テストの作り方で生徒が変わる。

テストは生徒にとっては非常に重きをおいているものであることは日本で教育を受けたことのある人なら誰でも想像できますよね。

そのテストのスタイルを変えることで生徒が変わった経験をこちらでシェアさせてもらいます。

これは私の10年(2020年現在)しかない経験とBritish Council主催の研修で学んだことからのお話です。

こんな人たちに見て欲しい
現役の先生。特に英語教育を日々改善したいと模索されている人。
②将来、先生を目指している人

現在私は正規採用となり2校で勤務したことがあります。初めは県立A高校でした。

転勤で分かったテストが与える生徒への学習意欲への影響

【勤務校A】とある県立の英語教育に力を入れていた高校。
こちらの高校では、英語の定期考査が全て初見の問題でした。

僕の記憶が正しければ、「定期考査は初見の問題」というポリシーは当時の文科省の教科調査官・向後秀明先生からの助言をいただき、導入がされたのがきっかけだったと思います。

5年の月日が流れ転勤。

【勤務校B】テストの中身はおよそ9割が教科書の内容確認問題。
転勤した当時は、「はい。そうですか。わかりました。」程度にしか思わなかったこの配分。おそらくですが、2020年現在、日本の高校のテストはほぼこのスタイルだと思います。

B高校に行っても授業はA高校で以前の通りコミュニケーションを主体とした学びを展開しようとしましたが、時が経つにつれ、生徒の質問や授業に対する熱が変わっていったのを強く感じました。

春、高校生になり、気持ち新たに1学期はコミュニケーションを頑張っていたのに、次第に部活や趣味・バイトが忙しいなどの様々な理由から学業への気持ちも薄れていきました。

もちろんスタート時のモチベーションが高いのは当たり前の傾向です。しかし、以前の勤務校では絶対に聞くことのなかった質問(正直レベルの低い質問)が次々とされるようになったのです。その質問とは・・・・。


「先生、テストどこでますか?」です。

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テストは生徒の実力を測るためのものなので、「そんなの分かんないよ。」と言ったり、重要なポイントなんかは抑えさえるような助言をしたりしました。

結果・・・・・・。

生徒の中でこのようなサイクルが起こったのです。

【生徒の頭の中】

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さらに悪いことに、

テストの出るところを教えてくれる先生 

            = いい先生。分かりやすい先生。


生徒はこのようにも感じるようになってきました。

また、私を含め、教員の中でもこのような現象が起きました。

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当時、同じ学年を担当する先生は4人いて、定期考査は共通テストでしたが、それぞれが別のプリントでそれぞれのスタイルで授業を進めていたのです。

なぜならゴールが「教科書を理解させる」だったからです。

英語教員なら、多少、質やスタイルに違いはあるでしょうが、基本的には誰しも教科書の内容を解説したり、進出単語や文法事項の解説をしたりすることができます。ある程度、確認問題も作れます。というか作るよう努力をします。

つまり、それぞえがそれくらいの力はお持ちなので、それぞれがバラバラに授業を展開。先生たちにも自分の好きなスタイルというのがあるので、まあそれも良いと思いますが、建設的な話し合いが全く生まれず、チームとしては全く進化のない現状でした。

教員間での連携といえば定期的にこの質問がされます。

「今、どこやってます?」 です。

そして、その返事として、
A先生「今、レッスン5に入ったとこ。」
B先生「あ、うちもそこだ。良かった。」

のやりとりが1年間されることになりました。

【ひと休憩】
ここで一つ明確にしておきたいことですが、定期テストは本来、生徒のリーディング力を測るものだと認識をしています。つまり、社会のテストのように教科書を丸覚えしたら8割以上取れるテストは実際には生徒のリーディング力を測っていないと僕は考えます。また、「考える力」も育成していません。
現に、British Councilの研修に参加させていただき、理想的なテストの作り方を質問してみましたが、講師の方も同じようなことをおっしゃっていました。

基本的に「全て初見がべスト。」それが答えとして返ってきました。

でも、確かに想像してみてください。大学の受験で、「この内容がでますよ」って指定がありますか?

英検やTOEICのテストで「ここでますよ」って言われますか?

英語の各種資格試験だけでなく、大学・高校・中学校などの受験でも全て初見なんです。

なぜ、初見なのか? テストで生徒の持っているリーディング力を測るためだからです。

そこで、転勤1年目に、私が全て初見にしませんかと学年の先生たちに提案しました。

「じゃあ、日頃の話を聞いているかどうかはどう判断すんの?」

という反論が出ました。

確かに、日頃の活動を評価してあげたいですよね。でも、定期考査でやったところで、人には記憶力の差があるし、時間も経てば、テストの点が本当に授業で培われた力なのかは正直怪しいです。

もし本当に授業の確認をしたいのであれば、各単元が終わってすぐにミニテストを実施することもできますよね。そうすれば、より授業にも集中できると思います。

さて、とはいえど教師の負担は初見問題の作成に慣れていないと大変です。なぜなら教材を自分で持ってこないといけない、もしくは作成しなければいけないからです。(そこが英語の教師の力の見せ所なんですけどね。)


テストを初見にするにあたって

① 全て初見にはしないけど、初見の割合を50%〜70%にする
(50%以上にすることが大切です。)

そうすれば、定期考査で授業の内容を測りたいという先生のニーズにもお応えできます。

② 初見内容のレベルは取り扱いの教科書より絶対に下げる。難しいんだったら生徒の意欲も下がるし、難しいの読めるんだったら、そもそも教科書の内容を一緒に授業でする必要もなくなりますよね。

③ 生徒にもきちんと目的を一番初めの授業で説明しておく。
(↑これがすごく大切↑)

勝手にFAQ

Q1:なぜ考査に初見の問題が多いの?
A1:考査では、教科書を暗記すれば解ける形式(例:歴史のテスト)ではなく、日頃の活動を生かしつつ、実践的なリーディング力を測るためのものが望ましいから。にもあるように、日頃の活動をよりコミュニカティブにさせるため。

Q2:初見なら何でもいいの?
A2:本来そうかも知れませんが、目的やレベルに合わせて調整は必ずする必要があります。また、教育的配慮として、できるだけトピックをかぶせたり既習の単語や文法などを使ったりすることで、授業と評価の一体化が行えます。

Q3:そんなこと言っても初見を作るの難しいんだけど。
A3:以下のような案があります。

対策①自作する
(コミュニケーション英語・例)教科書の内容をプレゼンをしている人のモノローグを作ったり、教科書の内容に関して会話している人の対話文を作ったりすることも可能です。
※ALTにチェックもしていただけます。

対策②ALTなどネイティブに依頼する
トピックや使って欲しい文法事項を提示して対話文やモノローグ、もしくはストーリーなどを作ってもらうことも可能です。
※レベル調整が難しいそうなので、先生方でレベルを最後に調整したり、目的やレベルに合わせて設問は先生方で作った方が良いと個人的には思います。

対策③ネットより抜粋する
(a) British Council スキル別・レベル別・設問あり
(b) Breaking News English スキル別・レベル別・設問あり・話題が豊富

対策④ 部分的に変える
文法問題などは教科書・配布プリント等の例文や問題を部分的に変えることで初見の問題として出題も可能です。

最後に初見導入後の教師と生徒の意識の変化をこちらに提示します。

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ぜひ勤務校でこの変化を体験して欲しいなと思います。

最後までありがとうございました。

次回は「パフォーマンステストって何?」を紹介します。

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