#巡礼者たち
先日、奄美大島のとある漁港にロシアの小型帆船が寄港した。台風21号による風波からの退避だという。「ロシア」と書いてしまったが、知人から送られて来たLINEの画像を見ると船名はどうやらセルビア語らしい。Google翻訳では「巡礼者」と訳されていた。知人がLINEでロシアと言っていたので、ここでもロシアと言うことにしておく。船には3人の男性が乗っていた。スマホの翻訳機能を駆使して知人が会話したところ、彼らは冒険家であり台風が去ればフィリピンに向かうとの事だった。帆船には小型のエンジンも搭載されていて、4ノットくらいは出るらしい。
自由だな、と私は思った。自由と言えば件の画像を送ってくれた知人は、近くの商店で黒糖焼酎の1升パックを買い込んで彼らの元へ行くと「奄美の酒だ、お前ら飲め」とスマホ越しに言って船に乗り込ませて貰ったそうだ。彼もまた相当な自由人なのだった。こういった繋がりには国の隔てなど関係ない。人対人だ。あらゆる属性を外した人対人の関係性を結べる人ほど強いものは無い。かの知人は生きる力がある。ちなみに彼は自衛隊員だ。
自分自身の属性を取っ払い、相手を見る眼からも属性のバイアスを取り除けることはそう簡単な事ではない。生きて行く中で最優先でやるべき作業とは、そんな「属性取っ払い作業」なのではないかと思った次第である。