【2018年】お母さんの学びメモ「クラス会議セミナー in 瀬戸」
クラス会議セミナー in 瀬戸
2018年7月16日(月)パルティ瀬戸
講師: 赤坂 真二先生
**********
昨年度も参加させていただいた当セミナー。
何と言っても参加者の立場の違いが異色で、先生とママが一緒に学び合うという稀有なセミナーだ。
普通なら対立してしまうこともある立場の違いが、同じ目的を持って取り組めば強力な武器になりうることを体験できるステキな学びの場。
もっと各地で広がればいいのだけれど、そこはいろいろな大人の事情があるのだろう。
細く長くセミナーを続けてくれている主催の一尾さんと講師の赤坂先生の熱い思いに感化されて、参加者がいつまでも名残惜しそうにしていたのがとても印象的だった。
●「社会に開かれた教育課程」の形
赤坂先生が講演で触れられた話の中で印象に残ったのは、指導に入られている学校でのエピソードだった。
そこでは、研究授業の際に「指導案」が壁に張り出されていて、子どもたちがそれを見ながら「自分たちは、このめあてに到達していたか?」「こんなふうに話し合いができていたか?」ということを自分たちで評価している、ということだった。
新学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」を目指すことになる。
これは、これまでは教師のものだった教育課程を、保護者や子どもにも広く知らせて、「自分たちが何を学び、それはどのように学ぶのか、何ができるようになるのか、その力をどう使うのか」というようなことの見通しを持ってもらうことを示している。
という理念はわかるが、では実際にどのような形になれば「社会に開かれた教育課程」になるのだろうか、という具体像まではイメージできずにいた。
今回赤坂先生のお話しを聞いて、「あぁ、子どもが主体的な学び手になる、というのはこういうことなのかもしれないな」というイメージがわいた。
子ども自身が、自らの学びを振り返り、評価する。そしてさらにそこから課題を見つけ、協同して問題解決に取り組む…そのサイクルが「主体的・対話的で深い学び」になるのではないか。
これまでぼんやりとしか見えていなかった形が、具体的な像を結んできたように感じてワクワクしてきた。
●合意形成の肝は共通理解
グループワークでは、「クラス会議の評価規準を考えよう」をテーマに、先生とママの混合グループでの話し合いをした。
私たちのグループは「子どもが自分たちで評価できるような規準を作ろう」という目的を決めて取り組んだ。
この目的は「子ども自身が学びの主体であること」を実現するために、とても有効な視点だったと思う。(すごいぞ、みんな!)
ブレインストーミングで出たたくさんの意見を収束させる段階で、我々が大いに頭を悩ませたのが「子ども自身が評価するためには、子どもがわかる言葉でなければだめだよね」という部分だった。
例えば「比べる」という合意形成を図る段階での評価について、大人の感覚でのまとめは「提案者に寄り添い、他の人の意見を尊重して受け入れ、提案者にとって一番よいと思われる意見で折り合いをつける」ということになったが、「寄り添う」「尊重する」「折り合いをつける」などの言葉はちょっと難しいのではないか…という意見が出て、頭に汗をかきながらみんなで考えた。
このときの様子が、まさにクラス会議のよさを表していて、メンバーがお互いの意見を尊重しつつ、でもそれじゃ難しくない?という反対意見も言える環境になっていたし、また目的(子どもが理解できる言葉で表現する)をきちんと共有できていたからこそ、議論が深まったと思う。
最終的に合意形成に至ったのは「みんなが『いいね』と言えたか」という、とてもシンプルな評価規準だったのだが、ここにたどりつけたのはメンバーが共通理解できるように丁寧に目的を確認し合ったことだと感じた。
●ママから保護者へ
赤坂先生との雑談の中でとても心に残るフレーズがあった。
子どもの育ちのためには、学校だけではなく、家庭の力も大きいよね~という話の流れの中で、でも親は目の前の子どものことしか見てないし、子育ての方法だって、それまで自分が受けてきた教育やしつけしか知らないんだよね。と言ったところに返ってきた言葉。
「ママから保護者になる必要がある」
これは視座を変えることを言っていると思う。
○○ちゃんのママから、○○小学校の保護者、そして○○市の保護者へと視座を一段ずつ上げていくことだ。この言葉にとても共感した。
そして、これは学校の先生にも言えることで、○年○組の担任から、○年の学年団、○○小学校の教員、○○市の教員というように視座を変えていけるといいと思う。
それが、目の前の子どもが近い将来どうなっていてほしいのか、また遠い将来にはどんな大人になっていてほしいのか、という教育観へとつながるだろうと思うのだ。
今回のセミナーに参加して、改めて「先生と保護者は、子どもの育ちを支える仲間だな」という思いを強く感じた。
「子どもたちのために」という根底にある思いは同じなのだから、きっと力を合わせることができるはず。
それに気付いてもらえるように、両者をつなぐ役割ができたらいいな~という思いが沸々とわいてきたのは、会場の熱気に若干やられているのかもしれない(笑)
とても楽しい一日をありがとうございました。