「東京観光日誌」#28|日暮里|朝倉彫塑館
4月13日(水)晴れ。今月はリコのリクエストで「朝倉彫塑館」を訪れることにした。「以前行って、とても良かったのでまた行きたい🧡」ということなので、「それだったら行ってみよう!」となった。
私は初めてなので、ちょっと予習していかないと・・。
・ 朝倉文夫について
「朝倉文夫」や「彫塑」「建物」等について・・「朝倉彫塑館」のホームページの「施設概要」に簡単な説明文があるので、一通り目を通しておくとより一層理解が深まる。
ホームページの説明文よりさらにかいつまんで書くと・・朝倉文夫(1883~1964)は大分県出身。明治から昭和の彫刻家(彫塑家)であり「東洋のロダン」と呼ばれていた。東京美術学校(現・東京藝術大学)卒業。のち東京美術学校の教授に就任。日本美術界の重鎮。自然主義的写実描写に徹した精緻な表現姿勢を一貫して保ち続け、作品では早稲田大学の「大隈重信像」が有名。園芸、猫好き。
午前10時半にJR日暮里駅に到着(写真上)。日暮里駅を降りるのは・・滅多にない。多分西口に出るのは初めてかも。
「朝倉彫塑館」は割と近くにあるのはわかっているが、一応案内図をチェックしておこう(写真下)。ふむふむ・・歩いて3、4分というところかな。
進行方向の御殿坂にある案内標識(写真上)。ご丁寧に・・この先、3つ目の角を左折(徒歩3分)とある。迷うことないね。
・ 朝倉彫塑館に入館すると
ほら、着いた。ここだ(写真上)。意外と狭いこの道は一方通行で車もよく入ってくる。歩くときは注意が必要。
お!? てっぺんに人影?・・そのシルエットはスパイダーマンに見えなくもない。この門をくぐると朝倉世界に入る。襟を正して中へ進んで行こう。
いきなり男性の裸体像がお出迎え(写真上)・・と言葉にすると変だ。・・しかしネットで予習した時の裸体像と微妙に違う気もするが・・。後で調べてみたら以前は左手が上がっている「生誕」という作品だったようで、ここにある作品は「平和来」というもの。ブロンズ彫刻は慶応義塾大学に寄贈されているらしい。まぁ・・どちらにしてもシックスパックの男性裸体像がお出迎えすることになる。
肩越しに今度は何やら怪しげな人の群れ・・これは「雲」と言う作品(写真下)。何だか小柄なおじいさんたちにじろじろと見られているような気がするが・・どうやら視線の先には例の裸体像がある。ということは、雲から平和を見ている・・つまり、平和を待ち望んでいるというメッセージ、と取っていいのかな。
さらに入り口近くには「入館時のお願い」(写真上)。ここは禁止事項が多く表示されているが・・撮影禁止がちょっと痛い。あとは当たり前のお願いがいっぱい。
それから、「履物は下足袋にいれて各自お持ちください」とある。ここはアトリエ兼住居でもあったところだから、靴を脱いで入らないといけない。
入館料は一般¥500。(¥300)は団体料金。小・中・高校生は¥250とあった(写真下)。
建物の中へ入るとすぐに受付窓口がある(写真下)。
リコは自分の分の清算を済ませていた。
私は「これで」とローソンチケットで購入したチケットを渡して、それを「ぐるっとパスカード」(写真下)に替えてもらった。ここは利用できる施設なのだ。
実は4月に入ってすぐに「ぐるっとパス2022」を購入した(写真上)。これを使うと最初に入館した日から2か月間の有効期限がスタートする。このパスを提示することで都内・近郊101施設で無料もしくは割引となる特典がある。料金は2,500円。多くの施設を訪れればそれだけお得ということになる。当面これを利用して美術館、博物館を巡ろうと思う。購入方法、使える施設等、興味のある方はこちらをどうぞ。
リコはすでに入口ロビーで待っていた。
「お待たせ」
見ると、ここは音声ガイドの貸出に200円かかるということだ(写真下)。
展示室は撮影禁止ということなのでメモ帳とペンを取り出し、ビニール袋に入れた靴をバックにしまって準備を整えた。
「じゃあ入ろうか」
展示室に入るとすぐに「墓守」という作品があった(写真上)。
この作品は朝倉文夫の代表作である。この所蔵作品自体、重要文化財に指定されているらしい。
・メモを取りながら館内を巡る
中に入って観ていると・・監視員の年配の女性(おばさん)が声をかけてきた・・
「お手持ちのペンは何ですか?」
「え?・・これは・・」
「あ、それはフリクションボールペン!・・そ~ですか・・フリクションはどうなんでしょうか・・」と何故か戸惑うおばさん。手には鉛筆を持っている。そうか、普通のボールペンだったら、その鉛筆と交換しろっということだな。
「大丈夫ですよ」と笑顔で優しく告げて、その場から立ち去ることにした。それ以上おばさんは何も言ってこなかったが・・監視員は年配の男性(おじさん)も近くに控えていてギロッとこちらを見据えている。何だか・・緊張感が漂う空間だな・・。
①アトリエは天井も高く、温もり感じる淡い茶色の壁面に何体もの作品が鑑賞しやすく置かれていた。中でも人の2倍はありそうなソファーに腰かけた「小村寿太郎像」がひときわ目を引く。小村寿太郎とは戦争時の外相を務めた政治家だ。
同様にこちらも大きい像がある・・ガウンに角帽を被った「大隈重信像」。大隈像は三体制作されていて、ここにあるのは二作目だと書かれていた。下の写真は早稲田大学のブロンズ像。(フリー写真素材フォトックより)
それから、「三相」という「智情意」を表した3人の若い女性裸像。このブロンズ像は上野駅にあることがわかったので、後日撮影に行ってみた(写真下)。
この「三相」の台座にはこのように書かれていた。
ちなみに「智情意」とは知性と感情と意志のことで、人間の持つ三つの心の動きを意味している。
他に女性の裸体像「時の流れ」、警察犬像「臥たるスター」、父と母の像等が展示・・と、もたもたとメモを取っている間、リコはさっさと先へ行ってしまったようだ。
②書斎へ入ろう。こぢんまりした部屋には壁面に本がたくさん詰まった書棚。こういうの憧れだったな・・。
③応接室に移ろう。目の前には人体模型。理科室にあるあの骸骨だ・・。まぁ人物像を作るわけだから・・あって当然だよね。秩父宮登山姿像を見て次へ。
中庭を左手に見ながら廊下を歩き・・
④天王寺玄関を見る。
案内文によれば朝倉の住まいへのこだわりが集約された空間と言える、とのことだ。
中庭を中心に右側の方へ行くと、ここから住居棟、いわゆるプライベート空間となるようだ。
⑤の居間は、数えてみると9畳の部屋。神棚がある。
隣の⑥は茶室として利用した6畳程度の部屋。
⑦は寝室になっていた部屋だ。10畳ある部屋に南洋陶器の棚もあった。
朝倉は“水”をこよなく愛したと書かれてる。自らを“水の信奉者”としていたようで、ここは中庭からの水の音がより一層感じられるような気がした。
中庭の「五典の池」(写真上)は朝倉の考案をもとに造園家である西川佐太郎が完成させたとある。
⑧ピアノの間へ行くと、本来なら映像が視聴できるモニタが用意されていたが、只今中止となっていた。しかし、2作あるうちの1作がYouTubeでも観れるようだ。「朝倉文夫 彫刻家としての歩み」(約6分)
では2階に上がるとしよう。上がって左へ行くと・・
⑨「素心の間」。奥が12畳、手前が6畳半。陶器のコレクションが置かれている。風通しもいいな・・ここから観る中庭は清々しい。
あれ? リコがで手を振っている。もう観終わったのかな。
少し急ごうか・・次は3階に上がろう。
⑩北テラスを通り、畳の廊下になってすぐ右横に「奇跡の《竿忠の像》」がある部屋へ。「竿忠」というのは竿作りの名人のことだと思うが、2点あるうちの1点が東京大空襲で壊れて修復したもの。もう一点が新しく作ったものだという。
隣の15畳ある部屋は来客用の部屋になっている。
⑪「朝陽の間」には「山水図」や「親子猫」といった作品が置かれていた。
ここは日差しが強そうな部屋だ・・角の椅子に座った監視員のおばさん、ここに長く居たら眠たくなるんじゃないかな・・。
・ 写真撮影ができる屋上庭園と蘭の間
おばさんの前を通って、次は外へ出る(写真下)。
靴を取り出し履いて外へ。
「ここから写真、撮っていいんだ・・」撮影許可の表示があり、中の監視のおばさんにも確認して、階段で屋上へ上がる(写真下)。
「おお、気持ちいいな~屋上庭園。あ、あのスパイダーマンがいる」
こちらが「ウォーナー博士像」(写真上)で、こちらが「砲丸」(写真下)という作品だ。
近くで見るとなかなかカッコいい作品。前から見れないのがもどかしいが、これもユニークな設置である。
庭園にひっそり咲いているムスカリを発見(写真下)。
さて、下へ戻ろう(写真下)。
「蘭の間」でも続けて撮影ができるようになっていた。ここは蘭の栽培のために設けられた場所だったようだ。東洋蘭の栽培は朝倉の趣味のひとつで、入門書を書くほどのめり込んでいたという。
この部屋に猫のブロンズ作品3点が置かれている(写真下3点)。
猫好きの朝倉が楽しんで作った作品だろう。展示写真の通り、多い時には10匹以上飼っていたようだ。
あ、リコからLINEが・・何々「玄関ロビーに居たら、外で待つように言われたので外に居ます」か。せっかちだな・・お腹が空いているのかな・・と思いながら「すぐそっちへ行く」と返信して下へ降りて行くことにした。
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