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ココナラの闇。
僕は、映像クリエイターとしてココナラを利用している。
副業で利用を始めた2021年は年間で300万円ほど。
3年6ヶ月経った今では、700万円以上の売り上げがある。
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そんな僕の出品者ランクは、下から2番目のブロンズだ。
前月まで最高位のプラチナランクで活動していたのに、翌月には下から数えたほうが早い立場になった。
しかもこの仕打ちは、1度ではない。今回で2度目だ。
いとも簡単に下位ランクに落ちるのは、何故なのだろうか?
僕はココナラのランク制度について情報を整理し始めた。
この記事でその内容を(備忘録ついでに)まとめていこうと思う。
ちなみに本件の内容に関して、直接ココナラの運営へ問い合わせをすることもできたのだが、それは避けた。
運営に問い合わせをすると「メールでのやり取りについては公開してはダメだ」という念押しがいつも来るため、メールで得た知識は基本的に公表できないことになっている。
当社から回答するメールは、お問い合わせをいただいた会員様にお送りするものであり、メールの一部または全部の転載、二次利用することはご遠慮ください
そのため、メールで先に問い合わせをしてしまうと、僕が調べて得た情報も記事化できない可能性が考えられた。
(インラインで回答された場合、メールの一部がどの程度なのか判断が難しくなると考えた)
したがって、利用者の個人的な見解の域を脱しない記事となっているが
現在ココナラで活動している人
ココナラでランクが下がってしまった人
これからココナラで頑張ろうとしている人
こんな人たちの参考になれば幸いだ。
そもそも、ココナラのランク制度とは?
この記事を読んでいる多くの人にとってはすでにご存知かもしれないが、簡単にココナラの評価制度について触れておく。
ココナラには大きく2つの評価制度がある。
一つは、パッケージ(出品者が提供するサービス)についての評価。
もう一つは、出品者そのものに対する評価だ。
前者のパッケージの評価は
PRO認定
口コミ(星評価)
この2つがある。
口コミの方はイメージしやすいだろうから詳しい説明は省くが、要は利用者が星5つのうち何点か? で採点するものだ。
PRO認定は、ココナラ運営内に認定する部署(事務局)があり、販売額や購入者とのやり取り、納品物のクオリティなどで総合的に判断される。
「品質」「納期」「情報管理」を基本として判断するようだが、いぜれも客観的な基準は明示されていないため、細かな基準は不明だ。
後でも紹介するが、PRO認定を受けるにあたっては、執筆時点(2024年10月3日現在)では出品者のランクは関係ない。
もっと言えば、ココナラ外の活動でも評価対象となる。
極論だが、インフルエンサーやトップYouTuber、テレビタレントや芸能人、大手企業や実績がちゃんとあるフリーランスなどであれば、いきなりPRO認定のパッケージを出すことも可能かもしれない。
一方で、出品者そのものに対しての評価は
出品者ランク
この1つのみだ。
運営の内部資料などでは「隠しランク」が存在するハズだが(売上ランキングなど)、僕らが確認できるランクはこの「出品者ランク」しかない。
記事冒頭で申し上げた「下から2番目の評価になった」と言っているのは、この「出品者ランク」の方である。
出品者ランクについて
ここまでこの記事を興味深く読んでいただいている多くの方は、すでに出品者ランクについてもご存知だろうが、簡単に触れておく。
ココナラの出品者ランクは、
レギュラー
ブロンズ
シルバー
ゴールド
プラチナ
に分かれている。
ランクによって報酬の実入が良くなる……なんてことはないが、フィルター機能によって特定のランクの人のみを表示させたり、運営から特定のランクの人たちを集めて交流会を開催したりと、それなりにメリットがある。
一番大きい恩恵は、購入者に対する安心感や信頼感の担保、いわゆる「新規案件の獲得のしやすさ」かもしれない。
(出品者がお金を払って利用する「広告機能」にもランク別で露出の多寡がきまる印象はあるが、確証はない)
さて、ここからが本題である。
僕はこのココナラの出品者ランク制度が、正直、破綻しているように感じている。
ココナラの出品者ランクの闇
ココナラでは5つもランクが存在しているが、このランクの基準が破綻しているように感じる。
まずはココナラの出品者ランクの基準について整理しよう。
ココナラの出品者ランクの基準がおかしい
出品者ランクの基準については、僕が調べた限りでは執筆時点で2度変わっているようだ。(2022年10月、その前が2018年4月)
執筆時点では、2022年10月に変更した基準で認定されている。
少なくとも、2年間は変わっていないことになる。
基準は以下の通りだ。
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一見、積み上がっているように見える(右側にいくほどハードルが上がっているように見える)が、注目してほしい箇所が1つある。
シルバーとゴールドの間の「販売実績」が、急に「件数」から「販売額」に変わっているのだ。
「それの何が問題なんだ?」と疑問に感じるかもしれないが、ここに大きな闇を感じるし、僕は基準がおかしいと感じている。
プラチナになりやすく、ブロンズに落ちやすい構造
たとえば、1件10万円のサービス(スキル)を出品しているとしよう。
1回でも売れれば(他の基準がクリアしてれば)、翌月からはプラチナランクに上がれる。
一方で、月に3件制約して売上が30万円あっても、評価が4.8を下回れば、ゴールドにもシルバーにも引っかからず、いきなりブロンズに落ちる。
売上が月に30万円もあるようなサービスを提供しているスキルは、ココナラではブロンズ程度の評価でしかないということだ。
手数料で言えば、月に6万円強の金額をココナラに奉納しているのに、ゴールドランクですらないのだ。
口コミ評価絶対主義とも取れるが、評価が4.8もなければそもそもゴールドにもなれず、売上がどれだけあろうが、販売件数が10件に届いていなければシルバーにも居させてもらえない。
そう、ココナラの出品者ランクは、シルバーとゴールドのランクがほとんど機能していないのだ。
例えばゴールドとプラチナの差異は、3ヶ月間の合計売上額が5万円違うのみ。それ以外は「全く同じ」基準だ。
1ヶ月に16,666円(5万円÷3ヶ月)多く稼いでいるからといって、ランクが変わるほどの優劣があるのだろうか……僕には疑問だ。
疑問と言えば、ブロンズとシルバーの間も疑問だ。
ブロンズは累積件数なのにも関わらず、シルバー以上のランクは3ヶ月の平均となっており、わかりやすく基準が途中からブレている。
「積極的な参加」
(古いアカウントはブロンズにしておきたい)「継続して稼ぎ続けられる能力」
(過去の実績よりも、直近での実績に価値をおきたい)
このような内容を評価に入れたいのかもしれないが、「積極性」や「継続性」の有無を評価したいなら、レギュラーとブロンズの間につければ良い。
何故なら社会通念上、ブロンズ(銅)以上の評価は「有評価」として扱われ、一般の参加者と一線を画す評価として扱われることが多いためだ。
ココナラ内で積極的に頑張っている者とそうでない者の線引きは、レギュラーランクとブロンズランクの間でおこなわれるとスッキリする印象がある。少なくとも有評価同士である「ブロンズ」と「シルバー」の間でおこなうのは甚だ疑問だ。
他のプラットフォームとの大きな違い
それでは、他のプラットフォームではどうなのだろうか?
おそらくココナラが参考にしている(ベンチマークとしている)であろう、本家海外のスキルシェアサービス「fiverr」のランク制度は、以下の通りだった。
New Seller:加入したばかりのフリーランサー。
Level One Seller:60日経過、最低でも10個の取引を完了、一定の評価を得ている。
Level Two Seller:登録してから120日以上経過、50件の注文を期限までに納品、高評価を獲得しているもの。
Top-Rated Seller:180日以上経過し、100件の注文が入り(最低でも20,000ドルを売り上げ)、もちろん評価が高い。
fiverrでは「登録期間」「販売件数」が基準となっている。
わかりやすいヒエラルキーの構造だ。
トップランクのみ「売上」が条件として乗っかるような設定も、納得できる。
余談だが、fiverrには「fiverr's Choice」という「おすすめのギグ(出品)」を表す評価制度がある。これと良く似たシステムを導入しているのは(僕の知っているところでは)日本国内の「ランサーズ」が全く同じ仕組みを導入している。
ちなみにランサーズでの出品者ランキングはというと、4ランクに分かれている。
レギュラー
ブロンズ
シルバー
認定ランサー
それぞれのランクの基準が気になる方はこちらの公式のヘルプ記事を参照していただくとして、基本的には積み上げで決まる。
ランク制度なので、ランサーズの評価もヒエラルキーの構造をとっていることがわかる。
最上位クラスの「認定ランサー」になるためには、シルバーまでのハードルに加え、「獲得報酬が所属しているカテゴリー内で20%以内に入っていること」が条件に加わる。
国内業界大手の「クラウドワークス」も(私は風土が合わなかったためほとんど活動していないが)念のため比較しておこう。
クラウドワークスの出品者ランクは
一般
プロクラウドワーカー
この2種類のみだった。基準は「売上」や「満足度」などであったが、ユニークな基準もあった。直接依頼を表す「スカウト数」が評価に入っていたのだ。
いずれにせよ、Fiverrにしろランサーズにしろ、やはり「実績の積み上げ」が基準となっていることはわかる。
平たく言えば、ヒエラルキーの構造(ピラミッド構造)を成しているわけだ。
ココナラの出品者ランクが「歪」なせいで起きている弊害
ココナラは評価基準が歪なせいで、ランキングが正常に機能していない。
執筆時点(2024年10月3日時点)で「すべてのカテゴリから検索」をおこない「パッケージ数」をカウントしてみたところ、630,620件のパッケージ数があった。
これを出品者ランキングでまとめたら以下の通りになった。
プラチナ:36,570
ゴールド:11,716
シルバー:8,494
ブロンズ:73,569
レギュラー:160,120
また、PRO認定のパッケージのみでカウントしたら以下の通りになった。
PRO認定パッケージ数:945
プラチナ:645
ゴールド:65
シルバー:27
ブロンズ:171
レギュラー:31
ご覧いただくとわかるが、分布数がブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナという順になっていない。
圧倒的にブロンズとプラチナが多いのだ。ヒエラルキーのようなピラミッド型をしておらず、どちらかというとひょうたん型に近い分布だ。
パッケージの出品数の多さで並べ替えると
レギュラー:160,120
ブロンズ:73,569
プラチナ:36,570
ゴールド:11,716
シルバー:8,494
このような順番になった。
プラチナランクは実に上から3番目の多さを誇る。
確認だが、プラチナランクは最上位ランクだ。それにもかかわらず、ブロンズ(下から2番目)のランクの次に多く存在している。
クリエイター1人あたり1〜3つほど出品していると仮定すれば
プラチナには、12,000人〜20,000人
ゴールドには、4,000人〜6,000人
シルバーには、3,000人〜4,000人
ブロンズには、24,000人〜36,000人
レギュラーには、53,000人〜80,000人
このくらいの出品者がいるのだろうと推察する。
こう見てみると、シルバーやゴールドには数千人程度しか存在していないので、シルバーやゴールドランクの人たちは、非常にレアな存在なのかもしれない。
出品者ランキングよりも、PRO認定の方が希少価値が非常に高い
ここで、PRO認定に関する不可解さも触れておきたい。
確認できた総出品数(630,620)に対して、PRO認定を受けているのは945件。
その数、わずか0.15%弱しか存在していない。
販売実績が1件のみであるレギュラーのパッケージを除外しても(470,500件)、わずか0.2%だ。
こうなってくるとPRO認定を受けているパッケージにこそ価値があるように感じる。少なくともレアな存在と言っても良いだろう。
全パッケージのうち、0.15〜0.2%しか存在していないのだから。
宝くじの1等(6億円)が当たる確率が0.1%、前後賞が0.2%程度と言われているので、その確率と比べてもらえると非常にレアな存在であることはわかってもらえるだろう。
また大変興味深いのは、ランキングが一番下の「レギュラーランク(販売実績が1件〜10件未満のクリエイター)」でも、31件のPRO認定パッケージがあることだ。中には、販売実績が0の出品にも関わらず、PRO認定がなされているパッケージもあった。
反対に、1人のクリエイターが2つのパッケージでPRO認定をもらっているのも確認できた。
1人1つという縛りもなさそうだ。
※僕もこの記事を執筆しながら、追加で1件PRO認定を申請してみた。結果がわかれば追記する。
ちなみに認定制度のヘルプにはこう書いてある。
PRO認定の基準
主に「品質」「納期」「情報管理」の3つの観点で高い基準を満たしたサービスの出品者を認定しています。
(中略)
ココナラ内外での活動経歴を問わず、PRO認定を希望する場合は、以下のフォームよりエントリーしてください。
※全カテゴリを対象にエントリーを受け付けています。
(中略)
PRO認定のエントリーには本人確認の承認が必要です。
(中略)
選考結果について
エントリー後、選考を通過された方にのみご連絡いたします。
受付状況や選考結果に関するお問い合わせ・ご要望は、回答できかねますので予めご了承ください。
「ココナラ内外」ということは、すでに大きな実績を持っているクリエイターは、いきなりPRO認定を受けられることを意味する。
「品質」「納期」「情報管理」の3つの観点で高い基準を満たしたサービスの出品者を認定とあることから、件数や売上などとは全くの別基準で間接的に出品者を評価(認定)していることになる。
これにはメリットもデメリットもありそうだが、いずれにせよこのPRO認定制度も出品者ランクを歪ませている要因の一つになるだろう。
最後に
ココナラの出品者ランキングは執筆時点では、歪である。
これは疑いようのない事実だろう。
また、ただでさえ高い手数料(22%)を支払っている上に、出品者の「広告機能」なるものも2022年ごろから実施されたため、手数料以外にさらにお金を出さないと満足いく露出も見込めない。
手数料も広告機能も「ココナラにしかない取り組み」といえば聞こえはいいが、決して出品者に歓迎されている施策ではないだろう。
(その証拠に、広告機能はこれまでに年間数万円を投資してきたが、露出が増えただけで成約にはほとんど至っていない。広告機能については、お金を吸い上げるシステムなだけで、出品者には全くメリットのないものだと感じている)
歪な評価制度を少なくとも2年間も維持している運営には、ぜひもう少し「公平」「平等」について考えていただきたいものであるし、ランキング制度を導入したいのであれば是非とも「ヒエラルキー」についてもう少し理解していただけると嬉しく思う。
少なくとも最高位ランクと下から2番目のランクがボリュームゾーンとなっているようなランキングは、ランキングとしての魅力もないし、誤解を生みやすくなるだけだろうと思う。
「そんなに嫌なら利用しなければ良い」
これは確かにその通りだが、真にクリエイターに優しいプラットフォームが出来上がることを期待しているのも事実だ。
手数料が下がったり正しい評価がされたり。
クリエイターが生き生きと活動できるプラットフォームが、一つでも多くできてくれることを祈りつつこの記事を締めようと思う。