16 北見でのこと
4月28日の朝一番の便で奄美へ帰る。24日には父の法要を済ませ、これを書いている25日には北見の家の断捨離作業もあらかた済んだ。相変わらず母と私はよく似ている。どちらもウイスキーとコーヒーが好きで、朝は決まった時間に決まったルーティンをこなす。指定ゴミ袋へギュウギュウにゴミを押し込むやり方や、食べ物への気のつかい方も似ている。18で家を出てから、その倍以上の年月をずっと別の場所で暮らしていて、打ち合わせをした訳でもないのに些細なところが奇妙に一致している。親子とはこういうものなのかと不思議に思う。
毎朝おいしいコーヒーを飲みたいので、豆を買って来て挽き、淹れて母に出したら「香りが足りない」とダメ出しをされた。そこで別の豆を買って来て出したが、満足してくれる様子がない。その事をFacebookに書いたら、札幌に住んでいる親切な同級生が森彦の豆を送ってくれた。しかし多分、これは豆の問題ではなく、きっと盛大に熱を発する料理用の電動ミルのせいで香りが飛んでしまっているのだろう。KALDIで熱の発生が少ない手動のセラミックミルを買って来たが、老いた母に手動のミルは負担が大きいかも知れない。
奄美の義母の、耳の遠さや話の伝わらなさに苛立つ事が多かったが、それは北見の母も同じであった。帰ったら奄美の義母に、もっと優しく接しようと思った。この帰省で得たもっとも大きな気付きだ。今回の帰省では、母の日々の気掛かりを徹底的に解消してあげようと決めて来た。家の中の処分しきれない荷物の多さや、掃除のできない高所のホコリ、そんな事が母の日々のストレスなのだった。そのために作業着を持参した。市の廃棄物処理場へ4回、クルマいっぱいの不要品を運んだ。
こんな感じで北見での日々を過ごしている。残りの2日は少しゆっくりしようかと思っている。