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【 第35回 】「チーム学校」に想う(3)

◆学校の中の「チーム学校」

前回のコラムでは、「チーム学校」の持つ2つの側面のうち、「学校と地域が作る『チーム学校』」についての思いを書きました。
今回は、もう一つの側面、すなわち「学校の中の『チーム学校』」について書きたいと思います。

「学校の中」というのは、いわゆる職員室におられる先生方や事務職の方、用務員の方など、毎日学校でさまざまな業務に携わっている方々のことですね。
しかし、現在、学校にはもっと多くの専門的な役割を持った人々も関わっています。
例えば、子どもたちの心の相談を受けてくれるスクールカウンセラーさんや、学校によっては、子どもの福祉的な相談に乗ってくれるスクールソーシャルワーカーさんがいる場合もあります。他にも、学校の図書室の整備をしてくれる学校司書さんもいますし、部活動や特別活動の支援をしてくれる外部講師の方々もいます。こうしたさまざまな職種の皆さんが集まって、学校が運営されているのです。
ですから、「学校の中の『チーム学校』」というのは、これらの人々が協働して「チーム」となることを意味しています。

私たち保護者や、地域の人のように、外から学校を見ていると、「学校の中でチームとなって仕事をする」というのは当たり前のことのように考えていましたし、当然そうなっているのだろうと思っていました。
しかし、文科省が「チーム学校」を提言するくらいですから、残念ながら、どうやらそうでもなさそうなのです。
もちろん、学校長が先頭に立って、チームを意識した学校経営が行われている学校もたくさんあることでしょう。でも、多くの学校では、先生同士、先生と専門家とのつながりが意識されておらず、連携がうまく機能していないようです。
「地域との協働」だけでなく、この「学校の中の協働」も、これからの教育を考えていく上で、とても大事なことだなと感じています。

◆先生の影響力

先生方は、ご自分が子どもたちに与える影響力について、どのように考えておられるのでしょうか。
子どもたちにとって、学校の先生の影響力の大きさは相当なものです。
大人の方なら思い当たる節があるかもしれません。「あの先生の授業を受けて、この教科が苦手(大嫌い)になった」という経験はありませんか。
すべてを先生の責任にするつもりは毛頭ありません。元々苦手な教科だったということもあるかもしれませんし、まじめに授業を受けなかったのが悪かったのかもしれません。もっと努力すればよかったのでしょう。
でも、その先生と出会ったことで、その後ずっとマイナスのイメージを持ってしまうこと、というのは確実にあります。
逆もまたしかり、なのですが、それほど先生の影響力というのは大きいということですね。

先生方は、自分がそうした立場にある、ということを、どれくらい意識されているのかなと疑問に思うことがあります。
授業のわかりにくさ、心ない言葉かけ、投げやりな態度など、そうした行動の一つ一つが、子どもの目にどのように映っているのか考えたことがあるでしょうか。

私は毎日学校に通っているわけではないので、自分で見聞したことはそれほど多くはありませんが、子どもたちや保護者の声を聞くと、「そんな態度を取るなんて、先生は自分の立場を意識していないな」と思うことがよくあります。
いつでもどこでも誰にでも完璧に対応してほしい、ということを言いたいのではありません。そんなことは、先生だって生身の人間ですから無理な話です。
ただ、先生はいつも子どもに見られていて、良くも悪くもお手本になる、ということや、子どもの人生に大きな影響力を持っている、ということを忘れないでいただきたいなと思うのです。
それは、私たち保護者も同じことなのですが、大人は「謙虚さ」を忘れず、子どもと接していけるといいですね。

◆学校のチーム力を上げる

子どもが先生を選べない以上、先生の存在は絶対です。
しかし、クラスにはいろいろなタイプの子どもがいますし、学力差だってあります。先生から見ても、なんとなくやりづらい子というのがあるでしょう。ですから、一人の担任がすべての子どもに対応することには限界があります。

そこで発揮していただきたいのが、学校の「チーム力」です。
あの先生の教科は大嫌いだったけど、こちらの先生に担当してもらったらちょっと好きになった、ということを増やしていただけるといいなと思います。
先生と子どもの相性に合わせて、この先生には相談しづらいけど、あの先生なら話を聞いてくれそう、という子どもの居場所を作ってあげてほしいのです。

そのためにも、教科の担当同士や学年団、また学年を超えて外部講師の方々など、学校に関わるさまざまな皆さんとの情報交換などを積極的に行っていただき、学校の中でしっかりとした「チーム」を作って、学校にいる大人たちが連携できる環境になるといいなと願っています。

(2016年2月1日)

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2013年4月~2018年3月まで、5年にわたり寄稿・掲載された教育コラムの原稿集です。

保護者の視点で考えていた教育のこと、また先生方へのエールなど、自由に書かせていただきました。


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