#・・じゃない方へ
中国には「普通高等学校招生全国統一考試」という試験があって、通称「高考」と言うのだそうだ。この試験の結果が将来の暮らし振りに直結するのだから皆必死だ。へえ大変、と対岸の火事のように眺めている日本だって「東大一直線」なんて漫画が流行っていた40年前までは似た様な状況だったに違いない。中国の高校生は辛いだろうな。私ならそんな修羅の巷から真っ先に逃げる。人生には「じゃない方」があるのだから。
私が今暮らしている島も、本州の都会から見れば「じゃない方」だ。その証拠に連休ともなれば「じゃない方」を求めてたくさんの観光客が来る。しかし島には時々、「島に東京風のトレンドを持って来てやるぜ」と言うコンサルまがいの都会人がやって来る。オレの言う事を聞けばスマートなやり方でお金を稼ぐ事ができるぜ、と彼らは言う。カネカネ言わない「じゃない方」である事にこの島の価値があるのに、と私は思う。
世界中で中山間地の金儲けの実態を観察して来た人の講演を聞いた事があるが、「こうすれば儲けられますよ」との情報のシャワーを浴びて、やっぱりこの島にはそぐわないとの感慨を持ったのだった。金儲けをしたいのなら、逆にカネカネ言わずに「じゃない方」に徹した方が、オリジナリティのある観光地になると私は思う。