「東京観光日誌」#41|江戸川橋、護国寺|鳩山会館
10月21日(金)。このところ家にこもって作業していたので、取材でも外に出るのは嬉しい。アソビューという予約サイトのポイントで予め購入していた鳩山会館のチケットが21日までだったので、ついでにそこから近くにある草間彌生美術館と合わせて行くことに決めた。
・ 鳩山会館へ一番乗り
鳩山会館の最寄り駅は東京メトロ有楽町線「江戸川橋」の方が若干近いようだったが、歩く流れを考えて「護国寺」で降りることにした。
出口5(写真上)から出て、音羽通りを南の方へ歩いて行けばすぐに着くはずである。Googleマップを見ると、この通り沿いには講談社や光文社といった大手出版社があったり、近辺にはお茶の水女子大や筑波大学付属高校もあった。
鳩山会館は10時開館なのでそれに合わせてやって来た。まだお店は開いていないが品の良いお店が立ち並んでいる。
「あれ、熊ぼっこ!?・・チェーン店だったんだ・・」(写真上)
以前の働いていた会社の仕事の関係で、月に1回上野にある印刷所へ行って校正作業を長年やっていた。その近くに「熊ぼっこ」があって時々食べに行っていたのだ。小さな店舗の中華店で、安価で好みの味のお店だった。
「あれ、営業中? もうやっているんだ・・」お昼はここでいただこう、と決めた。
案内通り、駅から約8分ところに入口があった。
「ここから入れるのかな・・」(写真下)
歩道はないようだが・・まあいい。しかしこんなところに鬱蒼とした緑。ここは個人宅だったところだよね。
この坂道を上がったところに・・現れた。ここが鳩山会館(写真下)だ。
開館10分前。他に待っている人というと・・奥の方に年配の3人グループが石の腰掛椅子に座っていた。建物の周りを見てみようか・・側面はこんな感じ(写真下)。
正面玄関(写真上)に戻って注意書き(「ヒールの靴をお召の方は館内のスリッパに履き替えて下さい」)(写真下)を見ていたら、10時きっかりに扉が開いた。
先客グループの方へ顔を向けてみたが、動く様子もなかったので今日最初のお客として入場させてもらう。一番乗り。
・ 館内のセレブな空間
レッドカーペットが敷かれた石段を登り(写真上)ホールの受付窓口でスマホのチケット(QRコード)を読み取ってもらう。
まずは写真撮影について確認し、それから見学する順序についても尋ねてみた。写真撮影は禁止箇所以外は人物を撮らないようにという条件でOK。順序は特にはないとのこと。置いてあった館内案内図(写真下)を見ながらまわってみることにする。
私は1階の玄関から入ってホールに居る。まずは近くの第1応接室(写真下)から入るのが順当だろう。
鳩山会館は、内閣総理大臣を務めた鳩山一郎の邸宅を記念館として一般に公開したものである。館内では往時の応接室や居間、鳩山家歴代の愛用品、記念品等を見学することができる。東京都文京区音羽にあることから音羽御殿の通称で知られ、戦後政治史の舞台の一つに数えられている。
ここはいわゆるセレブな空間ということになるんだろうな。
(写真上)・・ということなので、遠慮なく座らせていただきます。
「うん、いい感じ。足を投げ出し、テレビを観ながらビールでも飲めたらかなり寛げそうだ・・おっと、失敬」
ここから見える奥の部屋が第2応接室(写真下)。
鳩山邸では、いつでも会合ができ、門は開かれたままだったそうである。一郎が元気な時は2階の書斎や応接室で、病を得てからは専らこの応接室で多くの政治家や著名人に会っていたとのことだ。
・ バラとステンドグラス
サンルーム(写真下)を通って庭園に出てみよう。今日は清々しい天気である。
庭園に出てみるとすぐ横に池があり、その先には人物像が2体(写真上)。おそらく朝倉文夫の作品(和夫・春子夫妻像)に違いない(近くに一郎の像もある)。池の錦鯉もしっかり大きくて鮮やか(写真下)。手入れが行き届いているようだね。
庭には多く種類のバラが植えてあった(写真上)。季節になると庭ももっと映えるだろう。ホームページには「庭園アルバム」があり、さまざまなバラが楽しめるようになっている。
庭園をくまなく巡って、再び館内へ。ここが食堂になる(写真下)。
よく見るとここのステンドグラスが美しい。販売機で飲み物を買ってきてこのテーブルで飲んでも良い、という表示もあった。
以前、旧古河庭園の邸宅を見学したときはしっかり喫茶コーナーになっていてビジネスをしていたが・・そう言えば、あそこのバラ園は大きかった。
食堂の隣は、以前は和室だったところだ。今は特別展示室に改造され、由紀夫・邦夫のに関する展示が行われていた(写真下)。ここは残念ながら撮影禁止だ。
では、2階に上がろう。これはまた素晴らしいステンドグラスだ(写真下)。
リーフレットには“バラとステンドグラスの鳩山会館”と書いてあるように、ここの見どころになっている。
2階へ上がると右側には一郎の妻である薫の和室「薫記念室」(撮影不可)その横の前室は正面玄関の上のバルコニーに通じている(写真上)。入ってみよう(写真下)。
見晴らしがいいね(写真上)。振り返るとこんな感じ(写真下)。
鹿と鳩か・・どういう関係があるんだろう? 鳩は鳩山家のシンボル。鹿は・・仕留めた鹿などの首から上を剝製にして壁に飾るのを“ハンティングトロフィー”と言うらしいが、ヨーロッパの貴族趣味を模して作ったのかな、と推測。
館内に戻って、今度は前室の隣の「一郎記念室」を覗いてみよう。ここも撮影禁止となっていたが、鳩山一郎の偉業を讃える品々や遺品、書簡などが陳列されており見応えがあった。
大広間(写真下)の修復前は寝室が三つあったスペースだ。今ここは(他の部屋も含め)撮影などのために貸し出しも行っているとのこと。社交ダンスのシーンに良さそうだ。
第三次鳩山内閣成立(写真上)か・・「昭和30年11月15日懸案の保守合同が成立し自由民主党が発足。同11月22日、日ソ国交回復に取り組む内閣として第三次鳩山内閣発足。翌年病身を押して自らソ連に乗り込みます」と書かれてあった。
そして日ソ共同宣言調印式(写真下)。
「モスクワのクレムリン宮殿で鳩山総理大臣とブルガーニン首相により「日ソ共同宣言」に調印が行われた。(昭和31年10月19日)」
昭和31年というと1956年・・今から66年前の出来事だ。
・ ソ連・ロシア、戦争、物価そしてラーメン
激動の時代、と言っても今もたいして変わっていないのかもしれない。いろいろ検索していると鳩山由紀夫のインタビュー記事が目に留まった。
あまり人気のない政治家だったがツイッターで「ウクライナに軍事的な装備品を提供するよりも、プーチンにウクライナから手を引けと訴え、返す刀でゼレンスキーにNATO加盟を諦めさせる平和外交を行うべきです」(3月18日)と訴えていた。
戦争による余波がさまざまな形で社会に表れてきている。物価の高騰もその一つの原因だろう。買い物に行っても何だかいろいろなものが高くなっている。外食に行くとランチでも千円なんて当たり前みたいな状況になっていて気軽に入れない。
おっと、もう11時になっていた。混雑する前に少し早いがブランチにしよう。このところ一日二食で全然いけるのだ(それは運動量が少ないせい)。戻って先ほどの「熊ぼっこ」に行こう。
メニューを見ると、なんとも庶民価格。しょうゆラーメン450円、しおラーメン450円、みそラーメン450円。今どきこんな安いところは珍しい。でも・・こんなに安かったかな。あとでレビューを見ると「熊ぼっこ」はチェーン店ではないようで、それぞれ独立経営になっているらしい。
さしみ定食650円、さばの塩焼き定食550円、まぐろ納豆定食550円と、この辺りも気になったが今日はラーメン気分、しょうゆラーメンを注文する。
ここでも一番乗りだったようで、店内の客は私だけ。
上野の店舗で食べたしょうゆラーメンとは随分味も違うが、チャーシューや玉子などないシンプルなラーメンもまたこれはこれで悪くない。
ご馳走さま。
この後はゆっくり歩いて「草間彌生美術館」へ向かいます。
初めて歩く道は面白い。