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トップにはなりたくないけど、副ポジションに就きたかった人。
中学生の頃、生徒会に立候補したことがある。募集開始時、誰も立候補がなかったこともあり、そこそこ成績が良く、先生にとって扱いやすい良い子ちゃんキャラだった私に、担任の先生が出てみないかと打診してきたのだ。生徒会って人気がないんだ、誰もやる人がいないなら、と言いつつ内申点目当ての下心もあって立候補してみた。
「会長、副会長、書記長、なにで立候補したい?」
「・・・副会長でお願いします」
生徒会で何かをしたい意欲が本気であれば、会長職を選んだだろう。しかし、私の立候補にそんな崇高な動機はなかった。会長は選べない、だから、なんとなくふわっとした副ポジションを選んだのだ。
選挙選は、蓋を開ければ、副会長には私を含め3人が立候補をしていた。全校生徒を前にした選挙スピーチで、一番志望動機がはっきりしていた吹奏楽部の女の子が選出された。選ばれなかったのは残念だったが、少し安堵したのを覚えている。
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社会人になって、私は就業支援を生業としている。新卒の子たちを支援している時、サークルや部活動のエピソードを聞くと、やたら副部長ポジションの子が多かった。勿論、部長の片腕として副部長の役割を果たしていた子もいたが、よくよく話を聞くと「副部長は複数いて、部長の責任は負えないけど、何か役職は欲しかった」のが透けて見える子もいた。・・・ああ、かつての私だ・・・。先の生徒会立候補エピソードがフラッシュバックしたのである。
気持ちはわかる、とてもわかる。選挙に出た理由が「内申点目当てで、副会長になりたかった」私だから。けれども、大人になった私は、役職があったということだけでは何もPRにならないことを知っている。どんな役割で何をやっていたかが大事なのだ。それが語れなければ、逆に副部長のPRは「責任を負えない、負いたくない自分」を浮き彫りにしてしまう。
トップにはなりたくないけど、副ポジションには就きたかった、かつての私からの助言である。
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