「東京観光日誌」#32|上中里|旧古河庭園
若い頃は花に全く関心がなかった。周りに花を楽しむ人がいなかったせいかもしれない。花に関心を持つきっかけを作ってくれたのが友人の中村君だ。彼は花というより植物全般に詳しく、特に蘭やシダには特別な想いがあったようだった。当時20代頃の私には興味のない話を延々と聞かされ、相槌を打つことしかできなかったが・・それでもいつしか植物と触れ合う機会も増え、少しずつその魅力に気が付くようになってきた。
その造形の独創性、美しさ、色、香り・・そしてそれが多種多様にある。
今年は季節感のある場所にも多く行きたかったので、積極的に「梅」や「桜」の名所へ訪れるようにした。そして5月は「薔薇(バラ)」の季節であることは知っていた。が、いつの間にか5月も後半になってしまっていた。まだ大丈夫だろうか・・。
・ 旧古河庭園へ訪問
5月26日(木)晴れのち曇り。
午前中必要な仕事を済ませ、午後にはお休みをいただいてIR山手線「駒込駅」から本郷通りを歩いて目的地「旧古河庭園」へ向かった。
しばらくすると石垣が現われた。おそらくこの内側が「旧古河庭園」に違いない(写真上)。その先左に折れたところに正門があった(写真下)。
「駒込駅」から歩いて12,3分といったところだった。最寄り駅はJR京浜東北線の「上中里駅」の方が近いので、帰りはそちらから帰ることにしよう。正門には「春のバラフェスティバル」の看板。ここはバラの名所としても有名なところなのだ。ん? 6月30日までやってるのか・・。
バラの開花周期には3つのタイプがある聞く。
一年を通して繰り返し咲く「四季咲き性」、季節や条件によって繰り返し咲く「返り咲き性」、一年に一度だけ咲く「一季咲き性」。どれもだいたい5月~6月が見頃となっている。
正門を通るとすぐ右横にサービスセンター(チケット売場)がある(写真上)。入園料は一般150円、65歳以上70円と良心的。
私は今回も「ぐるっとパスカード」を利用して入園(トータル750円お得にアップ)。詳細はこちらで。
さらに進んで行こう(写真下)。
目の前にある洋館は「旧古河邸」またの名を「大谷美術館」(写真上)。右側にその入口。そして左側に行くと庭園があるはずだ。
まずは、庭園のバラを鑑賞させてもらおう。
さっと見渡すと・・どうもバラが全て咲いているというわけではなく・・全体の3割程度しか花が付いていないように見えた(写真下)。
ちょっと遅かったかな・・。
まぁ仕方ない。咲いている花だけ観て行こうか。写真を撮ってその花の名前と解説を読み上げよう。
・ 庭園のバラ鑑賞
妃の名前を拝したバラの名前があるのも「花の女王」にふさわしい。
バラの花言葉は「愛」と「美」である。では、洋館前の庭園の方を観に行こう。
見晴らしいいね~ ここがメインのバラ園(写真上)かな。しかしここも満開という感じではなさそうだ。それでも多くの人が写真撮影を楽しんでいた。洋館を背景にすると写真映えするだろう。では、私も一枚(写真下)。
それでは、再びバラの観ていこう。
バラ園からちょっと奥に入るとツツジ園となっていてパラパラと和やかにツツジが咲いていた(写真上)。ツツジはもうピークを越えている。
・ 日本庭園を散策
振り返ってみよう(写真下)。ここから先は日本庭園となっている。
ここは思った以上に広い敷地となっている(写真上)。日本庭園の中央には大きな池「心字池」がある。解説では「“心”の草書体を形取り、鞍馬平石や伊予青石などで造られた池」とあった。
着いた。解放感があるな~
心字池(写真下)の周りをちょっとまわってみようか。
あれ!? 錦鯉? 何だか・・人になついているようだ。
この土地はもと明治の元勲・陸奥宗光の邸宅だった。宗光の次男が古河家の養子になったとき、古河家の所有となったという。当時の建物は今はもうない。
現在の洋館と庭園の設計者は、明治から大正にかけて、鹿鳴館、ニコライ堂、旧岩崎邸庭園洋館などを手掛けた英国人建築家のジョサイア・コンドル(1852~1920)(写真下左)である。日本庭園の作庭者は、京都の庭師・植治こと小川治兵衛(1860~1933)(写真下中央)で、洋風庭園にも勝るとも劣らない魅力的な名園を作り上げた。
古河財閥創業者古河市兵衛の実子で、3代目の当主となった古河虎之助(1887~1940)(写真上右)がこの和洋両庭園を大正6年~8年(1917~19)に完成させた。ここは大正初期の庭園の原型を留める貴重な存在であり2006(平成18)年に文化財保護法により国の名勝指定を受けた。(リーフレット等参照)
先ほど心字池に入った辺りからちょうど反対側に来た(写真上)。ここは「枯滝」というところ。水を使わないで山水の景観を表現する「枯山水」の道具立てのひとつが枯滝という。しかし、歩いているとよく灯籠を見かける。目の前の灯籠は「雪見型灯籠」(写真上)という。他にも灯籠や石碑があちこちと置かれていた(写真下)。
季節の良い晴れた日に本でも持って来てここでのんびり時を過ごすのもいいだろうな。季節によって咲く花もいろいろあるようだし。
・ 旧古河邸(大谷美術館)
日本庭園を後にして、洋館である「旧古河邸(大谷美術館)」に戻った。
一応「ぐるっとパスカード」が使えるか確認してみたが、やはりここは利用できないとのこと。ということで、入館料一般400円(小学生以下無料)を支払い邸内に入る。何やら「写真撮影禁止」の表示がいたるところにあった。
ここは中でお茶が楽しめるようにもなっている。ちなみに珈琲850円、紅茶700円、ケーキセット1,300円等と少々高くつくが、邸内の応接室や食堂でいただけるのが嬉しい。写真下3枚は入口前の立て看板。
邸内を案内している「見学順路について」をクローズアップすると(写真上)、「1階のみ公開中」と記されていた。①1階ホール→②ビリヤード室→③書斎→④応接室→⑤小食堂→⑥大食堂を見て回る。15~20分あれば十分だった。
2階には日常生活の場であった和室があるようだが、そこは公開されていない。ただし「特別展・旧古河邸とジョサイア・コンドル」が行われていて建築家コンドルの人物像が垣間見れる2部屋のみの展示となっていた。コンドルの画力が素晴らしかった。
そろそろ帰ることにしようか。
やはり、JR京浜東北線の「上中里駅」が近いようだ。500m、徒歩7分と書かれてある(写真下)。
駅までの道は結構シンプルだった。すぐに駅に到着(写真上)。
今日は軽く飲んで帰ろうかな。
もっとバラが観たい方は、「📷写真好きつね🦊@ひろ」さんの「生田緑地ばら苑」の写真が素敵です。