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2025年第19回ショパンコンクール チケット争奪戦記

以前こちらのノートでまとめたように、前回の第18回(コロナのせいで2020年が2021年に延期となった)ショパコン、開催予定1年前に現地ワルシャワへチケットをゲットしに行ったにも関わらず泣く泣くチケット払い戻しに至った。なにしろ2021年の豪州の国境管理は依然として厳しく、ワルシャワへ行ったはいいがいつ豪州に再入国できるか分からない状態だったので、ワルシャワ行きは諦めたのである。

そして、次の2025年第19回のショパコン、前回ほどの「ショパンコン見に行きたい」熱が幾分冷めていたし、何より航空券の高値がいまだに続いているし、「家でネット配信でいいか」とも思っていたのだが、前回私が現地でチケットを取ってあげて一緒に行く予定だった友人が「今度は私もチケット取りにワルシャワ行くよ!一緒に行こうよ!」と相変わらず凄い意気込みだったので、つい自分も乗せられて、はい、10月1日のチケット発売日に合わせてワルシャワ、またぞろ行ってまいりました。

前回もそうだったが、今回もネットでの販売はあっという間の完売が予想されていた。なにしろ世界中からの大量アクセスで、先ほどの友人によると「前回はオンラインではチケット販売ページがなかなか開かず、そこにたどり着けてもそこから購入完了ページまで行けなかった」、ということだったので、欲しい日のチケットを確実に取りたいなら現地のチケット販売所(ショパンミュージアムの隣り)まで行くしかないのである。

というわけで、今回は販売所正面にあるホテルを早々に予約、更にチケット販売所がしっかりと窓から見える部屋を指定。販売時間前から並ぶ人たちが来たらすぐに察知できるようにしたわけである。

販売開始前日、夕飯を食べて部屋に戻ったところ、まだ夕方6時半過ぎ、誰も並んでいなかった。シャワーを浴びて7時半過ぎに再度チェックすると何やら男性が一人、チケット売り場入り口横手にある小さい噴水脇に座っているように見えたが、他には誰もいなかったし、一緒にチケットを買いに行った友人ともども「昨年の一番乗りの人は早朝から並んでいた、と言っていたから明日は朝6時までにに並べば大丈夫だろう」ということでいったん解散、朝5時に目覚ましをセットして就寝。

ところが、である。夜中1時過ぎに尿意で目が覚めてふと窓からチケット売り場前広場を見下ろすと暗闇の中で携帯と思しき明かりがちらほらと見えるではないか!
「これは!?」と思い、すぐさま友人の部屋へ電話、一緒に降りて確認しに行ってみると、すでにポーランド人達7人が並んでいた!(そのうちひと組はウクライナ人とポーランド人のカップルだったが)。
その中のひとり、奇特な人が並んでいる人の順番を明確にするために、よくレストランの入り口などで書き込むような「順番リスト」の紙を準備してくれていたので我々はそこへ名前を書き込み整理番号7、8、9番をゲットできた。この時ほど最近の「夜中のトイレ起き病」がありがたく思えたことはなかった。
並んでいる人たちと話をしたり、私が日本から持参していた「白い恋人クッキー」をシェアして食べたり、交代でホテルに戻って暖を取ったりしながら翌日の正午12時の販売時間まで並んだ。ポーランド人の一人によると、「今回は現地の人たちも早く来て並べばちゃんとチケットが買えるように、全公演の25%分の座席はオンライン販売分とは別に確保してある」、ということであったが、これはまことにフェアな話だなと思った。

翌朝までにはかなりの長さの列ができていて、その中にはピアニストの青柳いづみこさんもいらっしゃった。若い頃の私であればイケイケで声をかけたところだが、この歳になるとなんとなくその勢いもなく、あ、青柳さんもいる、と眺めるだけなのであった。

そのほか、日本からの駐在員妻集団も朝方にやって来た。「日本にいる知り合いからチケットを取るように頼まれた」ということらしいが、現地妻たちはショパコンの争奪戦がいかに凄まじいかを知る由もないようで、「朝早く来れば大丈夫と言われた」と我々のずっと後方に並んでいた。彼女達、頼まれていたチケット買えたかな?

販売開始時間前にはChopin Instituteの人や現地のテレビ、ラジオ局の人も取材に来ていた。私も最前列にいた一人として数社からインタビューを受けたのだかChopin InstituteのYoutubeチャンネルではその部分がカットされて(なんでやねん?)アップされていた。

気合いで1次から本選までの通し券、そして入賞者ガラ・コンサートの2日目、3日目まで予定通り全てのチケットを無事買い終えて販売所を出たところで「購入できたチケットを広げて見せてくれ」とChopin Instituteのカメラマンに言われ友人と一緒にその通りにしてみせると、その部分がそのビデオのサムネイルとビデオの最後の方に映っている。テレビ、ラジオ局のインタビューの方は、どこに記事が出たのか結局わからず自分のインタビューが載ったかどうかは分からず。

というわけで、来年の10月はワルシャワということに。
青柳さんのような細に入った文章は自分には書けないが思いつくままに「アマチュア・ピアノ弾きによるショパコン現地観戦記」でも綴ってみようかな。


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