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#37 重力には抗うべし

50歳を過ぎると体力・筋肉量ともに急激に低下するのだそうだ。わかる。顔の筋肉も二の腕もお腹も背中も太ももも、いつの間にか重力に抗うのを諦めてだらりとぶら下がっている事に気が付くのもこの頃だ。放っておくと顔も体も心も崩れて行くばかりである。さてどうするか。
 
私は50を過ぎてから筋トレを始めた。高校時代も一応、運動部で基礎トレーニングはやっていたし、帰宅後もダンベルを使い筋トレをしていた経験がある。筋肉にはマッスルメモリーというのがあって過去に筋トレで体を鍛えたことがあれば、長期間トレーニングを休んでも復活するのが早いそうだ。しかし30年以上も前の記憶が残っているとも思えない。ゼロからの出発のつもりで始めてみたのだった。
 
トレーニングの効果はてきめんで、体力に自信がついたついでに気力も満ちて来た。それもそのはずで、筋トレをするとテストステロンという男性ホルモンの分泌が増えて気力や疲労回復の効果があるのだそうだ。私の場合、同時に食事管理もおこなったので、いつも健康診断で注意されていた中性脂肪値も劇的に改善した。
 
さて、健康管理の目安を知るために手軽で便利なのが体組成計だ。微弱な電流をつかって体脂肪率や筋肉量など様々な計測ができる体重計である。最近の体重計といえば殆どが体組成計ではないだろうか。
 
しかしこの体組成計、落とし穴がある。正確なのは体重だけで、体脂肪率などはあくまでもメーカー独自の計算式から割り出された推測値であるという点だ。だから同じ条件で違う体組成計に乗った場合、違う数値が出る。そこで問われるのが推測値の精度である。
 
ジムなどに行くとInBody270という100万円近い体組成計が置いてあって精度が抜群に高いことで有名だが、家庭で使うには高価すぎる。しかしInBodyからは家庭用のものも発売されていて、量販店などで3万円程度で買うことが出来る。家庭用ではあるが業務用に近い精度の高さである。いつかはInBody、体組成計のステータスシンボルと言える。
 
もっとお手頃なものを求めるなら、1万円前後のものが精度とコストのバランスが良い。それ以下のものは精度に期待は持てない。最近のものは殆どスマホとの連携機能がついていて、測定値をスマホで見ることができる。10年ほど前まではスマホとの連携機能のあるものは測定精度が低いものが多かったが、今はそうでもない。
 
通常、体組成計といえばタニタやオムロンなどのヘルスケア商品メーカーが思い浮かぶが、最近では様々なメーカーの参入が見られる。私が使っているものはネットで「オススメ体組成計」と検索しても中々出て来ないニッチなヤツで、コンピュータ周辺機器メーカーのエレコム社製、HCS-WFS03という定価が1万3千円程度のものだ。なぜこれを選んだかと言えば、筑波大学との産学連携プロジェクトによる体積推定方式という独自のアルゴリズムで体組成を推定し、高精度を実現しているという点にオタク心がグラグラっと揺れたからである。一般的な生体電気インピーダンス法(BIA法)を使用している他のメーカーの製品は、私のオタク心を揺さぶるには至らなかった。
 
体組成計ではあらかじめ身長を入力しておくとBMI値も計算されるが、このBMI値はほぼ何の指標にもならない。BMI値では身長と体重のバランスが示されるが、体脂肪率が考慮されていないので、その値が健康的なのか不健康なのかを把握するのが困難である。体脂肪率が10%前後のボディビルダーやトレーニーは筋肉で体重が重くなり、いつも「肥満」診断が下る。おかしな話である。
 
では、これから年齢を重ねて行く上で指標となる数値は何か。それは体脂肪率と筋肉量、内臓脂肪レベルだろう。体脂肪率を適度に保ち、内臓脂肪レベルを落とす。筋肉量を減らさないように運動を心がける。50歳を過ぎたら崩れて行くばかりだぞ。重力に抗うことが元気の源だ。

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