36 朝のニュースを見ながら

砂浜の清掃をしている。砂浜再生工事の言い出しっぺとして、率先して砂浜のメンテナンスをする責任を感じている。善意と言えば善意だし、偽善と言われたって別に言い返すつもりも無い。どうぞあなたも自分の24時間を割いて偽善をやってみませんかと誘いたい。
そんな折、朝のNHKニュースで離島の漂着ゴミ問題が取り上げられていた。まったくこの漂着ゴミってやつは厄介で、拾っても拾っても海の果てからやって来る。台風の後など、海岸はゴミの山と化す。ゴミの多くはプラスチック容器や砕けたプラスチック片で、大抵はハングル文字や中国語の表記が見られる。その中にはなぜか歯ブラシも多い。ニュースでは沖縄県宮古島の事例を取材していて、漂着プラ容器を断裁して燃料や再生素材にしていた。私自身の集落環境への関わり方はもはや活動と言ってもよく、この先は宮古島のようなSDGs的な方向に行く予感も抱いている。
先日の台風が過ぎた後、集落行事で砂浜を使うのでひと通りゴミを拾った。島を直撃するかと思われた次の台風12号は大きく西へ逸れて被害の心配はないが、続いて発生した熱帯低気圧が週末には奄美を襲う予報だ。台風は来る。ゴミも来る。でも拾う。どうせまた次の台風が来るよとの声も聞こえる。でも拾う。
東北仙台での学生時代、雪が降る中で建設作業をしている人たちの姿に感動した事がある。人の営みとはこういうものかと、その時に思った。雨も降れば雪も降る。台風だって来る。家だって壊れるし砂浜だって汚れる。せっかくの作物がダメになってしまう事もある。それでも人の営みは終わらない。そんな感慨を、20歳前の私は持ったのだった。思えばそれが今の私の活動の原点かも知れないと、朝のニュースを見ながら思った。

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