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4 紙の話

書きやすさを構成するファクターとして、ペンとインクについて記して来た。残るは紙である。サラサラな紙、ツルツルな紙、厚い紙、薄い紙、インクの乗りが良い紙、悪い紙、いろいろある。しかし、余程の文具通でなければそれらを意識する事は、ほぼあるまい。ノートはコンビニやドラッグストアやスーパーに並んでいるもので十分だ。コクヨの紙質には定評がある。
 
ほぼ日手帳に使われている事で一躍人気を得たのが、薄くて丈夫なトモエリバーだ。ほぼ日手帳でトモエリバーにハマり、そこから紙沼にハマった人も多いはずだ。私はミドリカンパニーのMD用紙を好んで使っている。こちらは若干厚手でサラサラした書き心地が特徴だ。MD用紙を使用したMDノートは常にストックしている。MD用紙はインクジェットプリンターとも相性が良く、一度などMD用紙にプリントした自作カレンダーの発色の良さに惚れ惚れしてコーヒーを飲みながら2、30分ただ眺めていた事がある。
 
また、一般の上質紙よりもひと工程多く丁寧に漉いて作られているフールス紙も好きで、フールス紙を使用したツバメノートもMDノート同様、本棚に数冊はストックしている。数年前までは、マルマンのニーモシネが好きで愛用していた。私が使うのは主に紙沼にハマっていない人でも知っているメーカーのものであるが、少し深みにハマるとSAKAEテクニカルペーパーとか山本紙業とか大和出版印刷など、一般人には馴染みのないメーカー名が現れてくる。
 
紙の味わい方には、紙の色合いや風合い、手触り、インクの乾きやすさ、滲みの多少、発色の良さ、保存性、フラッシュの有無などがあるが、沼人が最初にチェックするのは裏抜けの有無である。せっかく好きなペンとノートを揃えたのに、裏抜けがして使い物にならないなんて事もある。裏抜けの要素には紙質だけではなく、ペンやインクとの相性もあるのだ。フラッシュとは、青や黒のインクで書いているにも関わらず、反射して赤など他の色に光ってしまう事を言う。これもインクとの相性がある。
 
オススメしないのはモレスキンである。19世紀後半にフランスで生まれたノートで著名な芸術家が使用した事で有名だが、しかしその紙質たるや19世紀のままでは無いかと思うほど惨憺たるものである。高いのに紙質が悪く裏抜けがする。オススメしない。

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