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シリーズCに寄せて -今後の展望と覚悟-
初めまして、matsuri technologiesの吉田です。今回はシリーズCの資金調達をベースに当社がどこを目指して何をしていくのか?を簡単にお伝えしたいと思います。
スタートアップとは崖から飛び降りながらそのおりている最中に飛行機を作る作業と例えられる事があります。
そのリスクテイクの先には大きな夢や素晴らしい未来がなければ決して等価にならず、「どこに行きたいか」はすなわちどれだけのリスクを許容するか?を指し示す計器のようなものです。
そのような観点で今の会社のあり方や展望をお話ししたいと思います
1.matsuri technologies とはどんな会社か
一言で言えば、ソフトウェアで今までにない「差分」を作り出し、画面の外に実装していく会社です。
「差分」と言うとわかりにくいので私たちの運営している事業で例えてみましょう。
2019年、当社では宿泊施設の無人チェックインのソフトウェアを開発しました。これにより今まで対面が不可避だった宿泊施設運営を無人に切り替えることができ、私たちは様々なエリア、規模で新規開業が可能になりました。
このように一つの「差分」をソフトウェアで作り出すことで、連鎖的に画面の外にあるオペレーション、アセットの形が変わる分野に注力していきたいと考えています。
スマホやPCの中でのイノベーションは行き渡り始めていますが、画面の外でのテクノロジーの実装は道半ばです。
画面の中でできたことを一つづつ画面の外に出して実装する事、これはとても泥臭く、かつ大変なことです。しかしながら確実に世界の形を変えていく意味がある事だと確信しています。
(具体的にどう世界の形を変えていくのか?)
我々がとりくんでいるのはソフトウェアを用いて産業を再構築する事であり、単にソフトウェアによる部分的な改善をしたいわけではありません。
例えば今取り組んでいる「たび」と「すまい」の領域においては、ソフトウェアを用いた無人化技術とインターネットに特化して集客をする機構を構築をしましたが、全ての商流がソフトウェアの中にあるわけではなく、お客様が帰られた後の清掃やゴミの処理、もしくは開業するために物理的な投資が必要になってきます。
この泥臭い部分、もしくは大きな投資が必要な部分を包摂するため、テクノロジーが変えた差分の利ざやを金融的にレバレッジをかけつつ、社会に実装する必要があります。
イメージに近いのは、鉄道のイノベーションです。馬による輸送とは全く違う速度・運搬量を達成するが、多額の投資を必要としました。
テクノロジーを実世界に実装するというのは、ITスタートアップがAWSのサーバーを増設するだけではこと足りず、実際に変化をもたらすリアルアセットの利ざやの差分を勘案して、投資を循環させる必要があります。
民泊産業は我々にとってのプロトタイプであり、画面の外へのテクノロジーの実装という行為に再現性を持たせることを意識して事業を展開しています。
2.会社の雰囲気や特徴
当社ではITスタートアップの側面だけではなく、泥臭いオペレーションを遂行する部隊や金融的な側面で投資を企画、実行する部隊も同じく存在しています。
なので採用に関しても
求める資質としては、3つあります。
1.多様性を受け入れられる事
2.愚直に前に進める事
3.変化に素早く素直に対応できる事
(1に関して)様々な職種がいる事、テクノロジーを起点とした垂直統合の変化を起こすためです。実際、当社では様々な年齢層、国籍、職種、働き方の人間が働いています。
(2に関して)産業構造の変革や、新産業を作るためには長期の投資が必要です。それは資金だけでなく人の努力も同じで、愚直に挑戦し続ける粘り強さだけがイノベーションを加速させると理解しています。
(3に関して)今後の時代の流れから考えるに、早くなる事はあっても遅くなる事はないと考えています。商売というものは、自分たちがやりたいようにやるではなく、世界に合わせ続けなければなりません。加速する世界を上回る速度と変化への柔軟性を持つ人材を採用しています。
どうせ仕事をするなら意味がある事をしたい、地方創生をしたい、観光産業を根付かせたい、テクノロジーを用いて人々の生産性を上げたいetc ...
多面的な事業を展開してるからこそ動機は多岐に渡ります。その動機を力に変え、良い時期、悪い時期とわず長期で、変化を作り出せる会社であり続けたいと考えています。
3.20億円の調達を経て、どんな企業になっていくのか
今回の資金調達は一つのターニングポイントになると考えています。
事業シナジーがある銀行関連の資金、不動産関連の資金、地方活性化関連の資金など今後の事業展開を資金的な側面だけでなく、協業を含めた展開を想定して資本政策を組みました。
株主との協業という意味では、これまでも決済分野ではデジタルガレージ社と物件の運用という意味ではファンドクリエーション社やグロービス社とも協業をしてきました。
今回調達した資金を元に開発部門の強化やコロナ禍に開発したビジネスモデルの本格的な成長を目指したいと考えています。
(今後の方向性をどう考えているか?)
短期的には、たびとすまいのあり方をStayXで変えていく事に注力します。
2053年には 人口が1億人を切る日本において、外国から来る人を増やし、住む人を増やす事は、次世代に大きく影響を与えます。
その中で「どうやって労働人口が減っていく中、人手がかかる観光業を成長させていくのか?」「増え続ける空き家を放置し新設のホテルをたて続ける事が本当に正しいのか?」
など構造上の問題を解決する事ができると考えています。
長期的には、我々が存在した事でより早く、より良くテクノロジーを社会に実装できたと明言できる会社になります。
「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」とジュールヴェルヌは表現しましたが、その通りだと思います。
すでに多くの技術シーズは出揃っており、粘り強く、リスクを取りながら社会に実装するフェーズに差し掛かっています。
我々はその中の一社であり、社会を変え続ける者になるかもしれないし、もしかしたら同じ志を持つ企業の試金石として立ちはだかる存在かもしれません。どちらにしろ意味ある新産業を作る中で中心的な役割を担えるようベストを尽くすのみです。