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ワンルームマンション投資はやめておけ
新卒の時に会社近くの駅前でiPad持った若い女性に話しかけられて「(逆ナン?)」って思ったらワンルームマンション投資の勧誘だった。当時、社会の事を何も知らない若造だったので、近くのファミリーレストランで1時間ほどワンルームマンション投資についての説明を受けた。
説明を受けた後、このように思ったのを覚えている。
・社会人の信用力を活かしてマンションのオーナーになれるなんてすごい
・他人がローンを払ってくれて毎月の手出しは1~2万で最終的に物件も手に入るなんてすごい
・途中で物件の価値が上がったら売ればキャピタルゲインも狙えるなんてすごい
・何より不動産投資に取り組んでる俺ってすごい
結局、契約ギリギリのところまで行ったが判子は押さなかった。振り返っても何故か分からないが直観的に危険だと感じたからだろう。臆病な性格なことも幸いしたか。
結論から言うと、ほとんどのワンルームマンション投資はリターンが無いと言っても良い。不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」という表現で表されるが、ワンルームマンション投資に限って言うと「ハイリスク・ローリターン」だろう。
ローンを払い終えるまで毎月のキャッシュフローはマイナス
物件の価値が上がればキャピタルゲインも狙える(可能性は低い)
自分の社会人としての信用力を利用されている
9割以上のワンルームマンション投資は失敗に終わる。
そもそもワンルームマンション投資とは
そもそもワンルームマンション投資とはどのような投資なのか。
一言で言うと、「マンションの一室のオーナーとなり、そこに住む人から家賃収入を得る。」である。
数ある不動産投資の一つとして知られている。特にワンルームだとサラリーマンの年収でも手が届き、不動産投資初心者にも手軽に始めることができるため、社会人の副業として選択する人が多くなっている。
良く営業が使うセリフとして「ワンルームマンション投資を行えば不労所得の獲得&老後の資産形成になる。」というのがある。
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本当にそんな美味しい話があるのか。
本当に不労所得&老後の資産形成になるか?
答えから言うと「将来的には不労所得になり得る。」となる。ワンルームのオーナーになる訳なので、住人が支払っている家賃が毎月収入として入ってくる事になる。
ただ、残念ながらほとんどの人はすぐに不労所得を得る事はできず、不労所得を得られるようになるのは、ローンが払い終わってからとなる。
一般的に都内の新築ワンルームであれば、3000万〜4000万ほどの価格となり、全て自己資金で賄うことができれば良いが、ほとんどの人は投資用ローンを組むことになる。
詳細は省くが35年ローン(金利3.5%、ボーナス返済25%)で計算すると、月々の返済額は9万〜12万ほどになる。これに加えて修繕積立金なども支出に加わることになる。
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この支出すべてを家賃収入から賄うことができれば良いが、ほとんどの場合において自分の財布から1〜3万を持ち出す必要が出てくる。
すなわち、ローン返済が終わるまでは家賃収入を得ることができないどころか、お金を支払い続ける必要がある。
ローンを払い終えるまで支出があるのにどうして、そのような投資が成り立つのだろうか。そこで来るのが「老後の資産形成」という言葉である。
20代~30代のサラリーマン世代で投資を始めてローンが払い終わる頃は老後の生活に突入している。老後の資産形成という言葉の魔力は思ったよりも大きい。なぜなら誰もが不安に感じるトピックであり、読めない未来だからである。
将来の不確実性に対する不安に付け込むのがこの投資のやり口である。
(他の怪しい投資もそのような性質を持っているが。。)
ローンを完済した後は物件は所有物となり、家賃がそのまま収入として入ってくる。いわゆる追加の個人年金のイメージを持たせるような話をする。ローンを完済する頃には老朽化が進み、マンション自体の価値も低下することは間違いない。どんなに人気なエリアでもマンションの老朽化と共に家賃は下がっていく。そして老朽化したマンションの管理コストは高くなっていく。築30年のワンルームの家賃を調べてみればわかるが、安い家賃設定をしても入居者が入らない部屋が沢山ある。結局、築浅の物件が人気なのだ。
さらに、言葉巧みに「値段が上がったタイミングで売れば売却益で儲けれる。」と言ったりしてくるが、適切なタイミングで売ることができるような判断ができるオーナーがいるのだろうか。そのようなセンスがある場合はこの投資をやっていないはずである。
結局、どういう人に向いているのか?
結局のところ、ワンルームマンション投資はどういう人に向いているのか。
なんとか絞り出して考えてみた。
①まとまった自己資金を持っている人
ワンルームマンションを購入する際に、フルローンを組まなくて良くなる。物凄く単純な計算になるが、3000万を一括で購入して、家賃が10万だった場合、約25年で元が取れる計算になる。(修繕積立金とか細かい話は省く)
35年フルローンで買うよりは数年早く不労所得を得ることができることになる。(3000万もの大金をワンルームマンション投資に充てるのはナンセンスだと思う。)
ただし、それでも25年…あり得ない…
②不動産投資の一歩目とする人
ワンルームマンション投資は参入障壁も高くなく、サラリーマンが働きながら取り組めるものである。そのため不動産投資を学ぶ一歩目としては良いのではないかと思ったりもする。身銭を切ることでしか得られない経験もあるし、確定申告やマンション管理についてどのようなことを注意しないといけないか等、色々学ぶことができるのではないだろうか。とりあえず話を聞くくらいならタダなので営業に色々聞くのも勉強になる。(判子はもっていかないように。)
…と考えてみたが、向いている人なんていなくてワンルームマンション投資なんてやめておけ。