆転満塁HRを叩き込み、3打数3安打6打点の大活躍で、8-4で勝利。
ラッセルは3/27のルイジアナ州立大戦でも1試合3HRを記録しており、テネシー大の選手としては史上初となる、SECの対戦相手からシーズン2度の1試合3HRを達成しました。

 ラッセルは4年間で打率.259ですが、今季はパワーが大きく伸び現在全米25位の10HR。
4年生ということもあり上位指名の可能性は低いですが、テネシー大の2005年以来16年ぶりのカレッジワールドシリーズ進出のキーマンとなるかもしれません。

ラッセル

4.マット・マクレーン覚醒?

 マット・マクレーン(UCLA3年、遊/MLB公式ドラフトランキング3位)が、覚醒傾向にあります。
 マクレーンは開幕後は悪くはないものの、昨季と比べると率・パワー共にインパクトに欠ける成績で、少し評価を下げていました。しかし、4/3のワシントン大戦で大学2度目の1試合2HR(4号)を放つと、先週・今週のウィークエンドシリーズでも、各シリーズで2HRを記録。
ここ8試合で6HRと、パンチ力が大きく向上しています。

●7号HR

●8号HR

 マクレーンは178cmと低身長ながら、2018年ドラフトではコンタクト力の高いショートとして注目されており、ARIから全体25位で指名されましたが、契約には至らず同大へ進学。
1年次はチーム事情により慣れないセンター・サードを守っていたためか、61試合で打率.203 4HR 30打点 OPS.631と満足な成績を残せませんでした。
しかし、ショートに固定された翌年は、13試合ながら打率.397 3HR 18打点 OPS1.043とブレイク。
現在はショートを守っていますが、肩は平均レベルで、将来的に残れるかは意見が分かれています。

マクレーン

5.アレックス・ビネラズ復調

 開幕から低打率に苦しむアレックス・ビネラズ(ルイビル大、3B/MLB公式ドラフトランキング9位)のエンジンがかかってきています。
ビネラズは開幕9試合目まで打率0割台・13試合目までHRなしと、ドラフト上位候補の中でも最悪と言っていい程の不振で、大きく評価を下げていました。
しかし、4/6のケンタッキー大戦で5号HRを放つと、そこから7試合連続安打を記録。
7試合で11安打 5HR 17打点の大爆発で、4/10のフロリダ州立大戦では今季初の1試合2HR、今週のバージニア大3連戦では全試合HRを記録しました。

●9号HR

●10号HR

 ビネラズは1年次に打率.291 14HR 59打点 OPS.995の大活躍で、複数の媒体で1年生のオールスターチームに選出。
しかし、翌年は有鈎骨骨折の影響で2試合の出場にとどまりました。
打撃面はパワーはトップクラスですが、守備面はフットワーク・肩共に平凡で、将来的にレフト・ファーストへのコンバートを予想する声もあります。

ビネラズ

6.9週目終了時点のMLB公式2021年ドラフトプロスペクトランキング投手・野手成績

●投手

8週目投手

●野手

8週目野手

7.その他印象に残った出来事

●マシュー・ネルソン(フロリダ州立大2年、捕手)全米1位の15号HR

先週と変わらず15HR・48打点はACC1位です。

・14号HR

・15号HR

ネルソン

●ローガン・タナー(ミシシッピ州立大2年)の華麗な膝付きセカンド送球

高校時代投手としてMAX95mphを記録した強肩で、盗塁阻止率.500(16-8)です。


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