38 百姓のすすめ
日経平均株価が30年半ぶりに3万円の大台を回復したのだそうだ。一方で日銀が日本株最大の株主になったのだと言う。落下し続ける滝の水を人力ですべて受け止めようとしているような状況で、もはや日本がまともな資本主義国家であるとは思えない。かつてマックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で述べた「末人」つまり「精神のない専門人、心情のない享楽人」の世を、私たちは眼前に見ている。
明日、どうなるかがわからない時代を生きている。
昔は職業が人生であった。終身雇用で会社に入れば定年までが男の人生だった。今は違う。会社で副業が推奨される時代だ。自分の生活のリスクヘッジは自分でしなくてはいけない。
私自身の話になってしまうが、幸いな事に12年前に奄美大島へ越して来た際、収入源を得るために私は否応無しに「仕事とは何か」という根源的な問いに向き合う事が出来た。だから今、コロナ禍で途方に暮れている人の気持ちがよくわかる。コンピュータープログラミングの技術があったため、それを核として、ホームページの作成から販売促進のためのアドバイス、NPOの事務局業務など、依頼される事はすべてやった。また義母が作っていた畑の手伝いもしたし、頼まれればどこかのサトウキビの収穫の手伝いにも行った。そんな成り行きに身を任せるうち、奄美市のNPO法人連絡協議会の代表として市や県の会合やイベントに声を掛けられるようになり、また、経営的な視点でモノゴトを見る事も出来るようになった。
自分の興味と関心を究める事と、そこに閉じ籠ることなく人脈と見聞を広め、自分が役に立てると思う事は何でもやってみる事。それがこれからの時代に適応していくポイントだろう。
先日、似たような事を書いている書籍に出会ったので下に紹介しておく。タイトルに「百姓のすすめ」と書いたが、百姓とは生業が100個ある人たちのことで、「百姓的」である事がこれから重要になると、この本でも説いている
*今週の参考図書
・『日本再興戦略』落合陽一 2018年/幻冬舎
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