「埼玉観光日誌」#3|越生|越生梅林
3月8日(火)雨のち曇り
「梅は~咲いたか~桜はまだかいな~」が本当の唄。
「梅は~咲いたか~桃屋はまだかいな~」が私が初めて憶えた梅の唄。これをつい口ずさんでしまうのが腹立たしい。
この時期、梅でも観に行こうか~という気持ちになるのも・・春の訪れを目にしたいからだ。
・ 「松竹梅」の意味
今読んでいる本「アートがわかると世の中が見えてくる」(前﨑信也・著/IBCパブリッシング・発行)の中に歴史を背景にした日本絵画の定番「歳寒三友」について解説があった。
「歳寒三友」とは「寒い季節の三つの友達」という意味で、その答えが「松竹梅」となっている。もちろんそれは「お弁当のランク付け」ではありません、と注釈が入り、では「松竹梅」とは何か・・ほとんどの方は実はご存知で、それは「めでたい」ということなのだそうだが・・残念ながらその意味を知る人は少ないと言う。
では「松竹梅」がどうして「めでたい」のか・・それは「寒い季節の三つの友達」・・つまり、冬に松竹梅がどうなっているかがわかれば答えが導けると書かれてある。
「松」は寒くても青々とした葉をたたえ、雪が積もってもどっしりと枝を大きく広げて立っている。常緑であることは「不老」の象徴ともされている。
「竹」は松と同じ常緑であり、天に向かって真っすぐ上に育つ。しなやかで風が吹いても折れることがない。その強さにもかかわらず、中は空洞であることで「高潔」を象徴している。
最後に「梅」。冬が終わり春が来る時に最初に花を咲かせる。これはつらい時を耐え忍んで一番に香しい花を咲かせるということ。
つまりこういうことだ・・
「つらい時こそ青々と立っていよう、春が来ることあれば最初に花を咲かせよう」
これが「松竹梅」の意味・・とあった。
🚙・・・
そういったことを越生へ向かう車の中でリコに話そうかと思っていたが・・車内では不穏な空気が流れていた。
出かける前、リコが「コーヒー淹れたけどどうしようか」と言うので、
「そうだね。車の中で飲もうか」と答え、おそらく水筒に入れると思ったので「何か紙コップでもあるといいんだけど・・」と付け加えておいた。
小5の娘が午後3時半には帰宅する。一応それまでには戻っていたいということで急がないといけなかった。
☕
しばらくして車の中、私が運転しながら「コーヒーでも飲みたいな」と助手席のリコに頼むと・・ハンドル近くのドリンクホルダーに水筒をドン!と入れてきた。
「・・え~と・・紙コップとかある?」と恐る恐る聞くと・・
「持って来なかったけど」と事も無げに言う。
そうか・・確かにリコは熱いコーヒーを水筒に入れて職場に持って行っている。おそらくそのまま飲んでいるんだろう。これは彼女からすれば何も問題ない光景なのだ。・・しかし、私は慣れていない。水筒から熱いコーヒーをあまり飲んだことがない。
「ちょっと飲みづらそうだな・・水ではないし・・」
「大丈夫だよ」とリコ。
そう言われると・・仕方ない。恐る恐る飲もうとしたその瞬間。
(・・ゴボ)「!!」(あちー!!)🔥
・・むせた・・ひ〜舌が焼けてピリピリする🥵
保温は完璧で熱々なのはいいが・・口に入ってくる量がわかりずらい。
ちょっと傾けたつもりだったが、思った以上に熱いコーヒーが喉に入り込んでしまった。
そんな私の様子を見ていて、紙コップを持って来なかったことの腹いせだと思ったのか、冷ややかな様子で私を見ているようだった。
参ったな・・「コンビニでコーヒーでも買おう」と言ったら、きっとさらに状況は悪化するだろう。もちろん、コンビニコーヒーを飲んだ後に水筒のコーヒーを注ぎ足していくつもりなのだが・・状況からいってあまり良い提案ではなさそうだ。ひとまず、水筒の蓋を開けて、中を冷ますぐらいしかアイデアが浮かばなかった・・。
そのうち・・越生に着いた。
・ 3月8日の梅見
案内に導かれるまま入口近くの駐車場へ(写真下)。駐車し外に出るとすぐにおじさんがやって来て駐車料金の集金(500円)。
「越生梅林」は駐車場の向かいが入口となっている(写真上)。
天気はさえないが、雨が降らなくて良かった。辺りを見渡せば山も近く、のどかな雰囲気だ。実は15年ぐらい前にもリコとここを訪れていて今回で2回目になる。その時の様子はもうすっかり忘れている。
入園料は無料とあった。あれ?以前は有料だったかな・・。
入り口近くの梅はまだ満開ではない様子だ(写真下)。
越生町観光協会の情報だと6日の時点で、
早咲き:満開(寒紅梅、紅冬至など)
中咲き:7分(越生野梅、べに梅など)
遅咲き:咲き始め(白加賀)
園全体 4分
福寿草 満開
とあったので、若干早かったかもしれない。
noteではkimukoさんが2月24日に訪れていて、写真がとてもきれいだった。
一応早咲きは満開になっている。
さて、今日の3月8日の春をいただいていくことにしよう。
本当だったらここのレール(写真下)にはミニSLが走っていたり、梅の花のライトアップといったイベントも行われるはずではあるが、今年もコロナのため中止になっている。もっとも平日はやってなかったかも。
梅の花のアップ(写真上)・・愛らしいね。リコは桜より梅の花が好きだという。梅の方がより和を感じるということらしい。
「庭が大きかったら梅の木があるといいね」とすっかりご機嫌。
確かに梅干しも作れるし・・それは賛成だ。2度楽しめる。
梅の花言葉は「上品」「高潔」「忍耐」「忠実」だそうだ。やはり寒さが厳しい時期が背景にあるんだね。
こちらは福寿草園(写真下)。
こちらは満開だ(写真上)。ぽてっとした「お福さん」という感じ。福寿草は福を招く植物として知られ「幸せを招く」「永久の幸福」という花言葉がある。しかし西洋では「悲しい思い出」というらしい。薄幸のお福さん。
こちらはまた随分と枝ぶりがいい梅の木である(写真下)。近くに寄ってみよう(写真下)。鮮やかだ。ここも満開。
隣にお土産屋さん(写真上)。それから・・投票「越生の10名山を選ぼう」(写真下)か・・無人でも盛り上げようとしているんだね。
こののぼり旗は「越生に散った若き志士 渋沢平九郎」(写真上)とある。渋沢栄一の義兄弟で、大河ドラマ「晴天を衝け」では壮絶な最後のシーンが描かれていた。地図で見るとこの数キロ先に「渋沢平九郎自決の地」があるようだ。
では、再び梅の花を楽しみに中へ入って行こう。
立札に何か書かれている(写真上)。
越生梅林の古木
越生の梅は、新編武蔵風土記によると、延享四年(一七四七年)には梅干しが江戸に出荷されていたと記録があり、二百六十年余りの歴史があります。
園内には、百本以上の古木がありますが、このうちおおむね二百年を超える梅の木を古樹古木として保存しています。
越生町観光協会
ここで改めて越生梅林について・・「越生梅林は、埼玉県入間郡越生町にある越辺川沿いに広がる梅林。水戸偕楽園、熱海梅園と共に「関東三大梅林」の1つとされている。南北朝時代に武蔵国小杉村に大宰府より天満宮を分祀する(梅園神社)際に梅を植えたのが起源という」(出典:ウィキペディア(Wikipedia)より)
歩いていると、たくさん見かけるこの白い梅は「越生野梅」(写真上)であろう。こちらは見た目通り「しだれ梅」(写真下)。華やかな空間を演出してくれる。
これは蝋梅(写真上)だな。本来2月の花なのだが、今年は寒かったのでまだこうして観ることができるようだ。実は蝋梅は梅ではなくて別の種類の植物だが、梅に似ていることもあって“蝋梅”と名付けられた、と書いてあった。花には蝋のような光沢感があり、中国では風邪薬や火傷の塗り薬として使用されるそうだ。
この辺り・・以前来た時の記憶が残っている場所だ。そうそうお土産さんがあった(写真下)。
店の横には梅木の盆栽が陳列されていた(写真上)。見ると2千円以上もする鉢がきちっと並べられている。盆栽はちょっと前までは老人の趣味のように見られていたが、アメリカでは愛好家がいて独特な世界観を楽しむ趣味になっている。きっとそういう世界観を知るとのめり込みそうな気もする。
その隣には地元農家の直売所(写真下)があり、手作り感のある品物が並べられていた。
・ 越生のお土産とお食事
さすがに梅干し関連の商品がたくさんある(写真上)。無添加の梅干しなど流通に乗っていない品物なので、ついついお土産に買ってしまった。買った品物は家に帰ってから写真に撮ることにしよう。
ちょっと先に行くと、お土産屋兼食事処があった(写真下)。ここはよく憶えている。・・なるほど、結局花より団子か。
ここではうどんやそば、おでん、それから甘酒などが注文できる。何となくいい匂いもする・・そろそろお昼時間になってきた。
よし、梅の花(写真下)は十分堪能した。お昼を食べに行こう。
「今日は鯰でいいかな?」と調べておいたお店の看板メニューを教える。私の知るところリコは鯰を食べたことがない。
「え? あのナマズ?」
「そう、あのナマズ」
私も日本では食べたことがないので興味がある。越生で鯰をいただけるお店をネットで見付けたのだ。
ちなみにアメリカいた頃、レストランメニューにある時はよく注文していた。鯰は英語で「Catfish(キャットフィッシュ)」という。漢字にすると「猫魚」となる。アメリカ南部のソウルフードにもなっていてフライにしていただくことが多い。
リコは鯰をどう捉えたか・・越生の駅近くにある「魚愛」へ行ってみた(写真下)。
店内には3組のお客さんがいたがとても静かだった(写真上)。私たちは座敷を選びメニューをチェック(写真下)。
あった。お目当ての鯰。ここでは「ず丼」(1,270円)というメニューになって天ぷらで提供されていた。このお店は本来鰻をメインにした川魚料理のお店で、リコには「鰻もあるよ。ランチだとお得なメニューもあるようだし」と気持ちを量ってみた。すると、
「ず丼にする」と即答。腹は決まっていたようだ。
ということで早速注文「ず丼を二つお願いします」。
少し時間がかかったが、揚げたての鯰と玉ねぎ、オクラの天ぷらがのった「ず丼」が目の前に置かれた。
見た目、思った以上に量がありそうだ。
鯰というとどこか泥臭いと思いがちだが、そんなことはない。少々歯ごたえのある淡白な白身魚でとても美味しい。
そして、さすがに越生。テーブルには梅干しもあって(写真下)、ご飯と一緒にいただくこともできる。
散策して適度な運動も手伝ってか、あっという間に平らげてしまった。
ごちそうさま。
今回は割り勘だね。
お腹いっぱいで眠くなりそうだったけど、そんなに長い運転にはならないだろう。帰路につき車の中ではしばらく会話が弾んでいたが、途中から言葉が少なくなっていく・・鼾はさすがになかった。
「梅は 咲いたか桜はまだかいな 柳やなよなよ風しだい 山吹や浮気で 色ばっかりしょんがいな~」
最後に本日の戦利品。手前は地元で作った梅干(350円)。左は甘酢梅3つ入り(100円)2パック、もちろん地元産。奥は採れたてふきのとう(300円)。翌日リコのリクエストで私の手料理、天ぷらにしてそばでいただきました。
こちらは私のお小遣いで買った「越生の完熟梅ジャム手作り」200g(550円)。冷蔵庫の手作りマーマレードジャムが終わったら皆で食べよう。
越生梅林(梅まつり)
住所:埼玉県入間郡越生町堂山113
電話:049-292-1451(一般社団法人越生町観光協会)
[入場料]無料
[駐車場]有り(普通車500円)
[祭り開催期間]令和4年2月11日~3月21日
[祭り営業時間]8:30~16:00
公式ページ:https://ogose-kanko.jp/tourist_attractions/ogose-bairin/