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石けんにパームオイルを使わない理由

MATSURIKA SAVON(マツリカ サボン)の石けん作りにおいて大切にしていることは、いくつもあるのですが、その中のひとつは・・・。

パームオイルを使わない石けんであること

パームオイルとはアブラヤシ(パーム椰子)の果実から作られる植物油のことです。

他の油脂に比べ1年に何度も収穫ができるので、非常に安価で、固形でも液体でも使いやすく酸化しにくい等の理由で世界で最も消費されているオイルです。

私たちの身の回りに溢れている、安価なお菓子やパン、マーガリン、チョコレート、アイスクリーム、即席ラーメン、フライドポテトやポテトチップス、カレールー、洗剤や石けん、化粧品、塗料や化学薬品、バイオディーゼル燃料など、あげればキリがないくらい使われています。

ただ原材料にパームと記載がない場合もあり、「植物油脂」「植物油」等で表示されていることも多く、表示を見ても実はパームオイルが使われていると分からない場合もあります。

パームオイルは安価で、石けんの固さを出し、泡立ちを補助してくれるので、大手企業メーカーはもとより、手作り石けんの本にも原材料のひとつとして必ずと言っていいほど紹介されています。

石けんの原材料表示で「石ケン素地」と表記されているのも、メーカーにより異なりますが、パームオイルはとても多く使用されています。

そんな便利で安価なパームオイルをなぜ使用しないのか。

それは、パームオイルの需要がインドネシアやマレーシアにおける深刻な森林破壊を引き起こしているのが大きな理由です(画像はGREEN PEACEより)

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パーム椰子は赤道近くの気候に適し、インドネシアとマレーシアが2大産地で、世界シェアの8〜9割になるほど圧倒的な生産国です。

世界で最も使われているパームオイルがほとんどこの2国で生産され、グラフを見るとすごい勢いで需要が伸びているのが分かります。

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アブラヤシは、収穫したらすぐに搾油する必要があるため、森林を伐採し大規模なプランテーションが作られます。

インドネシアだけでも1年間に東京都のおよそ2.8倍(62万ヘクタール)の面積の森林が失われていると言われています。

そのため森に住むゾウやトラ、オラウータンなど野生動物の絶滅の危機と、森を焼くことで大量の二酸化炭素放出による異常気象が促進されつつあるのです。

私の友人が一昨年マレーシアを訪れた際に、パーム椰子を植えるためにどんどん樹が切り倒され、世界でもっとも古いと言われる森のひとつが消滅しようとしているところ目の当たりにしたそうです。

森と共に暮らしていた先住民の人達の文化も破壊されつつあるとのこと。

↓友人が実際に撮った写真です。もともと森だった場所がパームのプランテーションのために大規模伐採されてしまった場所と川の写真です。

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大量の農薬散布と、残土は川に捨てられ、川は茶色に濁り・・・。

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そして最近は、持続可能な環境に配慮したRSPO認証パームオイルというものを目にするようになりましたが、それであれば果たしてOKなのでしょうか?

NGOグリーンピースのページにこんな記載がありました。

レポート“Certifying Destruction(森林破壊の認証)” では、環境に配慮した持続可能なパーム油の生産と利用を促進する組織として設立されたはずのRSPOの会員が、いかに違法かつ破壊的な方法でパーム油を生産し、そしてそのRSPO認証パーム油を“持続可能なパーム油”として、世界中のマーケットに流通させているかということを明らかにしました。

RSPOに参加というだけで、パームオイルを使用する企業の免罪符になってはいないのでしょうか?

もちろん認証なしよりは、RSPO認証ありのパームオイルを選んだ方がより良いと思います。

でもRSPOあっても需要が拡大し続けたら森林伐採をしないで収穫量を増やすのが難しくなってくるのではないでしょうか?

私は世界で最も使用されて、需要がどんどん拡大していくオイルとは別のもので作りたかったのです。

そして2つめの理由は、パームオイルは食べるにも不健康なオイルだということ。

「植物性の牛脂」とも呼ばれるパームオイルは飽和脂肪酸が多く含まれ、もともとのオイル自体が動脈硬化を引き起こしやすいと言われています。

また、ヘキサンなどの溶剤を用いて抽出されたものが多く、こうしたものは化学物質と高温にさらされています。

結果として出来上がった油脂にはトランス脂肪酸をはじめとした有害物質が混入している場合があります。

周知のように、トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングに含まれ、心疾患のリスクを高めると言われています。

米食品医薬品局(FDA)はトランス脂肪酸の原因となる油脂の使用を2018年6月以降は食品への添加を原則認めないことを決定しています。

(日本はそうしたトランス脂肪酸への規制や表示義務がが一切ありません・・・)

更にパームオイルはBHAが使用されている可能性があることも問題です。

JAS農林規格においては一般的に食用の植物油脂には酸化防止剤を使用してはならないとされているにも関わらず、食品衛生法ではパームオイルにはBHA(ブチルヒドロキシアニソール)の使用が認められています。

BHAには発がん性、ADHD、アレルギー、関節痛、不眠、頭痛、といった様々な不調につながる怖れがあると言われていますが、表示義務すらありません。

日本人はおよそ4キロのパーム油を年間に食べていると言われています。

毎日食べる油脂が知らず知らずのうちにこうした油だったらゾッとしませんか。

だから私は例え口に入れない石けんであっても、できれば、こうした地球にも健康にも良いとは言えない油を使いたくないのです。

私たちが安価な油を求めれば求めるほど、貴重な森は失われて、その影響は異常気象が増えたり、酸素濃度が下がり免疫力が下がる等、遠くのことのようでいて私たちや子ども達の将来に影響してくるのです。

しかしながら、私も「外食したーい」という時もあるので、そうしたときは細かいことにはとらわれないで感謝していただいています。

お祭りの出店で買って食べたりするのも、子どもの気持ちを考えると、たまには有りだと思っています。

それでもマーガリンを購入するのをやめたり、家で使っている油を圧搾法・非遺伝子組み換えの菜種油やオリーブオイルにするなど基本は家庭であり、家でできることはたくさんあります。

すべてをパームオイルフリーにするのは難しいかもしれませんが、まずは知ること。

そして選ぶこと。
(写真は米油を使用しているノースカラーズのポテトチップスの袋)

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そしてMATSURIKAの石けんはパームオイルの代わりに、オーガニック・フェアトレードのココナツオイル、ココアバターやシアバターを使用しています。
ココアバターやシアバターは特に高価でパームオイルの10倍くらいの値段がします。

石けんにこんな高い油脂を使うの?とビックリされることもあるのですが、でもその分シアバターやココアバターは古くから原産地の先住民に日焼け止めや皮膚の薬として使われるほど肌にとても良い油脂です。

昔は、植物性原材料のみで作る場合、パームオイルなしでは、固く泡立ちの良い石けんは作れないと思っていました。

でもいろいろ試行錯誤の末、固さもあり使用感がとても良い石けんがパームオイルなしでも作れることが分かりました。

世の中に数多く石けんがありますが、こんなパームオイルフリーの変わった石けんがあってもいいと思うのです。

こうした思いを込めた石けんを通じて、使った人の最初の気づきになったらとても嬉しいなぁと思うのです。

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山形 彩子  MATSURIKA SAVON
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