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【教師の闇】常勤講師、そろそろ辞めない?|講師制度の三大問題点とは?
2部構成のつもりが、気が付けば3部となっている。
しかしこれでようやく最後。
相変わらず話が長いなと思うが、なんとかまとまりそうだ。
もし時間があれば、シリーズを通して読んでもらえると嬉しい。
常勤講師制度の、三大問題点
教師をやったことがない人に、一度話したことがある。
相手「教師ってどうやったらなれるの?」
私「名簿に登録したら、誰でもなれるよ。」
相手「え?!嘘でしょ?」
正しくはないが、あながち間違いでもない。
講師制度、とりわけ「常勤講師」については以下のような大きな問題点がある。
書類審査のみで教師として働けてしまうこと。
初任者という扱いが、年数や熟練度ではなく、立場のみで決定していること。
派遣と正社員の問題のように業務内容がほとんど同じなのに、立場の違いだけで雇用が不安定になり、福利厚生などにも差があること。
詳しくみていこう。
教師として働くのにテストはいらない。あるのは書類審査だけ。
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ほとんどの自治体では、講師登録名簿を作成している。
そこに登録されれば、教師が不足した時や補充が必要になった時に、教育委員会から連絡が来る。
その後、教師が不足している学校へ「講師※」として派遣される制度。
※ここでいう講師とは、主に公立学校での常勤・臨時講師を指している。私学の場合は、正規採用前の立場として講師扱いになることが多い。(仮契約みたいな扱い。)
この名簿に登録されるためには、教員免許を持っていることの確認や犯罪歴・職歴など、いわゆる「この人が教師として働いても大丈夫かな?」という書類審査はある(はずだ)。
地域によっては、講師登録前に面談もあるかもしれない。
(ちなみに私は15年以上前に2団体に登録していたが、面談を課されたことはない。)
教育委員会の人と会うのは、採用が決定してから。
しかもその面談は、合否の面談というよりも意思確認の意味合いがほとんどのため、実質、書類審査のみで講師になれる。
講師登録に、テストは存在しない。
そして日本全国ほとんど全ての自治体で、随時講師を募集している。
もしお時間があれば、あなたの「自治体名(都道府県名または市町村)」と「講師募集」で検索してみてほしい。
きっと募集しているはずだ。ご存知の通り教育現場では慢性的に教師不足なのだ。
講師は常に募集され、条件は主に教員免許を持っていること。
書類審査のみで、採用試験なども経ずに教師として採用される。
私自身、講師として働いた経験は通算して4年ほどある。
常勤講師の打診は、大体年度末(3月中旬〜下旬)が多く、早いと面談3日後からは、その学校の教師として働いていた経験がある。
ちょっと考えてみてほしい。
落ちることのない書類審査のみで
面談後、早ければ3日後から
その学校の教師として働けてしまう
常勤講師であれば、担任や部活動の監督なども3日後から任されることになる。子どもに何かあった時に責任を取らなくてはならない立場が、いきなり任されるのである。
学習塾や家庭教師の講師などでも同じような流れではあるので、そういった意味では『講師としての採用に不備はない』と言えるが、学習塾などの民間企業であれば、研修制度などもしっかりとあるだろうと伺える。
学校の講師には、初任者研修なんてものも存在しないのだ。
初任者とは、経験年数ではなく、立場で判断される。という、歪さ。
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講師制度の大きな問題点の一つに、初任者研修のあり方もある。
端的に言えば、日本の教師の初任者研修は全くもって機能していない。
今、近くに知り合いの教師がいたら聞いてほしい。
「初任者研修で役に立ったことはあるか?」と。
ほとんどの教師は「同期としての自覚が芽生えた。」という程度で、技能面や精神面で役に立つことはほとんどなかった、というだろう。
とはいえ、これは結果論だ。
人によっては、非常に貴重な経験をした人もいるかもしれない。
私が機能していないと断言する理由は、他にある。
初任者の扱いをされるべき人たちの線引きが、非常にナンセンスだからだ。
大学卒業後すぐに講師として働いている先生は、社会経験がゼロなのに、初任者扱いではない。
それにも関わらず、研修も全く受けずに、教師の仕事をフルタイムでこなしていく。
反対に。
例えば10年間講師をして、現場で働きながら勉強を頑張ってようやく受かった教師は、初任者研修を受けなくてはならない。
立場が、民間人とほぼ同じ『講師』から公務員である『教諭』に切り替わったためだ。
誰も何もこの違和感を感じないのだろうか?
要約すれば、日本の公教育における「初任者」とは
『経験や熟練度の意味での初任者ではなく、公務員の立場として初任者である。』
という意味である。
確かに税金面や福利厚生面で、公務員ならではのルールなどもあるだろう。(それでも官民是正の流れで年金なども一本化されたためだいぶ減ったと思うが。)
立場や地位を重視する(古き良き)日本らしいといえば、日本らしいのかもしれない。
常勤講師と教諭の違いは、正真正銘「立場」だけ
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これは昨今ではよく知られたことだから改めて話すまでもないが、常勤講師と教諭の違いは、公務員かどうかの立場の違いだけである。
公務員でない講師は、毎年3月31日または4月1日を除く1年間で、単年度契約している。1日除かれているのは、退職金を出さないようにするためだ。
そのため講師は、思っている以上に不安定な立場に置かれている。
2年・3年と同じ学校にいるからといって、その次の年も同じ学校で働けるとは限らない。
これは通常の教諭でも、もちろん民間企業でも同じかもしれない。
民間であれば「転勤」という形で、学校であれば「転出」があるためだ。
しかし講師は、そもそも採用されない可能性もある点が、大きな違いである。
派遣社員や業務委託の社員などと、全く同じなのである。
どれだけ業績・実績が良かろうと、どれだけ多くの生徒・保護者から信頼を得ようとも、次年度の採用にはあまり影響しない。(ただし「鶴の一声」は結構あるため、便宜がはかられることはある。)
そんな不安定な立場、もちろん公務員ではないので保健や年金は、民間と同じ。
それにも関わらず、業務内容は教諭と全く同じ。
そんな中、教諭を目指すのであればこれに加えて採用試験のための勉強もある。
採用倍率自体は下降傾向にあるため、そういう意味では昔よりは教諭になりやすいのかもしれないが、相当な無理ゲーだろう。
運要素が大きいにも程がある。
(生徒ガチャ・保護者ガチャ・管理職ガチャ・試験レベルガチャ・受験生ガチャ…etc)
講師経験を活かした採用や手当などを教諭と同じようにするなど、大昔に比べれば随分と壁は低くなったと思うが、それでも圧倒的に不利な立場で講師は働いている。
生徒や保護者からすれば、同じ先生としてみられる。
採用試験に落ちたけど教師としては働ける。
この制度で得をしている人たちは誰なのか?
今一度、しっかりと考える必要があるだろう。
常勤講師制度は、やめた方がみんな幸せ
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最後の集大成と思い、#ニュースからの学びとして昔から感じていた「常勤講師」制度の問題点を語ってきた。
常勤講師制度は、自治体や教育委員会側などの発注者の立場にとっては非常に魅力的で都合の良い制度。
しかし、その他多くの者にとっては、百害あって一理なし。
(非常勤講師はちょっと別)
教師不足と言っているが、それなら講師を全員教諭にしたら良いのではないか?と本気で思う。
そもそも採用試験などもせずに講師として働かしている程度のハードルで教壇に立てるわけだから、教師の質も何も、最初から存在していない。
語弊を承知で申し上げると、これから身の回りやニュースなどで教師関連の犯罪・軽犯罪・問題行動などが起きた時に、その肩書きに注目してほしい。
(最近は管理職でも平気で盗撮とかするから、ひょっとすると違うかもしれないが)常勤講師・非常勤講師が多いと感じるだろう。
念のため主観だけではなく、客観的なデータとして文科省から出されている教諭と講師のデータを使っておく。
小中学校だけでいえば、教諭と講師の比率は(概ね)9対1の割合である。高校はもう少し講師が多いイメージがあるが、それでも8対2もいかないだろう。
そうすると、教師関係の事件や問題行動が10件あったとして、そのうち1件が講師の立場の事件や問題行動となるべきだが、果たして本当にそうなるか。
少し話が脱線したため、本題に戻す。
講師制度は、自治体のみが得をする制度である。というのが、持論である。
本当に、派遣労働などと同じ構図だ。
生徒・保護者。
働き手としての教師。
管理職。
いずれの立場にとっても、講師制度には頭を悩ます。
(管理職も頭を悩ますとは意外かもしれないが、意外と新規で講師を見つけて来なくてはならない場面が多発しているので、意外と講師制度に頭を悩ましている管理職は多いはずだ。)
昔の近江商人の教えで「三方良し」(買手・売手・社会にとって利益がある)というものがあったが、「三方悪し」の常勤講師制度は、本当にどうにかした方が良いのではないだろうか?