26 平穏な日々
退院後、ちょっとは益々家族になった。何しろ共に苦難を乗り越えたのだ。関係性が変わらないわけが無い。ちょっとは1日中屋内にいるので、屋外に作った犬小屋も取り壊した。昼も夜も、家族は折ある毎にちょっとに声を掛ける。ちょっとも玄関の寝床からいつも家族を見ている。夕食が済むと私たち夫婦とちょっとは親子のように遊ぶ。夫婦がテレビに夢中になっていると、ちょっとは静かにソファーの上で寝息を立てている。
大好きな隣のおばちゃんが家に来ると、子犬の時と同じように抱き上げられた。散歩に出ると集落の子供たちが寄って来た。平穏な日々が戻って来た。
しかし、それから1年半ほど過ぎた頃から、ちょっとの様子がおかしくなって来た。排便に時間が掛かる。構えて、踏ん張っても踏ん張ってもウンチが出ない。良く吠える去勢をしていないオス犬はヘルニアになり易い。ちょっとはヘルニアを発症していた。