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#コンピュータ談義 #エルゴノミクス #エルゴノミック・キーボード #キーボード #随想 #こだわり
キーボードは基本構成的に変わらない部分と、ブレークスルーを狙って色々な取り組みが行われてきて。
キー配列的には、Dvorak配列の提唱や、日本語入力を真剣に検討した親指シフトなど色々なチャレンジが行われてきた歴史があっても、結局Qwerty配列が最も一般的に使われている現実。
キーボードの形状的には、縦横にキーを並べることへのアンチテーゼとして、エルゴノミック・キーボードがあって、指の可動域は円弧状なのだから直線上に並べるのは整合性が良く無いであろうという主張。
平面的(を繋げた段々)なキー配置から3次元的に指の動きに合わせてキーを配置すればキータイピングにおいてメリットが大きいだろうという予測。
エルゴノミック・キーボード
エルゴノミック・キーボードと聞いて私が真っ先に思い浮かぶのは、TRONキーボード。
>>>脱線
TRONプロジェクトが提起され、実際に色々な仕様(OS、CPU、キーボード等々)と成果物が出てきていた当時、私はアンチTRON陣営の会社に勤めていました(外資系)。そして外圧に潰される過程を悲しい思いで傍観していました。
TRONプロジェクトに対しては色々な評価がありますが、私は非常に有意義なプロジェクトだったと考えています。
それまで欧米圏で行き当たりばったりに開発・発展してきた、今で言うITテクノロジーを、80年代までに得られた知見で先入観にとらわれず再構築を目指した所に意義があると思うのです。
一例を挙げればTRONキーボードでも、機能として単にキーボードだけではなく、ペン入力も最初から視野に入れていた事に、そういった先入観を打破しようという意気込みを感じます。
当然ながら当時(80年代から90年代)の、今から振り返ってみての技術的制約や知見の欠如から、結果として稚拙に感じる事も多々ありますが、常に先入観を打破しようとする姿勢事態こそ大事だと思うのです。
<<<脱線終わり
その後キー配列は一般的なQwerty配列に準拠しつつも、キーの物理配置を工夫した簡易版的なエルゴノミック・キーボードが幾つも商品化されました。
エルゴノミック・キーボードには夢があって、ほぼコレクション的に3枚所有しています。
Apple Ergonomic Keyboard
これまでAppleがリリースした唯一のエルゴノミック・キーボードです。
中古(ジャンク)で購入して、チャタリングが酷かったので押し入れの奥底で眠っています。
巨大なスペースキーに笑みがこぼれてしまいます。😝
巨大なスペースキーには大型のスプリングとスタビライザーがダブルで実装され、確か打ち心地はそれ程良くありませんでした。重い...
このキーボードは単純にハの字型に開くというだけでしたが、それだけでも(だからこそ?)大型化したりとエルゴノミクス対応の困難さが伺える製品でした。
確かに腕を平行的に突き出すより、ハの字型にした方が方が楽であろうとは思います。
Kinesis Advantage USB Contoured Keyboard KB500USB-blk
エルゴノミック・キーボードの中でも特にぶっ飛んだのがKINESIS社のこの製品ですね。
一般的にはお椀型に盛り上げる所を逆に掘り下げています!
これは永久保存しておかなくてはと思い、2014年に1枚中古購入しました。
キーボードが大きすぎて私の手には合わず、まず使い物になりませんでした。orz
まあ面白いトライだと思います。
そしてこのキーボードにはオプションとしてフットスイッチがありました。
はい、足で押して操作するんです。(残念ながら入手はしていません)
ピアノ演奏でも足を使いますので、フットスイッチは色々と便利だと思います。
2013年から2014年の頃だと思いますが、偶々見つけてその開発思想に賛同し1枚購入させて頂きました。
かなり最初期の量産初期型の購入でした。軸は青軸を選択しています。
キーキャップも交換用に幾つか付属していました。
今でこそ個人でキーボードを設計・販売する事は、それ程珍しい事では無いと思いますが、当時は中々そういった事例が少なく、製品の仕様思想が納得でき、応援の意味も込めての購入でした。
実物は作りが若干脆弱そうで、価格も考えると常用するには勇気が入り、現在まで家宝として大切にしまっています。😝
分割キーボード
最近キーボード自作者さん達のTwitter をフォローしていて、多数の分割キーボードの写真が流れてきます。
分割キーボードもエルゴノミクス・キーボードの一分野として、興味深く推移を見守っています。
そう言えば、分割キーボードも可能性を感じ、数年前にキットをUSの会社から購入しましたが、未だに組み上げていませんでした。orz
エルゴノミック・キーボードへの忌避感
実際にはエルゴノミック・キーボードを嫌っている訳ではありません。
ただ私の使用環境で、そのメリットを生かせる機会が無いという事です。
アナロジーとして、車のドライビング・シートを例にして...
私は車はスポーティーなタイプが好きで(良く止まるから)、就職して最初に購入した車がAE86トレノ GT APEX でした。そのうち子供が出来てファミリーカーに乗り換えした後、(何故か)FD3S (Infini RX-7(4型)とMatuda RX-7(6型))に乗っていた事もあります。
普通に乗っている分には、標準のドライビング・シートに不満は感じません。
乗り降りは楽にできますし、運転していても窮屈感を感じません。
少しだらけたポジションで、イージードライブも満喫できます。
せっかくスポーティーカーに乗っているのだからと、スポーツ走行やサーキット走行をする様になると、シートに不満を感じる様になります。強い横Gがかかった時の体の保持が標準シートでは心許なく感じます。
そこでバケット・タイプで左右せり出しの大きなシートと、シートベルトも4点式にカスタマイズする訳です。これでしっかりと体とシートが一体となり、サーキット走行もより楽しめるようになります。
手放したのは、乗り降りの手軽さと、リラックスしての運転姿勢です。
腕を上げてプロのフォーミュラ・レーサーになったとします。
さあシートはどうなるでしょうか? 完全リジッド(リクライニング不可)シートに、がちがちに固定されたシートベルトで、乗り降りにもスタッフの手助けが必要となるでしょう。
シートの目的は完全に車と一体化し、タイムを削る事しかありません。
快適性や利便性への配慮は皆無になります。
標準シート ー カジュアル使用
バケット・シート ー スポーツ走行・サーキット走行
完全リジッド・シート ー レース走行(勝利する為)
といった感じです。
説明をキーボードに戻すと...
カジュアル使用 - 一般的なキーボード
やや真剣使用 - HHKB、60%以下キーボード
(カーソルキー等のキーが無いキーボード)
真剣使用 - エルゴノミック・キーボード、親指シフト、左右分割キーボード
真剣使用とは、もうただひたすらキー入力(執筆やプログラミング等)を一日中行うような用途です。
今の私には、この真剣使用する機会が無いのですね...
気楽にウェブサーフィンを行うだけなら、エルゴノミック・キーボードは高価で大きく場所を取るだけの使いづらいキーボードです。
まあ、ファッションとして不便さを甘んじて受け入れて使うというのも有りだとは思います。
ただ私の場合、あまりそういったファッション性はどうでも良いというか何というか... キーボードがピカピカ光って嬉しいという感性にも欠けています。😂
エルゴノミック・キーボードにはロマン(F1にもロマンはありますねー)を感じるのも確かではあるのですが...
エルゴノミクス・キーボードを突き詰めて行けば行くほど、個人間の身体的特徴(手の大きさ、指の長さ等々)に何処まで対応すべきかという課題も大きいです。
扇上に配列されたキーボードでは、そういった差異の影響がより大きそうです。
結論
という訳で、エルゴノミック・キーボードにはロマンと夢がありますが、自分にとって良いキーボードと言うものは当然ながら用途に大きく依存するという当たり前の事が結論となります。
結局、今の自分にとってのベストバランスはHHKB なんですよね...
毎回同じ結論で申し訳ありません!😝